更新日: 2024.07.04 セカンドライフ
母は70歳まで働き続けるようなのですが「収入をいくらにおさめよう」と悩んでいました。稼ぎすぎると何かあるのですか?
しかし、働くにしても稼ぎすぎると、何らかの影響を与えるかどうかを理解していない人も多いのではないでしょうか。特に老齢厚生年金をもらいながら働く場合は、一定の要件に該当すると年金が支給停止になる場合があるので注意が必要です。
そこで本記事では、70歳まで働き続ける際に稼ぎすぎると何が起こり得るのかについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
厚生年金の加入義務は70歳まで
勤務先が強制・任意問わず適用事業所となっており、常時雇用されている70歳未満の従業員は、厚生年金に加入する義務があります。日雇い労働者など、労働期間が短かったり、所在地が一定しない事業所で働いていたりする場合は、厚生年金の加入要件を満たしません。
ただし、1週間の所定労働時間と1ヶ月の所定労働日数が短いパート・アルバイトでも、1週間の所定労働時間または1ヶ月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3未満、かつ以下に該当する人は厚生年金に加入できます。
・週の所定労働時間が20時間以上ある
・月額賃金が8万8000円以上である
・学生でない
老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額によって年金が支給停止となる場合がある
60歳以降も働いて老齢厚生年金を受け取りながら、厚生年金に加入できます。しかし、在職老齢年金によって、収入次第で年金が支給停止になる場合があるので注意が必要です。
在職老齢年金によって、年金の一部または全額支給停止となるのは「老齢厚生年金の基本月額」「総報酬月額相当額」の合計が50万円を超えた場合です。
・老齢厚生年金の基本月額:老齢厚生年金の月額(加給年金額を含まない)
・総報酬月額相当額:1ヶ月あたりどのくらいの給与をもらっているかを表す額(その月の標準報酬月額と直近1年の標準賞与額の合計を12で割った額)
在職老齢年金による年金支給月額は、「老齢厚生年金の基本月額-(老齢厚生年金の基本月額+総報酬月額相当額-50万円)×1/2」にて計算してみてください。
収入によって年金が減額すると、老後の生活費を確保するのに大きな影響を与えるでしょう。定年退職後も働き続ける場合は、在職老齢年金の制度によって年金が支給停止とならない働き方を考えなければなりません。
実際に支給停止になる人の割合は低い
在職老齢年金の制度によって年金が一部または全額支給になる人は、決して多くありません。厚生労働省の「年金制度の仕組みと考え方」では、実際に支給停止の対象となったのは、65歳以上の在職している年金受給権者248万人中41万人(17%)とのことです。
年金が支給停止とならないための対処法
在職老齢年金で年金が一部または全額支給停止にならないように、以下の方法にて対処してみてください。
・基本月額と総報酬月額相当額の合計額を50万円以下にする
・厚生年金に加入しないで働く
以下で、それぞれの方法別に内容を解説します。
基本月額と総報酬月額相当額の合計額を50万円以下にする
老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が50万円を超えないように調整して働いてみてください。老齢厚生年金の基本月額は変えられませんが、総報酬月額相当額なら労働時間などで調整できます。自分で調整が困難な場合は、勤務先と相談して労働条件を決めてみてもよいでしょう。
厚生年金に加入しないで働く
年金の一部または全額支給停止にならないために、厚生年金に加入しないで働くことを検討してみてください。厚生年金に加入しなければ、年金額の調整をする心配がないからです。
厚生年金に加入したくない場合は、厚生年金適用事業所で働かない、週の所定労働時間が20時間を超えない、月額賃金が8万8000円を超えないようにしてください。
働きながら年金額を減らしたくない場合は働き方を考えよう
定年退職後も働き続けるのは、健康維持や収入確保のために効果的な方法です。しかし、厚生年金に加入しながら年金を受け取る場合、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額を合算して50万円を超えないように働きましょう。稼ぎすぎるのは決して悪くありませんが、年金の一部または全額が支給停止になる場合があるからです。
出典
日本年金機構 適用事業所と被保険者
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
厚生労働省 年金制度の仕組み 第10 在職老齢年金・在職定時改定
厚生労働省 社会保険適用拡大 対象となる事業所・従業員について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー