以前「老後2000万円問題」が話題になりましたが、実際に65歳時点で「2000万円」、年金が「月12万円」あれば安心して生活できますか? 平均余命まで問題なく過ごせるでしょうか?

配信日: 2024.12.06

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以前「老後2000万円問題」が話題になりましたが、実際に65歳時点で「2000万円」、年金が「月12万円」あれば安心して生活できますか? 平均余命まで問題なく過ごせるでしょうか?
2019年に金融庁が公表した報告書で話題になった「老後2000万円問題」ですが、2024年現在においても気にする必要があるのか、仮に2000万円以上の資産があれば老後は安心して生活できるのか気になる人も多いのではないでしょうか。
 
本記事では、65歳から一人暮らしをするケースを想定し、退職金や預貯金などをあわせて2000万円の資産と月額12万円の年金があれば問題なく生活できるのか、それとも難しいのか解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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老後2000万円問題とは?

金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が公表した報告書によると、老後の生活資金は年金などの収入ではカバーするのが難しく、20年から30年で約1300万円から約2000万円の取り崩しが必要となる旨が記載されています。
 
報告書のデータはあくまでモデルケースであり、世帯人数や生活環境、老後のライフプランなどの状況は人それぞれ異なるため実際に不足する金額は変化しますが、「2000万円」という数字のインパクトもあり、当時は大きな反響を呼びました。
 

65歳以降にかかる生活費はどのくらい?

老後を迎えるまでに2000万円の資産を構築するのは容易ではありませんが、仮に預貯金や退職金などを合わせて貯められたら、あとは年金収入だけで生活できるのか気になるかもしれません。それを判断するためには「65歳から毎月どのくらい生活費がかかるのか」を把握する必要があります。
 
総務省が公表している2023年のデータによると、65歳以上の単身無職世帯の1ヶ月の実支出は15万7673円となっています。月額12万円の年金以外に収入がなければ、毎月3万7673円の赤字となる計算です。
 
総務省のデータはあくまで通常の生活を想定しているため、実際はそれ以上の金額がかかる可能性もあります。
 
例えば、住居費は持ち家を含んだものなので賃貸の場合は高くなる、急に冷蔵庫や洗濯機が故障する、冠婚葬祭費用がかさむ、自身や家族が大きな病気やけがをするといった事態が発生するかもしれません。これらを総合的に考慮すると平均月額20万円以上かかる可能性もゼロではありません。
 

2000万円あれば老後は持ちこたえられる?

今回は毎月20万円の支出がかかり続けるとしましょう。年金は月額12万円受け取り、それ以外に収入がなければ月額8万円ずつ(年間96万円)赤字となります。赤字額はすべて「2000万円ある預貯金」から補填(ほてん)する場合、約20年で資金が底をつく計算です。
 
つまり、85歳くらいで「今後の生活費をどう工面するのか」といった問題に直面します。厚生労働省の簡易生命表のデータによると、平均余命は2023年時点で男性は約81歳、女性は約87歳です。仮に平均余命まで生きるなら、2000万円の預貯金で「逃げ切れる」ケースもあるかもしれません。
 
ただし、これらはあくまで預貯金の資産価値や物価状況、支出規模などが一定の場合であり、どれか1つでも状況が変化するとライフプランの見直しを迫られるかもしれません。病気やけがなど不測の事態が発生して出費が増え、資金が想定より早くなくなる可能性もあります。
 
もちろん、平均余命よりも長生きする可能性もあります。
 

まとめ

本記事では、以前話題になった「老後2000万円問題」に触れながら、仮に2000万円の資産と年金があれば老後は問題なく生活できるのか解説しました。
 
金融庁が提言した内容はあくまでモデルケースであり、「2000万円あれば老後は安心できる」といっているわけではありません。むしろ、一般的に物価高や円安などの影響で2000万円あっても厳しいとの意見もあります。「老後の安心」をできる限り確保するためには、年金収入に依存せず、定年後もできる限り働いて給料を得ることなども検討してみましょう。
 

出典

金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要
厚生労働省 令和5年簡易生命表の概況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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