更新日: 2024.06.13 定年・退職

退職金を一括ではなく、毎月受け取る形にしました。この場合「収入」として計算され、もらえる年金は減りますか?

退職金を一括ではなく、毎月受け取る形にしました。この場合「収入」として計算され、もらえる年金は減りますか?
退職金は分割して受け取れますが、働いている場合には年金との兼ね合いが気になる方もいるかもしれません。
 
老後の生活を考えると、貯蓄に余裕を持ちたいという方も多いでしょう。
 
本記事では、退職金と在職老齢年金の関係について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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退職金を分割で受け取れる仕組み

退職金は、一括で受け取る方法だけでなく、分けて受け取ることも可能です。
 
それぞれにメリットがありますが、一括で受け取る場合には「退職時所得控除」が適用されることで、税の負担が少なくなります。
 
分割して受け取る場合には、退職金を運用する期間が長くなるため、受け取る総額が一括の場合よりも多くなることがメリットです。
 
また、それぞれのメリットを生かした併用型もあります。
 
定年退職前後には、自身の世帯の状況や将来のことを考え、以上の3つの方法から最適なものを選択するでしょう。
 
しかし、定年退職後も働く場合には在職老齢年金制度を受け取ることもできます。
 
定年前後には、老後に備えてさまざまな制度からの給付を受け取れます。
 
そのため、それぞれの支給要件について十分な確認が必要です。
 

在職老齢年金制度とは

在職老齢年金制度の目的や概要、計算方法について解説します。
 

制度の目的と概要

日本年金機構ホームページによれば、「在職老齢年金制度」とは以下のような制度です。

・60歳以降に在職しながらでも受ける年金(厚生年金保険に加入していることが条件)。しかし、受給している厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額によっては年金額が支給停止になる

もともと年金は「退職」が支給要件でした。
 
しかし、高齢になると会社での賃金が低くなり、生活が困難になることもあったため、在職中でも年金を受け取れるようにと在職老齢年金制度が設けられました。
 
またこの制度は、働いていても年金が不利にならないようにするため、また現役世代の負担を軽減するために都度見直しを行っています。
 

在職老齢年金制度における計算方法

在職老齢年金の制度では、以上の基本月額と総報酬月額相当額の合計が50万円以下の場合には年金が全額支給されます。
 
しかし、50万円を超える場合には、一部または全額支給停止となってしまいます。
 
支給停止額の計算式を以下に示します。

基本月額-(総報酬月額相当額+基本月額-50万円)÷2

基本月額とは、言い換えると「老齢厚生年金(年額)を12で割った」ものです。
 
なお、加給年金(配偶者や子どもを扶養している場合に老齢厚生年金に上乗せされる年金)を除きます。
 
また、総報酬月額相当額について詳しくは以下の通りです。
 
標準報酬月額の「報酬」とは基本給に通勤手当や残業手当などの各種手当を加えたものです。
 
報酬月額を1等級から32等級までに分け、その等級に該当するものが標準報酬月額となります。
 
計算式でいうと、「(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12」です。
 
これらのことより、退職金は在職老齢年金制度の計算の範囲に含まれないことが分かります。
 
また、前述の通り、基本給や手当、賞与の部分だけが在職老齢年金の対象となるため、株や不動産投資で得た収入は対象となりません。
 

退職金を分割でもらっても、もらえる年金額は変わらない

在職老齢年金の計算項目に退職金は入らないため、受け取れる年金額は変わりません。
 
そのため、退職金を分割でもらうことで年金が少なくなることはありません。
 
退職金や年金を活用し、老後の貯蓄を着実に形成していきましょう。
 
また在職老齢年金は、制度の見直しも頻繁に行われているため、引き続き動向に注目することをおすすめします。
 

出典

日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
日本年金機構 年金用語集 さ行 在職老齢年金
日本年金機構 年金用語集 は行 標準報酬月額
国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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