更新日: 2024.05.03 定年・退職
再雇用で「月収20万円」ですが、2025年から「手取りが減る」って本当ですか?「高年齢雇用継続給付」の縮小で、生活はどれだけ苦しくなるのでしょうか…?
本記事では、2025年4月以降に高年齢雇用継続給付が縮小することによる影響、老後生活の経済的不安を軽減するために行うべきことを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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2025年4月以降高年齢雇用継続給付は「縮小」する
高年齢雇用継続給付とは、60歳以後の賃金が60歳時点の賃金と比較して75%未満に低下しているときに支給される給付金です。60歳以後の賃金に所定の給付率を乗じて支給額を決定しますが、2025年4月より最大の給付率が現行の15%から10%に縮小されます。
具体的に、60歳時点の賃金が40万円で60歳以後の賃金が20万円になるとき、受給できる高年齢雇用継続給付をシミュレーションしましょう。
●2025年3月まで:20万円×15%=3万円/月
●2025年4月以降:20万円×10%=2万円/月
2025年以降、手取り収入が最大で1万円減少することになります。月1万円でも、影響は1年間で12万円、5年間で60万円となります。
60歳時点から賃金が減るうえに、政府からの給付金が減少することで経済的に苦しいと感じる人がいるかもしれません。高年齢雇用継続給付が減少することで老後生活に不安を感じている場合は、できるだけ早い段階から、老後に向けて何らかの手を打つ必要があるでしょう。
定年後の「手取り金額減少」に備えるためにやるべきこととは?
内閣府の「令和4年版 高齢社会白書」によると、令和3年における労働力人口総数に占める65歳以上の割合は13.4%でした。同割合は右肩上がりで上昇し続けており、就労する高齢者は今後も増えると考えられるでしょう。
現行法では、企業に対して65歳までの雇用確保措置が義務付けられており、70歳までは努力義務となっています。今後は70歳までの雇用確保措置が義務化される可能性も考えられ、体力と気力があれば長く働き続けられる環境が整備されると見込まれるでしょう。
ただし、一般的に役職定年や再雇用への移行に伴って、収入は減少します。減少した収入の一部を補てんするために高年齢雇用継続給付金という制度がありますが、先述したように2025年4月より縮小される予定です。
現在、公的年金を受給する基準となる年齢は65歳です。60歳で定年退職して公的年金を繰上げ受給しない場合、60歳から64歳までの間は公的年金が支給されません。その時期は、大幅に減少した給与収入で生活しなければならないことから、経済的な不安を感じやすいでしょう。
定年後の収入減に備えるために、早い段階からやるべきことは以下のとおりです。
●支出を見直す
●可能な範囲で収入源を多様化する
●健康管理を行う
●退職金額を把握して活用方法を考えておく
定年を控えている年齢層、例えば55歳前後の方は住宅費用や教育費用が一段落しているケースもあるでしょう。住宅費用や教育費用が一段落していれば、老後資金作りに集中できます。
固定費の見直しや惰性の支出を抑えることで、老後生活に向けて貯蓄を進められるでしょう。収入を大幅に増やすのは現実的ではありませんが、支出の抑制は誰でも行えます。収入減を見据えて支出を抑えることが、健全な家計運営を行う鍵となります。
副業や資産運用を行い、可能な範囲で収入源を多様化することも検討しましょう。副業に関しては体力的・時間的な制約がありますが、もし余裕があれば挑戦する価値はあります。近年はクラウドソーシングサービスをはじめとした副業のプラットフォームが整備されているため、気軽に始めてみましょう。
健康管理を行うことも、安心して老後生活を送るうえで大切なポイントです。健康体を維持すれば就労して給与収入を得られる期間が延び、医療費負担を抑えられます。医療費や介護費は老後の大きな支出となるため、日頃から健康管理を心掛け、病気の予防や早期発見・早期治療に努めることをおすすめします。
定年時に退職金(退職年金を含む)を受け取る予定がある方は、退職金をどのように使うか考えておきましょう。退職金は老後生活を支える大切な資金となるため、いくらもらえるか把握することが大切です。
退職金を生活費に充てるのか、あるいは資産運用に充てるのかは個人の自由です。いずれの場合でも、大切な資金を失わないように、あらかじめ退職金を活用する計画を立てておくとよいでしょう。
まとめ
2025年4月より、高年齢雇用継続給付が縮小されます。60歳以降の手取り収入が減少することから、経済的な不安を感じている方は早い段階から手を打つことをおすすめします。
本記事で紹介したような、早い段階から「収入を増やす」「支出を減らす」という取り組みを行えば、定年後に手取り収入が減っても定年後の生活を安心して送れる可能性が高まるでしょう。
出典
厚生労働省 高年齢者の雇用
厚生労働省 高年齢雇用継続給付の見直し(雇用保険法関係)
内閣府 令和4年版高齢社会白書
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー