更新日: 2024.04.12 セカンドライフ

老後資金「2000万円」で余裕ある暮らしは無理!? 毎月「赤字」になってしまうの? 必要な金額について解説

老後資金「2000万円」で余裕ある暮らしは無理!? 毎月「赤字」になってしまうの? 必要な金額について解説
「老後資金は2000万円あれば大丈夫と聞いたけどやはり心配」というように、老後資金については不安に思っている人は多いのではないでしょうか。
 
2019年に金融審議会市場ワーキング・グループが取りまとめた資料の公表によって、老後資金は2000万円必要という認識ができました。しかし、果たして本当に2000万円あれば老後資金は足りるのでしょうか。
 
本記事では、本当に老後資金は2000万円で足りるのか、2000万円あればゆとりある生活を送れるのか解説していきます。老後資金を早いうちに貯蓄しておきたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

老後資金2000万円問題の問題点

2019年、金融審議会市場ワーキング・グループが「高齢社会における資産形成・管理」を公表しました。
 
「高齢社会における資産形成・管理」の中には、「30年で約2000万円の取り崩しが必要になる」との記載があり、この数字が一人歩きして老後資金は2000万円必要という認識が広まりました。
 
しかし、この2000万円の取り崩しの話には前提があって、前提抜きで老後資金2000万円を貯めても生活に困窮するおそれがあります。
 
その前提とは「特別な支出を含んでいないこと」です。特別な支出とは老人ホームなどの介護費用や住宅リフォーム費用などを指します。
 
なお、公益財団法人生命保険文化センターによると、介護や支援が必要な人の割合は、80~84歳では25.8%、85歳以上では59.8%です。男性の平均寿命が81.05歳、女性の平均年齢が87.09歳とされており、特別な支出を無視して2000万円あれば老後資金は大丈夫と考えるのは危険です。
 

老後にゆとりある生活を送るには毎月37万9000円必要

金融審議会市場ワーキング・グループの「高齢社会における資産形成・管理」によると、老後資金2000万円の計算根拠は、老後の生活費の赤字が毎月5万円、これを30年払うという計算をしています。
 
しかし、この毎月5万円の赤字というのは、あくまで高齢夫婦(夫65歳・妻60歳)の無職世帯の平均的な年金収入や支出を考慮したものです。年金を主とする収入の平均値は約20万9000円、支出の平均値は約26万3000円です。果たして、この平均値で老後ゆとりある生活は送れるのでしょうか。
 
老後にゆとりある生活を送るには月にいくら必要なのかは、公益財団法人生命保険文化センターの2022(令和4)年度「生活保障に関する調査」をみると月37万9000円必要とされています。
 
つまり、金融審議会市場ワーキング・グループが考慮した月の支出26万3000円と比べると、毎月約11万6000円もの差があるということです。
 

老後資金はいくらあればいいのか

老後資金2000万円問題を必要最低限の資金とするなら、ゆとりある生活を考慮したときに老後はいくら必要になるのでしょうか。
 
ゆとりある生活を送る場合には毎月11万6000円の赤字が発生し、30年赤字が発生し続けたと考えると約4180万円の赤字です。金融審議会市場ワーキング・グループによると、65歳時点の貯蓄額平均は夫婦世帯で2252万円、単身男性で1552万円、単身女性1506万円となっており、2000万円~2700万円程度の赤字になってしまいます。
 
15年で計算したとしても、1000万円~1300万円程度の赤字です。
 

まとめ

30年で2000万円の取り崩しが発生することから、老後資金2000万円問題と呼ばれるようになりました。
 
しかし、取り崩しの中には特別な支出や、ゆとりある生活に必要な支出は考慮されておらず、穏やかな老後の日々を過ごすには心もとない金額といえます。金融審議会市場ワーキング・グループの資料を確認する限りインフレも考慮されていないため、インフレが加速していった場合には老後資金3000万円でも不足するおそれがあります。
 
必要な老後資金については人それぞれですが、2000万円では足りないと考え、金融商品への投資、日々の貯蓄などを実行し、厳しめの計画でお金を貯めていく必要がありそうです。
 

出典

金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
公益財団法人生命保険文化センター 2022(令和4)年度生活保障に関する調査
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集