更新日: 2024.06.25 定年・退職
来年65歳ですが、勤務先が70歳まで働ける制度を導入しました。退職するか働き続けるか迷っています…
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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70歳まで働ける制度とは
令和3年に「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」の一部が改正され、事業主に「70歳までの定年の引き上げ」や「定年制の廃止」などの措置を講じるよう通達されています。この改正が行われたのは、少子高齢化が進む現代で経済活動を維持するために、意欲や体力のある高年齢者が活躍できるような環境を整備するためです。
しかし、この改正では必ずしも「70歳までの定年引き上げ」を義務づけているものではない部分に注意が必要です。あくまで働く意欲のある方の選択肢を増やすという点を重視したものです。
この改正を踏まえて、定年年齢を70歳まで引き上げている会社もあります。実際に70歳以上まで働ける企業はどのくらいあるか、次項にて見ていきましょう。
70歳以上まで働ける企業の割合と推移
厚生労働省の令和5年「高年齢者雇用状況等報告」によれば、70歳以上まで働ける会社を以下のように定め、実施状況について調査しています。
●定年制度がない
●定年年齢が70歳以上
●希望するもの全員を70歳以上まで継続雇用
●対象者にかかわる基準に該当する者を70歳以上まで継続雇用
●創業支援等措置や、そのほか企業の実情に応じて何らかの仕組みで70歳以上まで働ける
調査によれば、報告のあった全企業のうち41.6%が、70歳以上まで働ける制度を取り入れていることが分かっています。
また、前年度と比べて2.5ポイントの増加があったことから、高年齢者のさらなる活躍を期待している企業が多いとも推測されます。
さらに、企業の規模別では中小企業が41.8%、大企業では38.1%の実施状況でした。今後も少子高齢化が進むことで、定年年齢を引き上げる会社はさらに増えていくでしょう。
何歳まで働きたいと考える人が多い?
内閣府の「高齢者の経済生活に関する調査」において「何歳ごろまで収入をともなう仕事をしたいか」について調査しています。調査結果は表1の通りです。
表1
年齢 | 割合 |
---|---|
65歳くらいまで | 25.6% |
70歳くらいまで | 21.7% |
75歳くらいまで | 11.9% |
80歳くらいまで | 4.8% |
働けるうちはいつまでも | 20.6% |
仕事をしたいとは思わない | 13.6% |
不明・無回答 | 1.9% |
※内閣府の「高齢者の経済生活に関する調査」を基に筆者作成
「65歳くらいまで」、また「70歳くらいまで」という回答が特に多いことが表1から分かります。そのため、会社が70歳まで定年を引き上げた場合には、継続して働きたいという方も多いと考えられます。
では、70歳以降も働き続けることでどのようなメリットがあるのか、またデメリットがあるのでしょうか。70歳以上で働き続ける労働者側のメリット・デメリットは以下の通りです。
〈メリット〉
●安定した収入源となる
●社会への貢献ができるため、生きがいになる
●通勤や業務で体を動かす機会が持て、健康の維持増進につながる
〈デメリット〉
●身体的に、また精神的な負担になるおそれがある
●今まで行っていた業務に携われなくなる可能性もある
メリットとデメリットを踏まえたうえで、70歳以降も働くかどうかを検討しましょう。
メリットとデメリットを考慮したうえで働き続けるか検討しましょう
70歳までの定年の引き上げが行われていても、働き続けることを強制するものではありません。ご自身の体力や働きたい気持ちがあるかどうかといった面で、十分に考えたうえで検討されることをおすすめします。
また定年後には、仕事のない生活に変わることで喪失感を覚えたり、気力が減退してしまったりすることもあるようです。
そういった点でも、仕事は生きがいや社会的な居場所ともなります。仕事を続ける場合と、続けない場合、自分の生活がどのように変わるかイメージしてみるとよいでしょう。自分にあったベストな選択をしていきましょう。
出典
厚生労働省高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~
厚生労働省 令和5年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します 発表資料(1月19日訂正版) (2) 70 歳以上まで働ける制度のある企業の状況(スライド7-8)
内閣府 令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果(全体版)2.仕事に関する事項
(1)何歳まで収入を伴う仕事をしたいか(Q4)(スライド14-15)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー