更新日: 2024.06.28 セカンドライフ
現在の年収は「650万円」ですが、定年後は年収が「6割程度」になると聞きました。老後も住宅ローンの返済が続くのですが、実際の給与はどのくらい下がるのでしょうか…?
本記事では、定年後も一定の収入を確保するために、定年後再雇用を選択するケースを想定した収入と支出の関係について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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同一労働同一賃金とは
定年後再雇用は収入が減る、というイメージがありますが、そもそも収入が減ることに問題はないのでしょうか。定年後再雇用に限った話ではありませんが、基本的に仕事に対する対価は「同一労働同一賃金」という考え方に基づいて決定されます。
同一労働同一賃金とは、同じ会社で働く人が同じ内容の仕事内容をしている場合において、フルタイム・短時間勤務または有期雇用・無期雇用、自社雇用社員・派遣社員など雇用形態の違いによって、賃金に不合理と認められる違いがあってはならない、という考え方です。
定年後再雇用はいわゆる有期雇用となりますが、この同一労働同一賃金の考え方に基づくと、定年前と同じ仕事をしているならば、合理的理由がない限りは、処遇を引き下げることは問題となります。
定年後再雇用者の賃金は現役世代の約6~8割
しかし実際には、定年後再雇用は現役時代と比べ、60歳を基準とすると、男性で20~40%、女性で20~30%、収入が下がるという調査結果があります。
定年後再雇用は、定年退職後に改めて雇用契約を結ぶという仕組みであり、再雇用契約時に条件の引き下げが可能です。
また、国としても、65歳まで雇用機会を提供することを求める一方で、65歳まで現役時と同じ条件で雇用することは求めていません。再雇用契約で仕事の内容や勤務時間を制限するのが一般的であるため、同一労働同一賃金の観点からも収入減は問題となりません。
老後の生活費は現役世代よりも約2割少ない
住宅ローンの返済は定額で続くため、収入が減ることに対して不安に感じる人は多いかと思います。
しかし一方で、支出に目を向けると、50~54歳をピークに年齢を重ねるごとに必要な生活費が下がっていくことが一般的です。総務省統計局の2023年家計調査の結果による、世帯主の年齢階級別にみた二人以上の世帯の消費支出は図表1のとおりです。65~69歳時点の消費支出はピーク時に比べて84%程度になっています。
図表1
年齢層 | 1ヶ月の消費支出 |
---|---|
45~49歳 | 34万2084円 |
50~54歳 | 35万8142円 |
55~59歳 | 33万7276円 |
60~64歳 | 31万1453円 |
65~69歳 | 30万1705円 |
70~74歳 | 27万2657円 |
75~79歳 | 24万5107円 |
総務省統計局 2023年家計調査より筆者作成
生活費が下がる一般的な要因としては、次の費目があげられます。
教育費
最も大きく生活費が下がる傾向にあるのが教育費です。子どもが手を離れ、支払っていた教育費が大きく下がることで、月に3万円以上も必要な金額が減ることが考えられます。
被服費
被服費は仕事向けに購入する衣類などの費用が比較的高価であるため、仕事で一線を退いたあとは、現役時代よりも下がる傾向にあります。
交通費・通信費
退職後は通勤する必要がなくなりますので、現役時代よりも通勤費が削減されます。もちろん、会社から通勤手当が出ていた人は手当がなくなりますが、収入減だけでなく、支出減もセットで考える必要があります。
まとめ
定年を迎えると、仮に再雇用で働き続けるとしても年収は減少する傾向にあります。一方で支出は50~54歳をピークに減少することが一般的であり、収支のバランスはその時々によって変わります。
定年退職のタイミングや再雇用の有無などに加えて、定年後にどのような生活を送りたいか、ということも合わせて収支を予測することで、無理のない住宅ローン返済を考えていきましょう。
出典
厚生労働省 同一労働同一賃金ガイドライン
厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査
総務省統計局 家計調査 家計収支編 2023年
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー