更新日: 2024.06.27 定年・退職
定年後は再雇用で「月20万円」稼げることになりました。70歳まで働くと、年金はどのくらい増えますか? 現在は「月10万円」もらえる予定です
本記事では、60歳で定年を迎えたあとに70歳まで働いたケースにおいて、いくら年金額が増えるか解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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70歳まで働くともらえる年金はどれだけ増える?
老齢年金は老齢基礎年金と老齢厚生年金の2階建てです。受給できる老齢厚生年金額は「報酬比例部分+経過的加算+加給年金額」で計算します。
定年後の再雇用で毎月20万円の給与を受け取る場合、将来受け取れる厚生年金がいくら増えるのかシミュレーションします(加給年金額は考慮しません)。
平成15年4月以降の厚生年金の加入期間の報酬比例部分は「平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数」で算出します。毎月20万の給料で働くと「20万円×5.481/1000×1ヶ月≒1096円です。
報酬比例部分は1ヶ月につき約1096円増えるため、10年(120ヶ月)働けば年間約13万円、月額換算で約1万1000円受け取れる年金が増えることになります。
厚生年金加入期間が480ヶ月未満の人は、480ヶ月に達するまで経過的加算による増額があります。増額されるのは、厚生年金への加入1ヶ月につき1652円(令和5年度)です。10年間(120ヶ月)保険料を納めれば、最大で年額約19万8000円、月額換算で約1万6000円年金額を増やすことが可能です。
60歳から10年間にわたって月額20万円で働いた場合、報酬比例部分と経過的加算額を合わせて毎月の年金額を約2万7000円増やせます。
年金は終身にわたって支給されることを考えると、少しでも受け取れる金額を増やすことは有意義です。「月額10万円の年金が一生涯にわたって受け取れる」場合と「月額12万7000円の年金が一生涯にわたって受け取れる」場合では、安心感が違うのではないでしょうか。
「生涯現役」を目指す人が注意すべき年金制度のポイントとは
生涯現役で働く意向を持っている人が注意すべきは、在職老齢年金です。在職老齢年金とは、受給する老齢厚生年金額と給与収入が一定額を超えたとき、年金の一部、または全額が支給停止される制度です。
具体的には、令和6年度は「基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-50万円)÷2」の計算式で算出された年金額が支給停止となります。
なお、基本月額と総報酬月額相当額の計算方法は次のとおりです。
●基本月額:加給年金額を除いた老齢厚生(退職共済)年金(報酬比例部分)の月額
●総報酬月額相当額:(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12
在職老齢年金を簡単に説明すると、年金と賞与を含む給与収入の月額合計が50万円を超えると、年金額の一部が支給停止される制度です。
年金受給額が12万円で月給が20万円、標準賞与額が80万円の場合、年金と賞与を含む給与収入の月額が約38万6000円となるため、在職老齢年金による支給停止は行われません。
つまり、今回の相談者に関しては在職老齢年金制度による支給停止を心配する必要はありません。ただし、今後給料のベース額が上がったり、支給される賞与額が上がったりすると在職老齢年金による減額に該当する可能性があります。
特に、昨今はインフレの影響もあり賃上げを行う企業が増えています。そのため、再雇用後に給与の増額や臨時の賞与支給が行われたときは、在職老齢年金の影響を受けないか確認する必要があるでしょう。
まとめ
長生きすることにより、老後のための資金が足りず生活に困るという「長生きリスク」に備えるために、受給できる年金額を増やす重要性は高まっています。年金額を増やすうえで効果的な手段となるのは、できるだけ長く働くことです。
しかし、年金月額と給与収入の月額が50万円を超えると、在職老齢年金による年金の一部支給停止を受ける可能性があります。60歳以降も働く予定の人は、公的年金制度の理解を深めて、自分にとってベストな受給方法を考えてみてください。
出典
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 か行 経過的加算
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー