更新日: 2024.05.07 定年・退職

夫が定年後は働かないそうです…貯蓄「1000万円」と退職金「1000万円」あれば老後資金は大丈夫でしょうか?

夫が定年後は働かないそうです…貯蓄「1000万円」と退職金「1000万円」あれば老後資金は大丈夫でしょうか?
定年退職後に働かない場合は給料が入らないため、ほかの収入源がない限り、引退後の生活は年金によるところが大きくなるでしょう。
 
しかし「年金だけでは心もとない」と感じ、貯蓄や退職金でなんとかカバーしたいと思うかもしれません。
 
本記事では、いわゆる「老後2000万円問題」を取り上げ、老後の生活に必要な資金について気になる情報をご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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老後は最低2000万円必要!?

「老後2000万円問題」という話題が時折ニュースで取り上げられることがあります。
 
これは「老後の資金にどれくらいの資産が必要か」を巡るテーマで、発端は金融庁の金融審議会によるシミュレーションです。
 
シミュレーションでは、「高齢夫婦の無職世帯の場合、年金給付だけでは毎月約5万5000円の赤字額になり、老後20年間で約1300万円、30年間で約2000万円を保有資産から取り崩さないといけない」と試算されました。
 
この試算により、「老後は2000万円の資産があることが好ましい」といわれることがあります。
 
今回のケースでは、貯蓄「1000万円」と退職金「1000万円」で合計2000万円の資産があるため、金融庁の試算による必要資金は「クリア」しています。
 

「2000万円」はモデルケースの金額に過ぎない

「老後2000万円問題」というワードが取りざたされたため、「老後資金を2000万円貯めておかなければ大変になる」と不安に感じる場合があるでしょう。
 
しかし金融庁の試算は、あくまでモデルケースにおける結果です。
 
モデルケースにおける支出をいくつか抜粋すると、表1の額で試算されています。
 
表1

支出費目 金額
食料 6万4444円
住居 1万3656円
光熱・水道 1万9267円
保健医療 1万5512円
教養娯楽 2万5077円
その他の消費支出 5万4028円

※金融庁「金融審議会『市場ワーキング・グループ』(第21回)議事次第 厚生労働省提出資料」を基に筆者作成
 
本試算ほど支出がない家庭であれば、2000万円も保有資産から取り崩す必要はないかもしれません。
 

老後資金に関して押さえるべきポイント

退職後の生活資金の大部分を年金に期待する場合、「退職の時期」も考慮すべきポイントのひとつです。
 
年金の支給開始年齢は基本的に65歳からです。
 
そのため60歳で退職すると、年金受け取りまで収入が全くない期間が発生し、老後資金が足りなくなる恐れがあります。
 
繰上げ受給の請求をすれば60歳からでも受け取れますが、減額されての支給となります。
 
60歳で退職するつもりなら、年金受け取りまでの生活設計を慎重に考える必要があるでしょう。
 
また金融庁の試算よりも多くの支出がある家庭の場合、2000万円以上の資金が必要になる恐れがあります。
 
例えば住宅ローンの残債が多く残っているケースや、介護費用が必要になるケースなどです。
 

老後に必要な資産額は人それぞれ

金融庁の試算では、定年退職後に必要な資産額は30年間で約2000万円です。
 
しかしこの金額はモデルケースに過ぎません。
 
個人の年金額や支出額によっては、より大きな資産が必要か、より少ない資産で十分なケースもあるでしょう。
 
個々の家庭によって状況が異なるため、具体的な状況に基づいた試算やリスクケアが重要です。
 

出典

金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」 (2)収入・支出の状況(8~15ページ)、 (3)金融資産の保有状況(15~16ページ)
金融庁 金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第21回)議事次第 資料2 厚生労働省提出資料 高齢夫婦無職世帯の収入・支出(24ページ)
日本年金機構 年金の繰上げ受給
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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