更新日: 2024.07.09 定年・退職
もうすぐ定年退職を迎えます。「退職金1000万円」って少ないのでしょうか? 他の人の退職金の使い道も気になります。
今回は退職金の平均額や使い道について紹介します。退職金は老後の数十年を見越して計画的に使うことがおすすめです。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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退職金の平均は?
まずは、退職金の平均額をみていきましょう。厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」によると、勤続年数35年以上かつ45歳以上の定年退職者における学歴ごとの平均的な退職一時金の給付額は表1の通りです。
表1
学歴 | 退職一時金の平均給付額 |
---|---|
大学・大学院卒(管理・事務・技術職) | 1822万円 |
高校卒(管理・事務・技術職) | 1670万円 |
高校卒(現業職) | 1321万円 |
※厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」を基に筆者作成
退職金1000万円はやや少ない傾向
表1の平均額を踏まえると、1000万円の退職金はやや少ないといえます。例えば中途入社の場合、退職金が1000万円以下というケースもあるでしょう。
しかし、平均よりやや少ないとはいえ、1000万円は非常に大きな金額のため、これからの老後に向けて大切に使っていく必要があります。
退職金の使い道
次に、一般的な退職金の使い道について解説します。退職金の使い方としては、住宅ローンの返済や年金繰り下げに向けた生活費などが挙げられます。
住宅ローンの返済
住宅ローンの支払いが続いている場合、退職金を使って完済する方もみられます。例えば、35年ローンを35歳から組み始めた場合、70歳までローンを支払い続けなければなりません。しかし、70歳になると、収入は年金だけになったり、健康上の問題を抱えたりする可能性が考えられます。そのため、退職金を活用してローンを一括返済する方もいるのです。
ローンを完済すると、それまでかかっていた毎月の返済がなくなるため、生活費に余裕が生まれるでしょう。
年金の繰下げ受給に向けた生活費とする
年金は65歳から支給されますが、年金の繰下げ受給を行うために退職金を活用する方もいます。年金の繰下げ受給とは、年金を受け取る年齢を遅らせた分、増額した年金を受け取れる仕組みです。そのため、65歳から75歳までは年金を受け取らず、パートなどの給料と退職金を使って生活し、75歳から年金を増やした状態で受け取るといった方法も有効です。
日本年金機構によると、繰り下げで増額した年金額は一生変わらないため、検討したい選択肢です。
避けたい退職金の使用方法
ここからは退職金の使用方法として避けたいものを紹介します。無計画に大きな買い物をしたり、ハイリスク・ハイリターンな投資に退職金を回したりするのは避けましょう。
大きな買い物
退職金を使って無計画に大きな買い物をするのは避けましょう。例えば、「退職して1000万円のスポーツカーを購入する」といった場合、退職金を全額使ってしまうため、万が一の際に使える資金が残りません。退職金を一部使用してぜいたく品を購入したいという場合、自分の健康状態や老後の生活費なども考慮したうえで、購入するかどうか決めましょう。
ハイリスクな金融商品への一括投資
退職金を使って資産運用し、老後のお金を増やすという方もいます。しかし、ハイリスク・ハイリターンな金融商品に一括投資することはおすすめできません。リスクが高い分、リターンも高くなりますが、思惑とは逆に相場が動いたときに、大きな損失を被ることになります。最悪の場合、資金を全て失ってしまうかもしれません。
退職金を元手に投資を行いたいのであれば、金融機関や専門家に相談しながら自身の生活状況やリスク許容度を勘案したうえで、リスク分散できる金融商品を選びましょう。
退職金1000万円は平均よりもやや少ない|退職金は使い方をじっくり考えよう
退職金1000万円は勤続年数35年以上の定年退職者の平均と比較してやや少ないことが分かりました。しかし、大きな金額であることに変わりはありません。
退職金が支給され、まとまった金額が入ってくると、「どのように使おうか」と夢が膨らむでしょう。今までできなかったことや欲しかったものに使いたいと考えるかもしれません。しかし、これからの長い人生において、よりよく生きることを目的に使用方法を考えるのがよいでしょう。
もしもパートナーがいる場合には、一緒に退職金の使い道を話し合ったうえで、最善の選択を行いましょう。豊かな老後になるようきちんと計画を立てることが肝要です。退職後の人生設計を考慮したうえで、退職金の有意義な使い道を考えてください。
出典
厚生労働省 令和5年就労条件総合調査 結果の概況 結果の概要 4 退職給付(一時金・年金)の支給実態 第23表 退職給付(一時金・年金)制度の形態別定年退職者1人平均退職給付額(勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者)(18ページ)
日本年金機構 年金の繰下げ受給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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