更新日: 2024.04.15 定年・退職

55歳で「年収500万円」です。早期退職をすると退職金が「1000万円」近く増えると聞ききました。今退職してしまいたいのですが、大丈夫でしょうか?

55歳で「年収500万円」です。早期退職をすると退職金が「1000万円」近く増えると聞ききました。今退職してしまいたいのですが、大丈夫でしょうか?
経費削減などを目的に早期退職を募っている企業があります。「早期退職」を選択すると通常よりも多く退職金を受け取れる場合も少なくありません。
 
本記事では、年収500万円の人が早期退職をすると年収の2年分に当たる1000万円が退職金に割り増しされる場合、すぐに退職しても良いのかどうかを解説しています。
FINANCIAL FIELD編集部

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退職金は長く働くほど増えることが一般的

多くの企業では退職金が支給されますが、法的には退職金の支払い義務はありません。とはいえ、多くの企業では退職金に関する企業内ルールに基づき、退職金を従業員に支払っています。そして、退職金は勤続年数が長くなればなるほど大きくなることが一般的です。
 

早期退職では割増金が退職金にプラスされることが多い

基本的には長く働くほど退職金は増えますが、企業が早期希望退職制度などを設定している場合、定年よりも前に退職することで、退職金に割増などの好条件が提示されることが多いです。
 
厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、退職金の制度がある勤続20年以上かつ45歳以上の退職者がいる企業における退職事由別の退職金の平均金額は次のとおりです。
 
図表1

 

退職事由 退職給付額
大学・大学院卒
(管理・事務・技術職)
高校卒
(管理・事務・技術職)
定年 1896万円 1682万円
会社都合 1738万円 1385万円
自己都合 1441万円 1280万円
早期優遇 2266万円 2432万円

厚生労働省 令和5年就労条件総合調査 結果の概況 4 退職給付(一時金・年金)の支給実態を基に作成
 
このように、大卒の場合でも高卒の場合でも、早期退職を選択すると通常よりも退職金が多くもらえる場合が多いようです。
 

早期退職する際の注意点

早期退職をして割増の退職金をもらうことは、たしかにメリットもありますが、注意すべき点もあります。
 
例えば、貯蓄が十分にないにもかかわらず、目先の割増金のことに目がくらんで早期退職を選択するのは危険です。
 
年金は基本的には65歳で受け取れますが、今回の事例のように55歳で退職をしてしまうと、その後年金を受け取るまでの10年間の生活費については、貯蓄を切り崩すか、再就職をして生活費を稼ぐ必要があります。
 
貯蓄が十分あれば良いかもしれませんが、そうは言っても長い老後、できるだけ貯蓄は残しておきたいと考える人もいるでしょう。
 
また再就職が上手くいかないことも考えられます。なかなか職が見つからず無収入の期間が続いたり、給与が大幅に下がってしまったりするかもしれません。「なんとかなる」と軽い気持ちで考えていると、いつの間にか割り増し分の退職金を使い果たしたのに、就職できずにどんどん貯蓄がなくなっているという事態も考えられるでしょう。
 

早期退職で成功する人も中にはいる

早期退職には注意点もありますが、メリットもあります。もしもすぐに再就職できて、給料が上がる、もしくは前職と同じ程度であれば、退職金の割り増し分だけ得をしたと考えられます。
 
また、第二の人生を考えた際には、定年後ではなく、できるだけ早い時期に再出発をしたいと考える人もいるでしょう。前から興味のあった分野に挑戦したり、起業したりということを考えると、年齢も定年後よりは若く、また早期退職で割増の退職金が得られるのは心強いでしょう。
 

まとめ

早期退職にはメリットとデメリットがあります。現在55歳で早期退職により退職金が1000万円増えたとしても、短期的なことだけ考えていると生活費が底をついてしまうかもしれません。早期退職については、目先のことだけでなく、長期的に人生全体のプランを見据えながら検討しましょう。
 

出典

厚生労働省 令和5年就労条件総合調査 結果の概況 4 退職給付(一時金・年金)の支給実態
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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