更新日: 2024.09.05 セカンドライフ

「定年後は年金だけでゆっくり暮らしたい」という夫。60歳(定年)から65歳(年金受け取り)までいくらあればいい?

「定年後は年金だけでゆっくり暮らしたい」という夫。60歳(定年)から65歳(年金受け取り)までいくらあればいい?
定年退職後は仕事をせずに、年金だけでゆっくり生活したいと考える方もいるでしょう。しかし年金の受け取りは基本的に65歳からのため、それまでの5年間は貯金を崩して生活することになります。
 
そこで今回は、高齢者世帯の生活費の目安から、定年後の5年間にいくらあれば生活できるのかを調べてみました。また65歳以降の年金生活で考慮するべき点もご紹介しますので、参考にしてみてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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60歳定年から65歳年金受取までにいくら必要?

60歳で定年退職をして仕事を続けない人の場合、年金を受け取れるようになる65歳までの5年間は貯金や退職金から生活費を捻出する必要があります。
 
5年間の生活費の目安については、総務省統計局の「家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要」を参考にできるでしょう。同調査によると、夫婦高齢者無職世帯の平均支出は以下の通りです。


・消費支出:25万959円
・非消費支出:3万1538円
・合計:28万2497円

夫婦高齢者無職世帯の平均支出を基に生活費を算出すると、1年間で338万9964円、5年間で1694万9820円かかることが分かります。
 

年金を受け取るまでの5年間を退職金でまかなえる?

年金を受け取るまでの5年間は、退職金でまかなえるのではと考える方もいるでしょう。厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、定年退職者一人あたりの退職金を学歴別にまとめると以下の通りです。


・大学・大学院卒業(管理・事務・技術職):1896万円
・高校卒業(管理・事務・技術職):1682万円
・高校卒業(現業職):1183万円

夫婦高齢者無職世帯の平均的な生活費は5年間で1694万9820円であるため、学歴や職種または勤続年数によっては、退職金だけでは生活費をまかなえない可能性があることが分かります。
 
また退職金で生活費をまかなえたとしても、65歳で年金を受け取れるようになるころには、退職金がほとんど残らない場合が考えられるでしょう。
 

65歳以降の年金生活で考慮すべき点

退職金で年金受け取りまでの5年間の生活費をまかなえたとしても、65歳以降の年金生活では以下の点に注意が必要です。
 

・夫婦高齢者無職世帯の家計収支は赤字である

総務省統計局の「家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)」では、平均支出が28万2497円であるのに対して、実収入は24万4580円であり、毎月3万7916円の不足分が発生するようです。1年間で計算すると45万4992円となり、仮に85歳まで生きたとして、65歳からの20年間で909万9840円が必要です。
 

・賃貸住宅の場合は不足分が増える可能性もある

同調査では、消費支出のうち「住居」が1万6827円となっており、持ち家ではなく賃貸の場合はさらに不足分が増える可能性が考えられます。
 

・予期せぬ出費への備えも必要になる

同調査の家計収支はあくまでも平均で、予期せぬ出費への備えも必要です。例えば老後生活では高齢に伴う病気などで医療費がかかる可能性があるでしょう。冠婚葬祭や孫への出費が負担になるケースも考えられます。
 

60歳定年から65歳年金受け取りまでの生活費は平均で1695万円ほど! 65歳以降の老後生活も考慮に入れた資金繰りが重要

夫婦高齢無職世帯の平均生活費を基に、60歳定年から65歳年金受け取りまでの5年間に必要な費用を計算したところ、1694万9820円かかることが分かりました。
 
退職金で生活費をまかなえればいいですが、学歴や職種または勤続年数によっては不足する可能性があります。また退職金でまかなえたとしても、ほとんど使い切ってしまいお金が残らないと予想されます。
 
65歳からの年金生活では、毎月3万7916円の不足分が発生するといわれており、賃貸の場合は不足分がさらに増える可能性もあるでしょう。医療費など予期せぬ出費への備えも必要です。
 
老後生活がいつまで続くかを予測するのは困難ですから、自身の定年後の家計収支をシミュレーションして、老後資金の準備や定年後の働き方を検討するといいでしょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要(19ページ)
厚生労働省 令和5年就労条件総合調査の概況(17ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD
編集部ファイナンシャルプランナー

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