更新日: 2024.03.19 その他老後

子どもに負担をかけたくないので、老人ホーム費用を貯めています。他に用意しておくべき費用はありますか?

執筆者 : 堀江佳久

子どもに負担をかけたくないので、老人ホーム費用を貯めています。他に用意しておくべき費用はありますか?
老後2000万円問題をきっかけに、老後資金についてたくさんの議論があります。しかし、この試算はあくまでもモデルケースであり、それぞれの家庭によって準備すべき金額は異なります。
 
子どもに迷惑をかけないで、最期を迎えるための費用もそれぞれですが、一般論として、老人ホームの費用以外にどのようなものがあるか、そして平均的にいくらかかるのかを解説します。
堀江佳久

執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

老後の生活費

まずは、食費や住居費、光熱費といった老後にかかる生活費について確認しましょう。(公財)生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によれば、夫婦2人で必要な老後の最低日常生活費は図表1のとおりで、平均23万2000円/月となっています。
 
表1
 
さらに、ゆとりある老後生活を送るための生活費の調査も行っています。ゆとりある生活を送るためには、最低日常生活費以外に必要と考える金額は平均14万8000円となっています。つまり、ゆとりある生活をするための平均生活費として平均37万9000円が必要となるようです。
 
なお、ゆとりある生活費のための使途は、最低必要な生活費に加えて、旅行やレジャー(60%)、日常生活費の充実(48.6%)、趣味や教養(48.3%)、身内との付き合い(46.2%)といった費用が上乗せになっています(複数回答)。
 

介護費用

次に、介護費用について確認します。
 
(公財)生命保険文化センターの「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によれば、介護費用(公的介護保険サービスの自己負担分を含む)のうち、一時的な費用の合計は平均74万円、月々の費用は平均8万3000円です。なお、一時的な費用とは、介護のために必要な住宅改造や介護用ベッドの購入費などをいいます。
 
また、介護を行った場所が在宅の場合では平均4万8000/月、施設で行った場合には平均12万2000円/月となっています。
さらに、要介護度によっても大きく異なります。具体的には、要介護1の場合は5万3000円/月、要介護2は6万6000円/月、要介護3は9万2000円/月、要介護4は9万7000円/月、要介護5は10万6000円/月となっています。
 

葬儀費用

亡くなったあとに必ず必要となる葬儀費用についても確認してみます。
 
「いい葬儀」を運営する株式会社鎌倉新書(東京都中央区)が行った、「第5回お葬式に関する全国調査(2022年)」(調査期間:2022年3月11~13日、調査対象:2020年3月~2022年3月に喪主または喪主に準ずる立場を経験した40歳以上の男女1955人)によると、葬儀にかかる費用の内訳は、基本料金、飲食費、返礼品となっており、2022年調査における費用の総額は110万7000円となっています(図表2)。
 
表2
 
また、葬儀の平均費用総額の推移をみると図表3のようになっており、2022年は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、コロナ以前の2020年と比較して73万6000円ほど費用が安くなっています。
 
表3
 

まとめ

子どもに負担をかけないために用意すべき費用として、老後にかかる生活費、介護費用そして葬儀費用について確認してみました。いずれもあくまで平均的な費用であり、ご自身がどのように生活したいのか、どのように終わりを迎えたいのかによって費用は変動します。
 
したがって、これら平均的な費用は、ご自身のライフプランを立てる上での参考データとして活用するとよいでしょう。
 

出典

公益財団法人生命保険文化センター 2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査
公益財団法人生命保険文化センター 2022(令和4)年度 生活保障に関する調査
株式会社鎌倉新書 いい葬儀 第5回お葬式に関する全国調査(2022年)

 
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー

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