「定年後は働きたくない」という夫。貯蓄は夫婦2人でいくら必要?「500万円」では厳しいの?「45歳・年収450万円」のケースで解説
配信日: 2025.01.09
本記事では定年退職後、公的年金以外の収入がゼロという場合、現役時代にいくら資産を準備しなければならないのかを考えます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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人生100年時代で「長生きリスク」が顕在化
厚生労働省が公表しているデータによると、平均寿命は男性が約81歳、女性は約87歳となっています。
いまは「人生100年時代」と言われることも多くなり、100歳を超えて長生きするケースも珍しくありません。そのため今後は定年退職後も長期間生活する前提で対策することが必要不可欠といえるでしょう。
今回は以下の内容を想定しつつ老後も満足できる生活を送るためには、いくらお金が必要なのか考えてみましょう。
・65歳で定年退職を迎え、老後は夫婦2人で生活して90歳まで生きる
・会社員の夫と専業主婦の片働き世帯
・国民年金保険料は満額納付しており、免除や滞納などの期間はない
老後の生活費は月額30万円以上?
総務省統計局が発表しているデータによると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の実支出は28万2497円となっており、特に贅沢しなくても毎月30万円近くの支出が発生することが分かります。
仕事を辞めて時間に余裕ができたら、国内外へ旅行をしたいという人もいるでしょう。また余暇を楽しむだけでなく急に病気や怪我をするなど不測の事態に直面する可能性もあります。
これらを考えると、余裕ある生活を送れるよう30万円以上の収入と、生活防衛資金として預貯金も確保しておくことが大切かもしれません。
年金はいくらもらえる?
会社員の場合だと原則65歳から主に老齢基礎年金と老齢厚生年金が支給されます。老齢基礎年金は月額6万8000円(2024年度)です。
老齢厚生年金は厚生年金保険の加入期間や納付する保険料額によって変わります。報酬比例部分だけでなく加給年金額や経過的加算額が合算されるケースもありますが、今回は報酬比例部分のみでシミュレーションしてみましょう。
夫は大学卒業後22歳で就職し、会社員を辞めずに65歳定年まで厚生年金に加入し続けるとします。実際は年齢や勤務成績などで年収は変動すると思われますが、43年間毎年450万円の収入を得るとしましょう。報酬比例部分は加入期間によって以下の計算式に分かれます。
・(2003年3月以前)平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間の月数
・(2003年4月以降)平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数
夫は現在45歳で「2001年4月入社」とすると、2年間は前者の計算式、残り41年間は後者の計算式が適用されます。平均標準報酬月額、平均標準報酬額それぞれ37万円と仮定して、それぞれの加入期間月数を当てはめると以下になります。
・(2003年3月以前)37万円×7.125/1000×24月=6万3270円
・(2003年4月以降)37万円×5.481/1000×492月=約99万7761円
年間の老齢厚生年金受給額は合計で約106万1031円となり、月額約8万8419円もらえる計算です。夫婦それぞれの老齢基礎年金と合わせると月額約22万4419円です。
不足額はいくら?
65歳から夫婦合わせた年金受給額は月額22万円、老後の生活費は月額30万円かかると仮定すると、毎月8万円の赤字となります。赤字額が将来的に変わらない場合、年間で96万円、90歳までの25年間で2400万円程度に膨らみます。
年金以外に収入がなければ不足分は預貯金から補填しなければならないため、定年退職を迎えるまでに最低でも2400万円以上用意しておく必要があるといえるでしょう。
まとめ
本記事では、どのくらいの収入や資産があれば「定年後に働かなくても済む」のかを考えました。
今回紹介した内容はあくまで簡単なシミュレーションのため、実際にかかる金額はさらに増えることも考えられます。大きな病気や怪我、冠婚葬祭、家電製品の買い替えなど、不測の事態がいつ発生してもおかしくない前提で老後資金を構築していきましょう。
出典
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
日本年金機構 は行 報酬比例部分
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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