更新日: 2019.01.10 介護

介護が必要になると、費用はどれくらいかかる?

介護が必要になると、費用はどれくらいかかる?
介護が必要な状態になると、在宅介護であれ、施設介護であれ、それなりの費用がかかります。
もちろん、その場合は介護保険を利用できますが、一部自己負担もあり、一定以上のサービスを受けるとなると、さらに自己負担が増えるケースもあります。
黒木達也

Text:黒木達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト

大手新聞社出版局勤務を経て現職。

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在宅で受ける介護サービスの種類

心身の衰えが目立ち介護認定がされると、介護の度合いにより月々介護保険を利用できます。この制度を利用して各種の介護サービスを受けることになります。
 
介護サービスは、在宅であれ施設入所であれ、どちらでも受けることができます。
通常受けられる在宅介護サービスの中で、自宅に来てもらう訪問サービスとしては、

①訪問介護(ヘルパー派遣による生活援助)
②入浴介護(浴槽提供による入浴補助)
③訪問看護(医師・看護師による診療補助、夜間対応もあり)
④訪問リハビリ(専門家によるリハビリの実施)
⑤療養管理指導(薬剤師・栄養士による生活指導)、などがあります。

 
次に、自宅から施設へ出向いて受けられる通所サービスとして、

①通所介護(デイサービスによる食事・入浴の支援を受ける)
②通所リハビリ(デイケアを保健施設や医療機関で受ける)
③短期入所の生活介護(老人ホームなどへ短期間入所し生活支援を受ける)
④短期入所の療養介護(病院などへ短期入院し介護や機能回復訓練を行う)
などがあります。

さらに、介護が必要になったことによる派生的サービスとして、①福祉器具の貸与、②特定福祉用具購入の補助、③住宅改修費用の補助、などがあります。

介護度により利用限度額が決まる

訪問介護ではなく、老人ホームに代表される施設介護の場合は、主として介護サービス自体を施設から提供されることになります。介護度と合わせて希望するサービス内容を施設側と相談したうえで、それに応じたサービスを受けることになります。
 

実際には、在宅の場合と比べると、24時間介護が可能でより手厚い介護が受けられるため、介護保険の利用限度額を超えてしまうことが多いようです。

介護サービスを利用する場合、介護度の差により利用限度額が決められています。介護度は7ランクに分かれており、最も介護度の軽い「要支援1」の人(日常生活の一部に支援が必要)で月額5万円ほど、最も重度の「要介護5」の人(日常生活のすべてに介助が必要)で月額36万円ほどになります。

介護サービスにかかる実際の費用

在宅介護の場合、訪問サービスにかかる費用は、介護度や訪問頻度によっても変わりますが、およそ次のようになります。
 
1月あたりの平均的な目安として、訪問介護で6万円~9万円、入浴介護で5万円~8万円、訪問看護で5万円~6万円、訪問リハビリで7万円~8万円、療養管理指導で1万円~2万円かかります。
夜間の訪問看護であるとか、訪問の頻度が多くなれば、金額はこれより高くなります。

 
通所サービスについても、介護度や利用頻度によっても変わりますが、在宅よりも施設を利用するため、平均するとやや高くなります。
通所介護では8万円~12万円、通所リハビリで9万円~13万円、短期入所の場合は、入所期間にもよりますが、15万円以上かかることもあります。

 
介護保険を利用した場合、その人の年金を含めた年収額により、1割ないし2割は自己負担になります。単身世帯で年収が280万円以上、夫婦世帯で年収が346万円以上ある場合は、2割負担となります。

 
さらに2018年以降は3割の自己負担が予定されています。現在のところ、単身世帯で340万円以上、夫婦世帯で463万円以上の場合に、自己負担が3割になる予定です。

 
介護度により決められた月々の利用限度額を考慮した上で、サービスのメニューを決める必要があります。介護を必要としている人のニーズによりメニューを選び、利用限度額を超えた分は、すべて自己負担になります。

 
介護保険の範囲内でサービスを抑えようとすると、どうしても最低限の支援に限られてしまいます。その分周りの家族の負担が多くなります。訪問介護により十分な支援を受けようとすると、どうしても自己負担額が増える傾向にあります。

福祉器具レンタルや住宅改修も対象

派生的なサービスとしては、福祉器具のレンタルとしては、クルマいす、簡易トイレ、手すりなどが対象になります。1品1万円程度からの料金になります。
特定福祉用器具の購入は費用がかかります。介護用ベッドで20万円~45万円、電動クルマいすで30万円~45万円などかなり高額になります。

 
これらを指定された事業者から購入した場合、公的介護保険から同一年度につき10万円を限度に補助があります。
住宅の改修は、浴室や階段への手すりの取り付け、玄関や居間の段差の解消、滑り止めのための床材の変更などが中心となりますが、2階へ移動するためのリフトの設置なども含まれます。

 
住宅の改修の場合は、事前申請により20万円を限度に公的介護保険からの補助があります。しかし改修の内容によっては、費用がかなりかかります。

いずれのサービスを利用するにしても、どれを優先するかサービスの順序づけを行い、どの程度の費用がかかるのか、介護保険で賄える部分はどのくらいになるのか、費用を概算しましょう。
同時に、ケアマネジャーなどの専門家に相談しどのような介護サービスを受けるのかを慎重に決めましょう。
 
※2017/11/12 図の表記及び文章を一部修正させていただきました。
 
 
Text:黒木 達也(くろき たつや)
経済ジャーナリスト。大手新聞社出版局勤務を経て現職

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