更新日: 2024.07.09 定年・退職
定年退職後も働きたいです。再雇用で「嘱託社員」として働く場合、「契約社員」とはどう違うのか具体的に知りたいです。
では、嘱託社員と契約社員は何が違うのでしょうか。本記事で、それぞれの働き方を詳しく見てみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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定年後の就労の実態
最近では「人生100年時代」ともいわれるようになり、60歳で定年を迎えたあとも多くの人が働こうとしています。
実際に株式会社カケハシスカイソリューションズが実施した「定年後の仕事とお金に関する調査」(調査時期:2023年2月、調査対象:定年後の60代の男女1100人)によると、60~64歳では78%の人が働いており、そのうち51%の人が「継続雇用制度」により就労中でした。このことから、平成25年に施行された「高年齢者雇用確保措置」の認知されていることが分かります。
継続雇用制度とは、定年後も同じ会社で継続雇用してもらえるという制度です。この制度のなかに、嘱託社員という働き方があります。定年後も働きたいと思っても、再就職が難しい場合もありますが、嘱託社員や契約社員として働ければ安定した収入が得られます。
では次に、嘱託社員と契約社員の違いを見てみましょう。
嘱託社員とは
嘱託社員は、厚生労働省によると「定年退職者等一定期間再雇用する目的で契約し雇用する者」と定義づけられています。嘱託社員は、有期雇用契約を結んだ非正規雇用の社員で、業務内容や裁量権が限定されています。定年前はそれなりの役職に就いていた人でも、嘱託社員になると、それまでのような裁量権はありません。
また、勤務日数や労働時間が正社員より短い場合もあります。そのため、給料は定年退職前と比べると少なくなります。さらに、有期雇用となるケースが多く、ずっと働けるわけではありません。嘱託社員の有期雇用契約の期間は、原則として3年が上限(労働基準法第14条)となっていますが、専門的な知識や技術が必要な分野では最長5年まで勤められます。
契約社員とは
契約社員は、厚生労働省によると「特定職種に従事し、専門的能力の発揮を目的として雇用期間を定めて契約する者」と定義づけられています。契約社員も、契約期間の定めがある有期雇用契約であり、この点では嘱託社員と変わりません。
しかし、嘱託社員は定年後に再雇用される形が多いのに対して、契約社員は再雇用とはかぎらず、定年まで勤めた会社とは別の会社に再就職するケースもあります。実際に60歳以下でも、契約社員として働いている人は多くいます。
なお、嘱託社員は正社員と比べて出勤日数や労働時間が短く、契約社員は正社員とほとんど変わらないケースが多いです。
嘱託社員として働くメリット
では、再雇用され、嘱託社員として働くとどのようなメリットがあるのでしょうか。以下で見てみましょう。
スキルがそのまま生かせ、体力的にも働きやすい
嘱託社員は、定年まで働いていた職場で引き続き仕事をするのが一般的です。つまり、嘱託社員は慣れ親しんだ職場で働き続けることになります。定年まで勤めた会社のため、業務内容にも精通しています。今まで仕事を通して培ってきたスキルをそのまま生かせるので、働きやすいのが大きなメリットです。
また、勤務日数や勤務時間は定年前と比べて少なくなるので、現在の体力に合わせた働き方ができます。
各部署に顔見知りがいる
再就職などで別の会社に契約社員として働くと、通常は新しい職場に勤めるため顔見知りがいない可能性が高いですが、嘱託社員の場合は周りがみんな顔見知りばかりです。再就職とは違い、一から人間関係を築く必要がないのもメリットといえます。特に長年一緒に仕事をしてきた仲間が多い場合は、これ以上働きやすい職場はないでしょう。
再雇用する会社にもメリットがある
長年勤めてきた人を嘱託社員として再雇用すると、その人が仕事を通して培ってきた知識や経験をそのまま生かせます。退職時に役職に就いていた人も多いので、広く深い業務知識を持った人材を再雇用するのは、会社にとっても大きなメリットでしょう。
定年退職後の働き方を考えてみよう
「嘱託社員」は従来と同様の業務を行える可能性が高く、「契約社員」は出勤日数や労働時間が正社員と同等のケースが多い形態です。待遇や条件は会社によっても異なる場合がありますが、どちらもメリットとデメリットがあるため、自分の希望や状況に応じて選ぶとよいでしょう。
出典
厚生労働省 高年齢者の雇用
厚生労働省 有期契約労働者の雇用管理の改善に関する研究会報告書 参考資料6 有期契約労働者の実態について
厚生労働省 就労期間別労働者割合
デジタル庁 e-Gov 労働基準法 第14条
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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