更新日: 2024.04.19 定年・退職

会社を定年退職した後、しばらく仕事を探さずに休養したいです。「雇用保険」は1ヶ月でどの程度もらえるのでしょうか?

執筆者 : 堀江佳久

会社を定年退職した後、しばらく仕事を探さずに休養したいです。「雇用保険」は1ヶ月でどの程度もらえるのでしょうか?
会社を定年退職したら趣味やボランティアなどで悠々自適にという時代は過去のものとなりました。
 
なぜなら、年金の支給年齢が65歳に引き上げられており、60歳で定年退職すると65歳までの5年間は、働かないと収入がなくなりますので、多くの方が定年後も働いているのが実態です。
 
そういった中で、定年退職して、雇用保険を活用して失業手当で収入を得てしばらく休養したいという考えも、長い間働いてきたのですから、心情的には理解できます。
 
本記事では、定年退職した人は失業手当がいつから、どれくらいもらえるのか見ていきたと思います。
堀江佳久

執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

雇用保険でもらえる失業手当とは

雇用保険に加入している人で、次の要件に該当する人は、失業手当を受給できます。


(1) 就職しようとする積極的な意思があること
(2) いつでも就職できる能力があること
(3) 本人やハローワークの努力によっても就職できない「失業状態」にあること
(4) 離職の日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること

つまり、失業手当は失業した人が安定した生活を送りながら、1日でも早く再就職をするための支援として給付されるものです。したがって、定年退職をしてしばらく休養しようという目的では、手当を受け取ることができません。
 
失業手当を受給するためには、定年退職をしたあとも就職へ向けてハローワークに行って、求職の申し込みと所定の手続きを行い、就職へ向けた活動を積極的に行う必要があります。
 
また、他に、失業手当を受け取ることができないケースとして、以下のものがあります。


(1) 病気やけがによって、すぐに就職ができない場合
(2) 妊娠・出産・育児のため、すぐに就職ができない場合
(3) 結婚などによって家事に専念していて、すぐに就職できない場合

 

要件に該当したら、いつから、どれくらいもらえる

定年退職して、次の就職先を探している間に、いつから、どれくらいの金額がもらえるのか見てみましょう。
 

1.いつからもらえる?

ハローワークで所定の手続きが完了したら、すぐに手当がもらえるのかというとそうではありません。受給資格が認められてから7日間は「待機期間」と呼ばれ、離職した理由にかかわらず失業手当を受け取ることはできません。
 
また、定年退職し、再雇用ができるにもかかわらず退職した場合には、自己都合が理由となり、「一般の離職者」として扱われます。その場合には、7日間の待機期間のあと、さらに2~3ヶ月の給付制限が設けられており、その期間については失業手当を受けることができません。
 
なお、会社都合などで退職した場合には「特定理由離職者」となり、7日間の待機期間のあとに失業手当を受け取ることが可能です。
 

2.どれくらいもらえる?

失業手当の1日当たりの金額を「基本手当日額」といい、次の計算式で計算されます。
 
基本手当日額 = 賃金日額(退職前6ヶ月の賃金合計÷180) × 給付率(45~80%)
 
つまり、退職前6ヶ月の賃金合計(毎月決まって支払われた賃金なので、賞与などは除きます)と給付率によって算出されます。給付率は、年齢と退職前の賃金によって変わってきますので、具体的にはハローワークで確認しましょう。
 
なお、基本手当日額は年齢区分ごとに上限額が決められており、60歳で定年した場合には7294円となります。
 

3.どれくらいの期間もらえる?

60歳の人が自己都合で退職した際には、表1のとおり、被保険者であった期間によって給付日数が決まります。
 


 

まとめ

会社を定年退職したあと、しばらく休養したいという理由では、失業手当を受給できません。手当を受け取るためには、ハローワークへ行って、次の就職へ向けて積極的に活動を行う必要があります。
 
ハローワークから失業手当の受給が許可された場合には、最大7294円/日を被保険者期間に応じた期間受給できます。
 

出典

ハローワークインターネットサービス 基本手当について
ハローワークインターネットサービス 基本手当の所定給付日数
 
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー

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