更新日: 2024.03.28 セカンドライフ

貯蓄「1000万円」と年金があれば、老後資金として十分ですよね?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

貯蓄「1000万円」と年金があれば、老後資金として十分ですよね?
定年退職後は、ある程度の貯蓄や年金受給も含めると、老後の生活資金は問題ないと考えている方も多いでしょう。しかし、貯蓄や公的年金だけでは老後資金をまかなうことは難しいケースもあります。
 
今回は、定年退職後にかかる生活資金の目安や、老後資金が不足するケースについて解説します。
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定年退職後にかかる生活資金の目安

日本の定年退職年齢は会社によって異なりますが、現状60歳以上または65歳とされていることが多いようです。2023年度の全国家計調査によると、定年退職後にかかる毎月の生活資金については、以下の通りです。
 

・60歳以上の無職世帯の2人暮らし:25万4453円
・65歳以上の無職世帯の2人暮らし:25万959円

 
両者ともに定年退職後は、最低でも毎月25万円程度の生活資金が必要となります。余裕を持った生活をするのであれば、月に30万〜35万円前後の老後資金があると安心でしょう。
 

定年後に増える支出とは?

定年後に増えると予想される支出は、医療費や介護費用が考えられます。
 
年齢を重ねれば重ねるほど、病気に対するリスクが高まります。保険医療費(月間)は、60歳以上の無職世帯2人暮らしで1万6099円、65歳以上で1万6879円となっており、高額療養費制度により自己負担を超えた分は払い戻しされるため、一定額におさえられているようです。
 
しかし、保険適用外の先進医療や自由診療などを受けた際は、全額自己負担となる可能性があり、治療内容によっては数百万円前後かかることもあります。
 
また、介護費用については、公的介護保険により要介護認定を受けた利用者が所得に応じて1~3割の利用料を支払うことで、介護サービスを受けることができます。在宅サービス・地域密着型サービスなども支給限度額内でうまく活用すれば、介護費用をおさえられるでしょう。
 
ただし、支給限度額を超えた分や、施設での食費・住居費・生活費などは全額自己負担となるため、注意が必要です。
 

貯蓄や公的年金だけでは老後資金が不足する可能性がある

定年退職後は、貯蓄や公的年金だけでは暮らしていくことが難しい可能性があります。表1は、定年退職後に予測される不足金額を表したものです。
 
表1

実収入 可処分所得 消費支出 不足分
60歳以上の無職世帯
2人暮らし
25万3344円 21万9811円 25万4453円 3万4642円
65歳以上の無職世帯
2人暮らし
24万4580円 21万3042円 25万959円 3万7917円

※総務省統計局 e-Stat 「(高齢者のいる世帯)世帯主の就業状態別」を基に筆者作成
 
60歳以上、65歳以上ともに、可処分所得に対して消費支出が3万5000円程度上回っていることが分かります。100歳まで生きると仮定すると、60歳以上の方は40年間で1662万8160円、65歳以上の方は35年間で1592万5140円の不足金が発生します。
 
つまり、無職で老後2人暮らしの場合は、定年後に1000万円の貯蓄と年金受給があったとしても生活資金が不足してしまうのです。
 

突発的な支出に備えましょう

家計調査による計算だと、定年退職後は1000万円の貯蓄があったとしても、老後資金の不足が想定されます。高齢になればなるほど、病気やけがのリスクが高まり、突発的に大きな出費がかさむ可能性も高いです。
 
万が一の出費に備えるために、普段の生活にかかる固定費の見直しや公的年金以外に民間の個人年金保険に加入するなどの対策を考えておくとよいでしょう。
 

出典

総務省統計局 政府統計の総合窓口 e-Stat 家計調査 家計収支編 2023年 二人以上の世帯 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 表番号3-12 (高齢者のいる世帯)世帯主の就業状態別
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