更新日: 2024.05.20 その他老後

老後の収入は「月13万円」の年金のみ。それでも“税金”の支払いは必要? 年金の「手取り額」についても解説

老後の収入は「月13万円」の年金のみ。それでも“税金”の支払いは必要? 年金の「手取り額」についても解説
個人事業主の人や、厚生年金保険料の納付額が少なかった人の場合、毎月の年金受給額が思っていたよりも多くなかったということもあり得ます。その際に、年金収入から税金などが徴収されてしまうのか気になる人もいるでしょう。
 
本記事では、年金が月13万円の人をモデルケースに、どれくらいの税金や社会保険料が発生するか試算していきます。
辻本剛士

執筆者:辻本剛士(つじもと つよし)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種

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年金にも税金や社会保険料がかかる可能性がある

原則、65歳になると年金の受給が開始されますが、この年金に関しても一定金額以上を受け取っている人は税金や社会保険料が発生します。税金は「所得税」と「住民税」が、社会保険料は主に「国民健康保険」と「介護保険料」が挙げられます。
 
しかし、年金受給額が少ない人に関しては、税金が非課税になったり、社会保険料が減額になったりします。次のモデルケースで、税金や社会保険料を試算しましょう。

【モデルケース】

年金収入:156万円(月13万円)
家族構成:単身世帯
年齢:66歳
利用できる所得控除:基礎控除
加入中の健康保険:国民健康保険

 

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所得税

まずは所得税から試算していきます。年金収入がある人は「公的年金控除」が設けられており、65歳未満と65歳以上で控除額が異なります。また、公的年金控除とは別に基礎控除48万円を利用することが可能です。65歳以上の人が利用できる控除額は次のとおりです。
 
65歳以上:158万円(公的年金控除110万円+基礎控除48万円)
 
今回のモデルケースでは年金収入が156万円のため、控除額158万円を差し引くと所得はゼロとなり、所得税は発生しません。
 

住民税

続いては住民税です。住民税は各地域によって若干税額が異なります。原則として、収入から利用できる各控除額を差し引き、その所得に対して10%(所得割)の税金が課されます。また、「所得割」に加えて一定所得があるすべての人が均等に負担する「均等割」も課される仕組みです。今回は神戸市の住民税額を参考に試算します。
 
住民税においても所得税と同様に「公的年金控除」と「基礎控除」を利用できます。こちらも65歳未満と65歳以上で控除額が異なります。
 
65歳以上:153万円(公的年金控除110万円)+基礎控除43万円
 
「住民税の所得」
158万円-153万円=3万円
3万円が所得になります。
 
「住民税の所得割」
3万円×10%(市民税8%・県民税2%)=3000円
 
「住民税の均等割」
神戸市の均等割は次のとおりです。

●市民税:3900円
●県民税:2300円

※地域独自に定められた負担金は考慮しないものとする
※税額控除等は考慮しないものとする

よって、住民税は9200円(3000円+3900円+2300円)となります。
 

国民健康保険

国民健康保険においても各地域によって保険料の算出方法が異なります。神戸市の場合は所得に対して図表1の保険料率が適用されます。
 
図表1

図表1

神戸市 保険料の額は
 
所得は前記のとおり3万円(156万円-110万円-43万円)として計算します。また、国民健康保険は収入が低い世帯に対して減額措置が設けられており、所得が一定基準以下の場合は「均等割」と「平等割」について最大7割の減額が可能です。減額割合は図表2のとおりです。
 
図表2

図表2

神戸市 保険料の減額
 
今回のケースですと、所得は3万円となるため、7割の減額が適用されます。次から図表1を参考に「医療分」と「後期高齢者支援金」を求めます。

「医療分」

●所得割:3万円×7.88%=2360円
●均等割:1万60円(3万3540円の7割減)
●平等割:6590円(2万1980円の7割減)

※10円未満切り捨て

「後期高齢者支援金分」

●所得割:3万円×3.03%=900円
●均等割:3730円(1万2460円の7割減)
●平等割:2450円(8170円の7割減)

※10円未満切り捨て

「介護分」
65歳以上(74歳まで)の人の保険料については介護分を計算に入れず、別途市などに「介護保険料」として納めます。そのため、今回のケースでは介護分はゼロです。
 
よって、国民健康保険料は1万9010円(医療分)+7080円(後期高齢者支援金分)=2万6090円となります。
 

介護保険料

介護保険料は世帯収入や市民税の課税対象者かによって保険料が異なります。神戸市の場合は図表3の保険料が適用されます。
 
図表3

図表3

神戸市 介護保険ポケットガイド
 
今回のケースですと、市民税の課税対象となり、合計所得が120万円未満のため、第6段階に該当します。よって、介護保険料は8万4480円になります。
 
以上、所得税と住民税、国民健康保険、介護保険料を計算しました。
 
年金収入からこれらを差し引いた金額が手取り額になります。
 
【手取り額】
156万円(年金収入)-9200円(住民税)-2万6090円(国民健康保険)-8万4480円=144万230円

 

年金が少ない人は家計の見直しを計ろう!

年金収入にも税金や社会保険料は徴収されますが、年金受給額が少ない人は税金が非課税になったり、社会保険料が減額されたりします。ただし、いくら税金や社会保険料が減額されても、そもそもの年金収入が低い状態のため、毎月の生活は厳しいかもしれません。
 
そのため、まずは家計の見直しなどを実施し、少ない年金収入でもやりくりできる生活スタイルを構築できるよう進めていきましょう。自身で見直しが難しい人はFPなどに相談することをおすすめします。
 

出典

国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
国税庁 No.1199 基礎控除
神戸市 令和3年度から適用される個人の市民税・県民税の主な改正
神戸市 保険料の額は
神戸市 保険料の減額
神戸市 介護保険ポケットガイド
 
執筆者:辻本剛士
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種

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