更新日: 2024.07.09 定年・退職
56歳で「年収700万円」。定年後は「再雇用」の予定ですが、給料がかなり下がると聞きます。給付金などの“補填”は受けられるでしょうか?
そこで本記事では再雇用になった際の年収について解説するとともに、収入の補填(ほてん)として活用できる制度についても説明していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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再雇用になったら、給料はどのくらい下がるの?
再雇用後の年収はどのくらいになっているのか、55歳~59歳の年収と60~64歳の年収で比較してみましょう。国税庁の民間給与実態統計調査によると、一般的に再雇用となることが多い60歳前後の平均給与の推移は図表1のようになっています。
図表1
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
55~59歳 | 702万円 | 329万円 |
60~64歳 | 569万円(-133万円) | 267万円(-62万円) |
国税庁 令和4年分民間給与実態統計調査より筆者作成
図表1をみて分かる通り、男性も女性も約20%給与が下がっています。あくまで平均にはなりますが、再雇用後は給与が下がる人が多いといえるでしょう。今回の年収700万円の人の場合、年収が20%下がるとすると約560万円になります。
給与が下がると生活水準を維持するのが難しい可能性があるため、家計の収支を事前に確認しておくなど、収入が減った場合の生活をシミュレーションしておいたほうがいいでしょう。
高年齢雇用継続給付金とは?
定年後に大幅に年収が下がってしまった場合、補助してくれる制度はないのでしょうか? 一定の条件がありますが、再雇用されて給与が下がった人には「高年齢雇用継続給付金」が受給できる可能性があります。受給期間や給付額などを詳しく見ていきましょう。
高年齢雇用継続給付金の受給要件
高年齢雇用継続給付金は60歳以降の賃金が60歳時点の75%未満となっている人に対して手当が支給される制度です。賃金が75%未満になっていることのほか、次の2つの要件も満たす必要があります。
●雇用保険の被保険者期間として雇用されていた期間が5年以上あること
●60歳以上65歳未満の一般被保険者であること
高年齢雇用継続給付金の受給期間
被保険者が60歳に達した月から65歳に達する月までの間、受給することができます。ただし、各暦月の初日から末日まで被保険者であることが必要です。60歳になった時点で受給資格を満たしていなかった場合は、受給資格の5年に達した月から受給申請をすることが可能です。
高年齢雇用継続給付の額は?
高年齢雇用継続給付の額は「60歳以後に支払われた1ヶ月の賃金×支給率」で計算します。支給率は、60歳以後の賃金低下率に応じて決まっており、上限は15%となっています。図表2は厚生労働省が定めている、賃金の低下率に対する支給額です。
図表2
厚生労働省 Q&A~高年齢雇用継続給付~
年収700万円(月収約58万円)の人が年収400万円(月収約33万円)に下がったとして計算してみましょう。60歳時の1ヶ月の賃金が約58万円だった人が、60歳以後に33万円に下がった場合、低下率は約56%です。
56%は図表2の「61%以下」に該当するため、支給率は15%で、高年齢雇用継続給付の額は約5万円となります。年収が下がった場合、この制度をうまく活用していくとよいでしょう。
再雇用後は年収が下がる可能性が高い
再雇用後の年収について、そして年収が下がった場合に活用できる高齢者雇用継続給付金について解説しました。再雇用される場合には給与は下がる可能性が高いため、高年齢雇用継続給付金を上手に活用するとともに、事前に再雇用後の生活費などをシミュレーションしておくとよいでしょう。
出典
国税庁 令和4年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-
厚生労働省 Q&A~高年齢雇用継続給付~
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー