晩婚で授かった子どもが来年「大学進学」で上京します。すでに私たち親が「年金生活」に入っているのですが、「仕送り」するとなるとカツカツでしょうか?
配信日: 2024.12.11
中には30代後半から40代になって結婚して、子どもを授かる夫婦もいます。子どもを授かることはうれしいことですが、大学進学と親の年金生活が重なり、資金繰りに頭を悩ませるケースも考えられます。
そこで今回は、一般的な年金の受給額とシニアの消費支出を比較して、大学進学で上京する子どもにどこまで仕送りができるのかについて調べてみました。仕送りが難しい場合の対策もご紹介しますので、参考にしてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
年金生活に入った親は大学進学で上京した子どもにどこまで仕送りできる?
晩婚で子どもを授かると、年金生活と子どもの大学進学が同時期になることも考えられます。子どもが上京して家を離れる場合は、学費や生活費を仕送りでサポートしたいと思うでしょう。
しかし年金生活で収入が減ると「仕送りをするだけの余裕はないのでは」と不安になるかもしれません。ここでは、一般的な年金受給額で親自身が生活できるのか、年金生活で子どもに仕送りするにはどうしたらいいかについてご紹介します。
一般的な年金受給額とシニアの消費支出
日本年金機構によると、2023年度における夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額は22月額22万4482円です。法律の規定によって毎年改定され、2024年4月分からは月額23万483円になっています。
シニア世代の消費支出については、総務省統計局の「家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)」を参考にできます。同調査によると65歳以上の夫婦のみの無職世帯における平均消費支出は月額25万959円であることが分かりました。
一般的な年金受給額とシニア世代の消費支出を比較すると、2023年度では2万6477円のマイナスであることが分かります。2024年度から年金受給額は引き上げられていますが、それでも2万476円のマイナスです。
この年金受給額は、平均的な収入(ボーナスを含む月額換算)43万9000円で40年間就業した場合を想定しています。そのため、年金未加入期間があったり自営業だったりする家庭は、年金受給額がこれよりも低くなり、家計収支の不足分が大きくなるケースも考えられます。
年金生活でも子どもに仕送りする方法
年金生活に入ると収入が大幅に減少して、家計収支がマイナスになる場合も考えられます。それでも大学進学で上京する子どもに仕送りしたい親もいるでしょう。
まずは現在の家計収支を確認して、支出項目の中から節約できる部分はないか検討してみます。親自身の支出が年金収入を下回るようにすれば、子どもに仕送りできるお金をつくれるかもしれません。
生活費を節約することに加えて、夫婦の両方または片方がアルバイトやパートで収入を得る方法もあります。まだ働けるうちに収入を得ることで、家計収支をプラスにすれば子どもへの仕送りも行えるでしょう。
親自身の老後資金も同時に準備することを考えて、子どもへの仕送りをする際は貯金を取り崩したり、無理な金額を設定したりすることがないよう注意が必要です。
仕送りが難しい場合の対策
年金受給額が少なくて大学進学をする子どもへの仕送りが難しい場合も考えられます。この場合は、奨学金制度を利用するなど、子どもにも協力してもらうことを検討しましょう。
独立行政法人日本学生支援機構によると、国内の大学・短期大学・高等専門学校・専修学校(専門課程)および大学院で学ぶ人を対象とした奨学金には、第一種奨学金(無利子)と第二種奨学金(有利子)があります。
奨学金を利用する際は家計基準が決まっています。独立行政法人日本学生支援機構「進学前(予約採用)の第一種奨学金の家計基準」を基に、大学・短期大学・専修学校(専門課程)へ進学予定の場合の収入基準をご紹介します。
・第一種奨学金:生計維持者の貸与額算定基準額が18万9400円以下
・第二種奨学金:生計維持者の貸与額算定基準額が38万1500円以下
・第一種・第二種併用貸与:生計維持者の貸与額算定基準額が16万4600円以下
家計基準のほかにも学力基準などがあるため、申し込み資格に該当するか確認しておく必要があります。奨学金の利用に加えて、子ども自身もアルバイトで収入を得るなど、仕送りに頼ることなく学生生活を送れるよう話し合ってみるといいでしょう。
一般的な年金生活者の家計収支はマイナス……。仕事で収入を得たり奨学金制度を利用したりするなど対策が必要
晩婚で子どもを授かると、親の年金生活と子どもの大学進学が同時期になることが考えられます。一般的な年金受給額とシニア世代の消費支出を比較すると、2万円以上のマイナスになることが分かりました。
子どもに仕送りをしたい場合は、まず家計を見直して支出が年金収入を下回るようにする必要があります。それと同時にパートやアルバイトで収入を得るなどすれば、仕送りのお金をつくれるかもしれません。
親自身の生活や老後資金の準備などがあり、仕送りが難しいケースも考えられます。この場合は、申し込み資格に該当するか確認して奨学金制度を利用したり、子ども自身もアルバイトで収入を得たりするなど、仕送りに頼ることなく学生生活が送れるようにする選択肢もあるでしょう。
出典
総務省統計局 家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要(19ページ)
独立行政法人 日本学生支援機構 進学前(予約採用)の第一種奨学金の家計基準
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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