更新日: 2019.07.04 国民年金
「2年の時効が来る前に納付すればいつ納付しても年金受給には影響ない」本当?
この納付期限を過ぎても直後であればまだ納付が可能ですが、その納付期限から2年経過後は、時効となって納められず、未納期間で確定してしまいます。では、2年の時効が来る前に納付するのであれば、いつ納付しても年金受給には影響がないのでしょうか。
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
もしもの時の障害年金・遺族年金は未納が多いと受給できない!
国民年金制度には、老齢基礎年金の他に障害基礎年金や遺族基礎年金といった、もしもの時の年金給付があります。
障害基礎年金や遺族基礎年金を受給するためには、一部の例外を除き、障害基礎年金を受給しようとする本人、あるいは遺族が遺族基礎年金を受ける場合の亡くなった人に、一定の保険料納付期間(国民年金第2号被保険者期間や第3号被保険者期間も含む)や免除期間がなければなりません。
初診日(障害基礎年金の場合。障害の原因となる病気やケガで初めて医師等の診療を受けた日)の前日、あるいは死亡日(遺族基礎年金の場合)の前日時点で、(1)初診日・死亡日の前々月までの被保険者期間に3分の2以上の保険料納付や免除の期間があること(原則)、(2)初診日・死亡日の前々月までの直近1年間に未納期間がないこと(特例)、いずれかを満たす必要があります(【図表1】参照)。
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「前日」時点で「前々月分」までが問われる
初診日または死亡日の「前々月」までの保険料納付状況が問われることになります。
つまり、第1号被保険者が納める国民年金保険料のうち、翌月末までの納付期限を既に過ぎた分での納付状況を見られることになり、しかも「初診日の前日」時点(障害基礎年金の場合)、「死亡日の前日」時点(遺族基礎年金の場合)で見られることになります。
時効は2年ですが、保険料を毎月の翌月末までに支払わず、後で2年分の保険料をまとめて納めようと思っていた矢先、病気やケガで初診を受けた場合、あるいは死亡した場合、その分は未納扱いとなってしまいます。
本人あるいはその家族が、初診日や死亡日の当日あるいはその翌日以降にその保険料を納めても、納付した期間としては認められないということになり、この時点で、(2)の直近1年で未納なしという特例の納付要件が満たせなくなってしまいます(【図表2】の例の上側)。
もし、(2)の特例の要件だけでなく、(1)の原則の要件(納付・免除が3分の2以上の要件)も満たせない場合は、年金が受給できないことになります。
納付できない場合は免除・猶予の手続きをしましょう
従って、第1号被保険者は、「時効の2年までまだ余裕がある」と安心して放置せず、いざという時に備えて、毎月の保険料は翌月末までに納付し、もし経済的な事情で納付ができない場合は、保険料免除の手続きを早めに行って、納付要件を満たせる免除期間にしておきましょう。
老齢基礎年金と異なり、免除期間は障害基礎年金や遺族基礎年金の金額の計算には影響しませんが、先述の納付要件のとおり、そもそも年金が受給できるかどうかには大きく影響します。
保険料のうちその一部のみの免除(4分の3免除、半額免除、4分の1免除)が認められた月については、免除されていない残額を納めて初めて免除期間と認められますので、免除の申請だけでなく、残額の納付を忘れずに行いましょう。
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
※3/27 一部内容を修正しております。