更新日: 2024.04.01 定年・退職

父が貯金「200万円」のまま60歳で「定年退職」するそうです。「65歳まで働いて年金額を増やしたほうがいい」と思うのですが…。

父が貯金「200万円」のまま60歳で「定年退職」するそうです。「65歳まで働いて年金額を増やしたほうがいい」と思うのですが…。
定年退職といえば、60歳を思い浮かべる方もいます。しかし、年金の受給開始年齢は原則65歳のため、60歳で定年退職をすると5年間は退職金と貯金だけで暮らす必要があります。
 
また、60歳まで働くのと65歳まで働くのでは、受け取れる年金額が大きく変わる可能性にも考慮しなくてはなりません。貯金額が多くない場合は、65歳まで働いて年金額を増やしておくことも老後の生活費対策として有効です。
 
今回は、貯金が200万円で60歳に定年退職した場合の必要な生活費や、60歳と65歳で退職した場合の年金額の差についてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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貯金200万円で60歳の定年退職をしても生活できる?

会社で勤務して退職すると、退職金を受け取れます。年金を受け取り始めるのは原則65歳のため、60歳で定年退職をするなら少なくとも65歳までは退職金と貯金のみでの生活が必要です。
 
厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査の概況」によると、大学・大学院卒業かつ20年以上同じ会社で勤務した方の定年退職時の退職金は、平均で1896万円でした。もし退職金の平均額を受け取っているとした場合、貯金200万円を合わせると2096万円です。
 
今回の「父」が「母」との二人暮らしだとして、かかる費用を計算してみましょう。総務省の2023年「家計調査報告〔家計収支編〕」によると、2人以上の世帯で世帯主が60~69歳の場合では、毎月の消費支出が平均30万6476円でした。
 
もし毎月平均額を支出したとすると、1年間で367万7712円、60~65歳の5年間で合計1838万8560円が必要となります。退職金と貯金額の合計2096万円と比べると、妻が専業主婦で収入源が夫だけであったとしても消費支出だけなら足りる計算です。
 
しかし、消費支出は衣食住などの生活費を表すため、実際の支出額には社会保険料や税金額といった非消費支出も加わります。
 
非消費支出は基本的に毎年発生するお金であり、同調査では60歳以上の方の支出額は8万37円でした。非消費支出だけでも5年間で480万2220円かかるため、退職金と貯金200万円だけでは65歳まで生活していくことは難しいといえるでしょう。
 

60歳で退職したケースと65歳で退職したケースにおける年金額の差

今回は、以下の条件において60歳で退職した場合と65歳まで働いて退職した場合の年金額を比べていきます。

●年収が300万
●国民年金はすべて納めているとし、差を比較するのは厚生年金額のみ
●厚生年金の加入開始は平成15年4月以降で、20歳から
●報酬比例部分を老齢厚生年金額とする
●賞与は考慮しない

老齢厚生年金は、報酬比例部分を求めることでおおよその金額が分かります。日本年金機構によると、平成15年4月以降に厚生年金へ加入した場合の報酬比例部分を求める式は以下の通りです。
 
・報酬比例部分=平均標準報酬額×1000分の5.481×加入期間の月数
 
平均標準報酬額は月収を等級で一定額ごとに分けた標準報酬月額や、賞与額を基に決められます。年収300万円だと月収は25万円となり、賞与を考慮しないと平均標準報酬額は26万円です。
 
これらを基にした60歳と65歳で退職した場合の金額差は表1の通りです。
 
表1

60歳で退職 65歳で退職
厚生年金の加入期間 480ヶ月(40年) 540ヶ月(45年)
報酬比例部分(老齢厚生年金)の金額 68万4029円 76万9532円

※筆者作成
 
60歳で退職した場合と65歳で退職した場合では、年金額に8万5503円の差があります。少しでも老後の資金にゆとりを持たせるためにも、できるなら65歳まで働いたほうがいいといえるでしょう。
 

60歳で退職すると65歳までは退職金と貯金だけで生活する必要がある

もし60歳で退職すると、年金の受給開始となる65歳までは退職金と貯金だけが生活資金となります。貯金が200万円では、退職金と合わせても年金を受け取るまでの5年間の生活費は足りなくなることが予想されます。
 
さらに、65歳で退職した場合と比べると、年金額も8万円以上の差が生まれます。可能であれば、65歳まで働いて老後の生活費をため、年金額をふやすことをおすすめしまs。
 

出典

総務省 家計調査報告[家計収支編] 2023年(令和5年)平均結果の概要(7.11ページ)
厚生労働省 令和5年就労条件総合調査の概況(17ページ)
日本年金機構 は行 報酬比例部分
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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