更新日: 2024.05.01 セカンドライフ

老後は「月28万円」必要と聞きましたが、夫婦で年金をその程度もらえます。「アパート暮らし」でも問題なく暮らしていけますよね? 特に“ぜいたく”する予定もありません

老後は「月28万円」必要と聞きましたが、夫婦で年金をその程度もらえます。「アパート暮らし」でも問題なく暮らしていけますよね? 特に“ぜいたく”する予定もありません
これから定年を迎えるにあたり、どうやって生活費を捻出していこうか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。老後の生活費は家庭によりますが、総務省によると65歳以上の夫婦のみの無職世帯の支出の平均は月額で約28万円です。
 
この金額を見て、「夫婦でちょうどこれくらいの年金をもらえるから安心」と思う人もいるかもしれませんが、必ずしも安心とは言い切れない面があります。どういうことか詳しく見ていきましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

老後に夫婦2人で必要なお金は毎月約28万円

総務省の「家計調査報告〔 家計収支編〕 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の支出の平均は月額で28万2497円です。内訳としては、税金や社会保険料などの非消費支出が3万1538円、食費や住居費、光熱費などの消費支出が25万959円です。
 

28万円はあくまでも平均。特に住居費に注意が必要

総務省のデータを単純に見ると、夫婦で年金28万円をもらえれば、おおよそ年金だけで暮らしていけると思うかもしれません。しかし、このデータはあくまでも平均です。例えば、消費支出の25万959円のうち、食費は29.1%を占めますので、金額にすると7万3000円ほどです。食材にこだわりがあったり、外食が多かったりする家庭では、この金額を大きく上回る場合もあるでしょう。
 
また、特に住居費には注意が必要です。このデータでは住居費は消費支出の6.7%程度で、金額にすると約1万7000円です。ただ、この金額は持ち家も賃貸も両方含んだ平均です。賃貸の家に住んでいると多くの場合、家賃はこれ以上かかります。
 
そのため、賃貸アパート等に老後も住んでいる人の場合、年金収入が夫婦で28万円あり、住居費以外の支出が平均並みだったとしても、住居費がかさんで全体の収支がマイナスとなってしまう場合も大いに考えられるでしょう。
 

老後を迎える前にまずはどれだけお金がかかるかを計算することが大切

老後にどれだけの年金がもらえるかは、50代以上であれば日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」を見ると、おおよそ把握できます。
 
そして、将来受け取る年金の見込み額で生活ができるかどうかは、各家庭次第です。総務省の「28万円」はあくまでも平均ですので、それがそのまま自分たちに当てはまるとは限りません。
 
そのため、老後に年金だけでやりくりができるかどうかを考える際には、まずは老後にどれだけのお金がかかるのかを計算することが大切です。現時点の支出をベースにしつつ、それが年金生活の際にどう変わるのかを算出し、だいたいの目安をつけるところから始めましょう。
 

老後に年金だけで足りない場合の対応

もしも計算上、年金だけで老後の生活費をまかなえないと見込まれる場合はどうすればよいのでしょうか?
 
主な選択肢としては、「貯蓄を取り崩す」「老後も働く」「支出を減らす」の3つが挙げられます。
 
「貯蓄を取り崩す」場合、貯蓄金額でどれだけの間対応できるのかを計算しましょう。仮に貯蓄が1000万円あったとしても、毎月の赤字額が10万円であれば、8年しか耐えられません。この場合、平均寿命を考えるとかなり心もとないため、「老後も働く」「支出を減らす」という選択肢を考える必要があります。
 
なお、「老後も働く」ことは、現在はかなり一般的になってきました。内閣府によると、2022年において60~64歳の73.0%、65~69歳の50.8%の人が働いています。
 
また、「支出を減らす」ことも大切です。特に保険料や住居費などの固定費は、いったん見直すと効果がずっと続きますので、まずは固定費を減らせないか検討しましょう。
 

まとめ

老後に夫婦2人で必要な支出は平均で月28万円ですが、特に賃貸住宅に住んでいる場合、28万円以上かかる場合も多いと考えられます。
 
「年金が28万円あるから大丈夫」と油断せずに、まずは老後の生活費を具体的に計算してみましょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告〔 家計収支編〕 2023年(令和5年)平均結果の概要
内閣府 令和5年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)1  就業・所得
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

ライターさん募集