「長寿化」や「物価高騰」で老後資金の不足が心配になっていませんか? 自宅を活用して資金を確保する「リバースモーゲージ」とは

配信日: 2025.01.23

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「長寿化」や「物価高騰」で老後資金の不足が心配になっていませんか? 自宅を活用して資金を確保する「リバースモーゲージ」とは
70歳~80歳のシニアには、生活資金に加えて、介護施設入所費用や自宅のリフォーム資金などシニア特有の必要資金が発生します。
 
これまではほぼ横ばいであった物価が高騰し、今後も高騰の継続が予測され、生活資金の増大も懸念されます。今回は、そのようなシニア期特有の必要資金の確保手段としての「リバースモーゲージ」について学んでみましょう。
植田英三郎

執筆者:植田英三郎(うえだ えいざぶろう)

ファイナンシャルプランナー CFP

家電メーカーに37年間勤務後、MBA・CFPファイナンシャルプランナー・福祉住環境コーディネーター等の資格を取得。大阪府立職業訓練校で非常勤講師(2018/3まで)、2014年ウエダFPオフィスを設立し、事業継続中。NPO法人の事務局長として介護施設でのボランティア活動のコーディネートを担当。日本FP協会兵庫支部幹事として活動中。

リバースモーゲージ(逆抵当融資)とは

リバースモーゲージとは、所有する不動産(自宅)を担保とした融資制度で、老後の生活資金などを高齢者に融資するしくみです。
 
住宅ローンが借入元本を毎年返済するのに対して、リバースモーゲージは、逆に毎年借入をして最後に(死亡時など)に一括返済するので、逆抵当融資(リバースモーゲージ)と名付けられています。
 
昨今、シニア世代の長寿命化により老後資金が増大するという現実や、リバースモーゲージを取り扱う金融機間が増えたこともあり、拡大が予測されます。また、住宅ローンからリバースモーゲージへ切り替えできる商品の発売も、伸長の要素の一つと言えます。
 

リバースモーゲージの資金用途

リバースモーゲージの資金用途は、金融機関によって異なりますが、使途設定プランとフリープランがあります。使途設定の場合は、以下のような用途が挙げられています。
 

・老後の生活資金
・介護費用、有料老人ホームへの入所費用(一時金)
・自宅のリフォーム費用
・子どもや孫への生前贈与資金
・趣味や旅行などの費用
・住宅ローンの残債の返済資金

 
フリープランの場合は、上記のような使途は設定されていなくても、事業資金や投資資金は、使途設定プランと同様に除外されます。
 

融資までの手順

金融機関によって多少の違いはありますが、申し込みから融資までは以下のようなプロセスが一般的です。
 
「申し込み」仕組みの説明とシミュレーションなどを経て申し込みをする。
 
「審査」所有物件の適合性(融資できる物件かどうか)、相続関係、本人の年金額、使途などを審査して、1ヶ月~1.5ヶ月で審査結果が分かる。
 
「契約」最大融資額と利息の支払い条件を決め、根抵当権を設定し、相続人の同意を得て契約が成立する。
 
「融資」一括融資、毎年融資など、借りる人のニーズに合わせた融資の形があり、長期の場合は、途中で担保物件の評価見直しをされる場合もある。
 
「返済」本人や相続人による現金返済、売却による現金返済、死後金融機関による返済が可能である。
 
審査の結果によって、契約と根抵当の設定が終わっても、即融資を受ける必要のない場合も想定されるので、その場合は融資枠の確保ということになります。
 

リバースモーゲージを利用しやすい条件の人

リバースモーゲージを利用するには、制約があり、利用しやすい場合と難しい場合があります。以下は利用しやすい人の条件です。
 

・相続人が配偶者だけで子供がいない。

子どもは常に相続人になるので、子どもがいる場合は相続人の同意が必ず必要です。
 

・融資限度額に見合う物件を所有していること。

物件の評価額の50%~60%が融資限度額と言われています。
  

・本人の年金受給額が120万円~150万円以上ある。(金融機関によって基準は違う)

 

・一戸建て優先の金融機関が一般的でしたが、最近はマンションも可となっています。マンションの場合は立地と評価次第になります。

 

リバースモーゲージ利用の際のその他留意事項

リバースモーゲージを利用する際には、留意してほしいこともあるので、以下のような点はよく確認してください。
 

・居住(自宅所在地)エリアにリバースモーゲージを扱う金融機関があるどうか。

リバースモーゲージの取り扱いは都市部が中心になっていますが、住宅支援機構の「リバース60(※)」が取り扱い金融機関を公表しており、参考になります。
 

・金利の支払い方法と利率

金融機関によってそれぞれ違うので、最初に確認が必要です。利息は毎月払いと返済時元金と一括払いがあり、利率は固定金利と変動金利があります。
 

・長生きした場合、融資限度枠に達してしまう場合があるので、事前シミュレーションでよく見極めることが大切です。

 

・住宅ローンを切り替えた場合は、団体生命保険に加入できなくなることも知っておく必要があります。

 

まとめ

長寿命化、物価の継続的高騰への対策が必要な一方、豊かなシニアライフへの資金を求める場合もあり、これらの課題を解決する一つの方法となり得るのが、リバースモーゲージです。気になっている方はまず、リバースモーゲージを扱っている金融機関にご相談されてみてはいかがでしょうか。
 

出典

(※)住宅金融支援機構 【リバース60】取扱金融機関
 
執筆者:植田英三郎
ファイナンシャルプランナー CFP

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