更新日: 2024.06.05 定年・退職

誕生月の1ヶ月前の「定年」はお得!?「65歳になった月」に定年したらどれくらい「損」になる?

誕生月の1ヶ月前の「定年」はお得!?「65歳になった月」に定年したらどれくらい「損」になる?
定年退職する際にもらえるお金は、退職金以外にもあります。
 
しかし、退職にまつわるお金は、定年退職かそうでないかによってもらえる金額が異なります。
 
そこで今回は、誕生日の1ヶ月前の定年は、65歳になった月に退職するよりもお得なのかについて検証していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

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65歳で定年退職すると損をするのか?

65歳で定年退職すると、雇用保険の面ではメリットがありますが、そのほかの面ではあらかじめ知っておきたい注意点がありますのでみていきましょう。
 
65歳の定年退職と64歳11ヶ月で退職した場合に、もらえるお金と控除されるお金については次の通りです。

【65歳の場合】

・退職金(定年退職時の規定額)
 
・高年齢求職者給付金(被保険者であった期間が1年以上の場合は、雇用保険における基本手当の50日分)
 
・社会保険料などの自己負担はなし

 

【64歳11ヶ月の場合】

・退職金(減額される可能性あり)
 
・雇用保険基本手当の150日分(特定受給資格者及び一部の特定理由離職者ではなく、かつ、被保険者であった期間が20年以上ある場合)
 
・社会保険については1ヶ月分のみ全額自己負担
 
・厚生年金が1ヶ月分少なくなる

65歳の定年の場合は、会社の規定通りの退職金が支給されますが、64歳11ヶ月で退職すると自己都合退職になり退職金が少なくなる可能性があります。
 
一方で雇用保険においては、64歳11ヶ月で退職した方が支給される金額は多いものの、こちらも自己都合退職となれば支給されるまでに2ヶ月の待機期間が発生するでしょう。
 
また、待機期間中は働くことができません。
 
次の職場や開業などが決まっている場合は、64歳11ヶ月での退職はできないことになります。
 
雇用保険の面だけみれば、64歳11ヶ月の方がもらえる金額は多いですが、1ヶ月分の社会保険料の支払いが必要になることや受け取れる年金が1ヶ月分少なくなるようなので注意が必要です。
 

65歳と64歳11ヶ月の定年退職でもらえる金額の差はどれくらいか?

では実際に、64歳11ヶ月と65歳の定年退職ではもらえる金額にどれほどの差があるのかを検証します。
 
まずは雇用保険についてです。いずれの場合も雇用保険に20年以上加入しており、基本手当日額を6000円とします。
 

【64歳11ヶ月の場合】

雇用保険基本日額6000円×150日分=90万円

【65歳の場合】

雇用保険基本手当日額6000円×50日分=30万円

雇用保険の受給額で比べると、60万円も受給額に差があります。
 
次に退職金については、65歳の定年であれば満額がもらえますが、64歳11ヶ月の場合、会社によっては自己都合退職とされて退職金について大幅な減額をされるケースもあります。
 
厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、大学・大学院卒で勤続20年以上かつ45歳以上の方の退職金の平均は、定年の場合1896万円、自己都合の場合は1441万円で、その差は400万円以上になります。
 
65歳の定年退職と64歳11ヶ月での退職は、雇用保険・退職金・社会保険料控除・年金受給などさまざまな面からみると、どちらの方がもらえる金額が多いかは一概にはいえません。
 
会社の退職金に関する規定や、雇用保険の給付内容など、よく確認したうえで退職するタイミングについて決める必要があるでしょう。
 

64歳11ヶ月で退職すると65歳の定年退職よりも雇用保険受給額は多いが退職金は減ってしまう可能性がある

64歳11ヶ月で退職すると、65歳で定年を迎えるよりも雇用保険における受給額は、多くなることが分かりました。
 
一方で、65歳の定年では満額の退職金を受け取れますが、64歳11ヶ月での退職は自己都合とみなされ退職金が大幅に減額されるおそれがあります。
 
どちらの方が受け取れる金額が多くなるかは定年後の働き方方や状況により異なり、どちらの方がお得かは一概にはいえません。定年を迎える前に、社内の退職金規定や雇用保険について確認のうえ、よく考えて定年の時期を決めるようにしましょう。
 

出典

厚生労働省 令和5年就労条件総合調査 結果の概況(17ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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