更新日: 2024.04.25 セカンドライフ

定年が70歳でも、60歳になったら「年金」をもらいながら働くことはできますか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

定年が70歳でも、60歳になったら「年金」をもらいながら働くことはできますか?
2021年4月1日から施行されている「高年齢者雇用安定法の改正」により、70歳またはそれ以上の高齢者でも、意欲と体力がある限り働き続けやすくなりました。
 
中には、年金をもらいながら働き続ければ、かなり収入が増えるのではないかと考える方もいらっしゃるでしょう。
 
そこで今回は、働きながらでも年金はもらえるのかについて調べてみました。収入によっては、年金を満額受給できなくなる可能性があるため、注意が必要です。
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高齢者が働きやすい環境へ! 定年が70歳に!?

2021年4月1日から施工されている「高年齢者雇用安定法の改正」により、定年退職の年齢が引き上げられています。厚生労働省では、事業者に対し、以下のいずれかの措置を講ずるよう努めることと述べています。


(1)70歳までの定年の引き上げ
(2)定年制の廃止
(3)70歳までの継続雇用制度の導入
(4)70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
(5)70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入

 ・事業主が自ら実施する社会貢献事業
 ・事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

70歳まで定年年齢を引き上げることが義務付けられたわけではありませんが、働く意欲のある高齢者が活躍できる環境の整備を目的として、70歳またはそれ以上でも働き続けやすくなると期待できます。
 

60歳で年金をもらいながら働けば収入はかなり増える?

65歳になると年金を受給できますが、希望する方は60~65歳になるまでの間に繰り上げて受給することも可能です。ただし、繰上げ受給をすると、ひと月あたり0.4%(昭和37年4月1日以前生まれの方は0.5%)が減額され、減額は生涯続く点に注意が必要です。
 
繰上げ受給では最大24%減額されますが、60歳で年金をもらいつつ仕事も続ければ、収入はかなり増えると考える方もいらっしゃるでしょう。しかし、働きながら年金を受給する場合、一部もしくは全額が支給停止になる可能性があります。
 

収入と年金と合計によっては一部もしくは全額が支給停止となる

厚生年金保険に加入しながら、または厚生年金保険の加入事業所で70歳以降も働く場合は、在職老齢年金という扱いになるため注意が必要です。老齢厚生年金と給与の合計が50万円を超える場合に、特別支給の老齢厚生年金または老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となります。
 
例えば、ボーナスを含む給与の月額が50万円で、老齢厚生年金が月額14万円の場合、収入は64万円となり支給停止調整額の月50万円を超えてしまいます。この場合、50万円を超えた分の2分の1である、7万円が支給停止額です。なお、老齢基礎年金に関しては、給与額にかかわらず全額受給できます。
 
以上から、年金をもらいながら働く場合は、年金と給与の額が50万円を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止になる点に注意しましょう。
 

高収入の方は定年まで働いて年金の繰り下げ受給をする選択肢も

60歳を過ぎても高収入で、年金を受け取ると収入が月50万円を超えてしまう場合は、あえて受給の時期を先延ばしにする選択肢もあります。
 
年金は繰り上げれば60歳(通常は65歳)から受け取れますが、66~75歳までの間で繰り下げて受け取ることも可能です。繰り下げ受給の場合、年金額が増額します。繰下げ受給の増額率は繰り下げた月数×0.7%で、75歳から受給すると最大84%も増額され、増額は生涯続きます。
 
「会社の定年が70歳に引き上げられた」「年金をもらえる年齢になったけれどまだまだ現役で働き続けたい」といった方は、年金受給の時期を繰り下げることを検討しましょう。それにより、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となってしまう心配がなくなります。
 
また、繰下げ受給によって退職後に受け取る年金を最大84%増やすことができ、老後資金に余裕を持たせることにもつながるでしょう。
 

60歳で年金をもらいながら働いて収入を増やすのもあり! ただし高収入の方は要注意

高齢者が働きやすい環境が整備されつつあり、70歳まで定年を引き上げたり定年制度を廃止したりする企業も今後増えてくると考えられます。年金は基本的に65歳から、繰上げ受給をすれば60歳から受け取れるため、受給しながら働くことで収入を増やすことも可能です。
 
ただし会社からの給与と老齢厚生年金の合計が支給停止調整額の月50万円を超えてしまうと、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となるため、高収入の方はよく考えたうえで年金の受給時期を決めるといいでしょう。
 

出典

厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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