最終更新日:2019.01.11 公開日:2018.12.12
年金

家族にも伝えておきたい遺族年金のこと(2)実際どのぐらいもらえるの?

国民の老後の生活に関係の深い年金。多くの人たちが将来に不安を持つ中、今一度この年金制度について勉強してみましょう。今回は遺族年金について紹介します。
 
遺族年金は、年金加入者(被保険者)および年金受給者本人が死亡した場合に、残された遺族に支給される年金です。今回はその年金額や手続きを中心に紹介します。
 
なお、年金加入年数、家族構成、障害の有無など、個人の状況により年金額は異なりますので目安としてください。
 

遺族年金の種類と対象となる遺族

日本の年金制度には「国民年金」と「厚生年金(共済年金を含む)」の2種類があり、それぞれに「遺族基礎年金」「遺族厚生年金(遺族共済年金を含む)」があります。
 
対象遺族は遺族基礎年金が配偶者と子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までにある子)、遺族厚生年金が配偶者、子、父母、孫、祖父母(優先順位あり)となります。以下は年金加入者の夫が死亡した世帯(夫婦、子)の例を下記の表にまとめました。
 
子のないケースでは、夫が会社員(厚生年金加入者)であれば、妻は遺族厚生年金の対象となります(表のケース4)。しかし、夫が自営業者として国民年金のみに加入しているのであれば、妻は対象にはならず、遺族基礎年金はもらえません(表のケース2)。
 
子がいる場合(子のみの場合を含む)は、夫が国民年金のみ加入であれば遺族基礎年金(表のケース1)、厚生年金に加入であれば遺族厚生年金と遺族基礎年金(表のケース3)というように年金の種類にかかわらず受給できます。
 

 

遺族年金支給額

国民年金だけに加入していた人が死亡した場合は、遺族基礎年金のみ。厚生年金に加入していた人が死亡した場合は、遺族厚生年金と遺族基礎年金の両方を受給できます。
 
金額は遺族基礎年金が年間約78万円、遺族厚生年金は原則死亡者が受給していた(受給する予定だった)老齢厚生年金の3/4に相当する金額となります。子があると加算されます。
 

 
<備考>
遺族厚生年金額は加入年数(ただし最低25年を保障)、報酬額により決定。上記の金額(8.2万円)は平成28年度遺族年金受給者の平均額です。※1
 
老齢厚生年金受給者の場合、死亡者の老齢厚生年金の3/4が遺族の老齢厚生年金より多い場合に、その差額が支給されます。遺族の老齢厚生年金の方が多ければ支給されません。
 

子のない妻に支給される年金や一時金

国民年金加入者が死亡した場合、子のない妻(表1のケース2)には遺族基礎年金は支給されません。しかし、夫が納付していた国民年金保険料の掛け捨て防止の目的で、「寡婦年金」(ただし60歳以降)または「死亡一時金」が支給される場合があります。
 
寡婦年金は、1号被保険者として保険料を納めた期間(免除期間を含む)が10年以上ある夫が亡くなったときに、10年以上継続して婚姻関係にあり生計を維持されていた妻に対して、60歳から65歳になるまでの間支給されます。
 
その金額は、死亡した夫が受給する予定であった老齢基礎年金の3/4です。対象遺族は妻のみとなります。
 
一方死亡一時金は亡くなった1号被保険者の加入月(ただし36ヶ月以上)に応じて12万円~32万円となり、対象遺族は本人と生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母または兄弟姉妹になります。
 
また、厚生年金加入者が死亡した場合、子のない妻(表1のケース4)は遺族基礎年金を受給することができません。しかし、夫の死亡時に妻が40歳以上65歳未満であれば中高齢寡婦加算が月額約4.9万円別途支給されます。
 

申請手続き

1)まずやっておきたいこと
遺族基礎年金の申請手続きについては、必要な書類を準備してから行いますが、身内の死亡となれば葬儀やその他の手続きでドタバタしていて、年金の手続きどころではないでしょう。
 
遺族基礎年金の請求手続きそのものに期限があるわけではないので、余裕ができてからで構いません。まずは年金事務所に電話して、家族が死亡した旨と基礎年金番号を伝え、遺族基礎年金の請求に必要な書類を確認しましょう。
 
2)請求手続き
遺族年金の請求手続きは最寄りの年金事務所で行えます。提出書類の1つに医療機関の死亡診断書のコピーがありますので、忘れずに入手しておきましょう。
 
また、戸籍謄本や住民票も必要となりますが、死亡したことが記載されたものが必要なので、市町村役場で死亡届を提出した後に入手してください。
 
年金は2ヶ月分が翌月(偶数月)の15日に振り込まれます。年金事務所に家族の死亡を伝えると年金の支給は停止されます。
 
その時点でまだ振り込まれていない直近の過去2ヶ月分の年金(これを未支給金といいます)があると、その分は死亡した家族ではなく、遺族の銀行口座に振り込むための手続きが必要になります。
 
この手続きについては、遺族年金の手続きの際、年金事務所の窓口で併せて行います。いかがでしょう。年金制度は自身の老後だけでなく、万が一の際に家族の生活を守るためにも大変重要です。
 
日頃から年金に関する情報(書類の保管場所や年金事務所の連絡先など)を家族と共有することをおすすめします。
 
※1 厚生労働省「平成28年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」より
 
Text:蓑田透(みのだ とおる)
ライフメイツ社会保険労務士事務所代表
 

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蓑田透

執筆者:蓑田透(みのだ とおる)

ライフメイツ社会保険労務士事務所代表

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、
社会保険労務士、米国税理士、宅建士
早稲田大学卒業後IT業界に従事していたが、格差社会による低所得層の増加や高齢化社会における社会保障の必要性、および国際化による海外在住者向け生活サポートの必要性を強く予感し現職を開業。
 

ライフプラン、年金、高齢者向け施策、海外在住日本人向け支援(国内行政手続、日本の老親のケア、帰国時サポートなど)を中心に代行・相談サービスを提供中。
国内外に多数実績をもつ。
http://www.life-mates.jp/

http://www.syougainenkin-soudan.jp/



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