老後資金が心配なので、リバースモーゲージを考えたいが・・・
配信日: 2017.10.04 更新日: 2019.01.08
モーゲージ(ローン)の反対(リバース)ということで、金融資産はない場合に、自宅を担保に一時金か年金形式で金融機関等から資金を調達し、死亡後に担保物件の自宅を売却して返済するしくみです。
メリットと留意点を確認します。
Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com
目次
メリット:自宅があれば資金が獲得
1980年代からはじまったリバースモーゲージを活用したローンは今や都市銀行でも販売されかなり普及しています。自宅があれば資金が獲得でき、生きているときは返済しなくていいというメリットがあります。
最近では、自宅を賃貸した時の家賃収入を担保とするという家賃担保型もあります。
自宅を担保にし、死後売却するので、推定法定相続人の相続財産が減少しますから、一般的には契約時には彼らの同意が必要となります。獲得した資金使途については、金融機関によって、生活資金自由型と何に使ってもいい限定型があります。
留意点1:要件が厳格
リバースモーゲージの対象物件は基本的に一戸建てだけで、マンションは対象外です。また土地の評価額は金融機関によって異なりますが、1,000万円以上のところがほとんどで、不動産には抵当権などが設定されていないことが求められます。
年齢要件についても金融機関によって異なりますが、概ね55歳、60歳以上といったシニアが対象です。その他、配偶者又は親以外の同居人がいないこと、借入をする世帯は住民税非課税というのが一般的です。
留意点2: 金利が上昇すれば借入金額>担保物件価格
リバースモーゲージは通常変動金利が採用されているため、金利が上昇した場合、担保となる物件価格を借入残高が上回る可能性が発生します。
留意点3:不動産価格が下落評価替えにより下落
不動産価格が低下した場合、評価替えが行われ毎月受け取りタイプの場合は融資額が下落するリスクがあります。
留意点4:長生きして融資額オーバーになる
当初の想定年数よりも長生きした場合、担保掛目を越えての融資は行われないため、融資打ち切りのリスクがあります。
留意点5:結局売却のほうがよかった
自宅を手放したくないと思っていたものの、その後認知症を発症したり、夫(妻)に先立たれたりして結局施設に入所することになったときに、「やっぱり売却しておけばよかった」となるケースも起こり得ます。
安易に結論を出す前に今後のライフプランを検討する必要があります。