更新日: 2019.06.21 その他年金
『年金制度』が持つ3つの役割
社会人になるこの時に、知っていただきたいのが『社会保険の役割』です。
これから、転職・起業・結婚・出産など、大きなライフイベントと向き合うことでしょう。その時に、制度について知っていると、選択の可否や時期などを見極めることができます。
執筆者:寺門美和子(てらかど みわこ)
ファイナンシャルプランナー、相続診断士
公的保険アドバイザー/確定拠出年金相談ねっと認定FP
岡野あつこ師事®上級プロ夫婦問題カウンセラー
大手流通業界系のファッションビジネスを12年経験。ビジネスの面白さを体感するが、結婚を機に退職。その後夫の仕事(整体)で、主にマネージメント・経営等、裏方を担当。マスコミでも話題となり、忙しい日々過ごす。しかし、20年後に離婚。長い間従事した「からだ系ビジネス」では資格を有しておらず『資格の大切さ』を実感し『人生のやり直し』を決意。自らの経験を活かした夫婦問題カウンセラーの資格を目指す中「離婚後の女性が自立する難しさ」を目のあたりにする。また自らの財産分与の運用の未熟さの反省もあり研究する中に、FPの仕事と出会う。『からだと心とお金』の幸せは三つ巴。からだと心の癒しや健康法は巷に情報が充実し身近なのに、なぜお金や資産の事はこんなに解りづらいのだろう?特に女性には敷居が高い現実。「もっとやさしく、わかりやすくお金や資産の提案がしたい」という想いから、FPの資格を取得。第二の成人式、40歳を迎えたことを機に女性が資産運用について学び直す提案業務を行っている。
※確定拠出年金相談ねっと https://wiselife.biz/fp/mterakado/
女性のための電話相談『ボイスマルシェ』 https://www.voicemarche.jp/advisers/781
『厚生年金』は控除額と同額、会社が支払ってくれている
初めてみる「給料明細」。ワクワク・ドキドキしますね。嬉しい反面、あまりにも控除される金額が多く、残念に思う人もいるでしょう。「せっかく働いたのに」という気持ちになってしまうかも!? 特に『厚生年金』の控除額の多さには、がっかりすることでしょう。
しかしこの厚生年金は、皆さんの将来ばかりではなく、人生を安心・豊かにしてくれる制度です。そのことをしっかり押さえてください。
実は、皆さんが引かれているのと同額、会社も皆さんのために掛金を支払ってくれています。毎月の「控除額×2」が、将来と万が一の時のためにしっかりと、あなたのために蓄えている社会保障です。
また『厚生年金』の控除額は、これから給与が増えるのに比例して、増えていきます。それでさらにがっかりしないでください。その分、保障額が増えるのですから。この控除金額は、現在厚生年金は31等級に分かれています。上限までの間、控除額は増え続けます。
※日本年金機構HPより抜粋
上記の「標準月額」とは、社会保険(厚生年金・健康保険・介護保険)の計算をしやすくするために、毎年一回7月に各自決定されます。その数字は、4月~6月までの3ヶ月分の給与の平均額です。
その左側にある「等級」が自分の等級です。この「等級」が原則として、その年の9月1日~翌年の8月31日まで適用されます。新入社員の方や大きな給与の改定があった場合は、定時決定を待たずに決定・改定されます。
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『年金制度』には3つの役割があります
年金制度は「老後の為のお金」と思いがちですが、他にも役割があるのです。下記の3つとなります。
(1)障害者の生活保障(障害年金)
(2)遺族の生活保障(遺族年金)
(3)高齢者の生活保障(老齢年金)
「老後のお金」として認知されているのが(3)の「老齢年金」ですね。しかし、(1)「障害年金」と(2)「遺族年金」については、若いうちは知らないと思います。
<障害年金>
厚生年金加入している間に初診日のあった病気やケガで障害が残った場合に「障害年金」が受給できます。金額は障害の程度により異なりますが、1級の認定がされた場合には、「報酬比例の年金額の×1.25倍」の年金が受給できます。また厚生年金加入者の特典として下記の2点もあるのです。
・障害3級も支給対象(国民年金では1・2級まで)
・配偶者加給年金額の追加(1・2級のみ)
万が一、障害認定を受けた場合は、家族の負担もありますので、頼りになる制度です。
<遺族年金>
働き盛りの人が亡くなった場合、残された家族の生活が大変です。「遺族年金」は、残された家族の生活を保障してくれる制度です。特に厚生年金は手厚く、被保険者の年金額の4分の3の受給があります(国民年金は年収上限、また1度限り)。
支給される時は、厚生年金の被保険者期間中亡くなった場合、また被保険者期間中の傷病がもとで初診日から死亡した場合、さらに老齢厚生年金の受給資格期間を満たしている方が亡くなった場合等に、家族が代わりに年金の受給ができます。
子供の有無、被保険者が亡くなった時の配偶者の年齢、夫の場合と妻の場合など、支給要件が違いますのでご注意を。また家族とは、配偶者・子・父母・孫・祖父母(子・孫は要件有)のうち、優先順位の高い人が受給できます。
<老齢年金>
日本の公的「老齢年金」は2階建てと言われています。1階部分の国民年金は、正式には「老齢基礎年金」というもので、実は公的年金加入者全員が加入しているシステムです。2階部分に加入している「厚生年金」加入者の、会社員の皆様も加入しています。
よく質問をされるのが、「社会人になったら、学生時代に加入していた国民年金は脱退するのですか?」という質問です。脱退というよりは、「厚生年金」部分が追加されます。入社時に「年金手帳」を持参するかと思いますので、会社が手続きを行ってくれます。
上記の図をみていただくとわかると思いますが「厚生年金」に加入していると、将来その分手厚い老齢年金の保障が得られます。また近年では、「3階部分」の「自分年金」(自分で準備をする年金)が大切と言われています。
上記3つの制度は受給要件のひとつに「加入期間」があります。こちらでは割愛しますがご注意ください。
※日本年金機構HP『年金の受給』
『厚生年金』のメリットを大切にして欲しい
公的年金は大きく2つ分かれていますが、「厚生年金」は「国民年金」に比べて、大きなメリットが山積みにあるのです。私も若いうちはその恩恵に気がつかなかった一人ですが、多くの人が同じ感想を持っています。
新社会人の皆様も、これから先、人間関係や仕事の内容で会社を辞めたくなることもあるでしょう。もちろん、自分の人生なので冒険や挑戦も大切です。しかし、退職する前に社会制度や会社の福利厚生にも目を向けてください。
アメリカでも定期的に転職をする人は多くいますが、その理由は「キャリアアップ」のためとか。仕事の内容の吟味と同時に、給与や福利厚生、401K(確定拠出年金のアメリカ版)の内容をアップグレードするのに転職をするようです。安易な好き嫌いで判断はせず、賢くキャリアアップを図ってください。
執筆者:寺門美和子(てらかど みわこ)
ファイナンシャルプランナー