【FP解説】年金の「知らないと損!」 額改定請求を活用しよう
配信日: 2020.02.06
第8回は「額改定請求を活用しよう」です。
執筆者:和田隆(わだ たかし)
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士
新聞社を定年退職後、社会保険労務士事務所「かもめ社労士事務所」を開業しました。障害年金の請求支援を中心に取り組んでいます。NPO法人障害年金支援ネットワーク会員です。
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目次
活用方法はさまざま
障害年金の請求に関して、積極的に活用したいのが額改定請求です。障害年金の受給権を取得済みの人はもちろん、これから裁定請求をする人も活用できます。活用方法を見てみましょう。
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障害が重くなったときに提出する
■障害年金の受給権を取得済みの人
<随時提出する場合>
額改定請求は、すでに障害年金を受給している人の障害が重くなった場合に、上級等級を求めて行うのが一般的です。2級を受給している人が1級に、あるいは3級を受給している人が2級または1級に、と請求します。ただし、65歳以上の人の場合は、65歳の誕生日の前々日までに一度は2級以上に認定されたことがないといけません。
1年間待つ必要がない場合も
上記で、「原則として1年後」と書いたのは、法改正で平成26年4月1日からは、障害の程度が明らかに重くなったと認められる場合は、決定から1年間待つ必要がなくなったからです。
どんな場合に、障害の程度が明らかに重くなったと認められるかは、障害の部位別に決められています。詳細を知りたい方は、日本年金機構のホームページ(※)をご覧になるか、近くの年金事務所にお問い合わせください。
なお、このときの法改正では、精神疾患については「1年以内に急性憎悪し、その後固定するという状態に該当しない」として、上記措置の対象外とされました。
障害状態確認届に添えて提出する
<障害状態確認届と併せて提出する場合>
前述の<随時提出する場合>の変則パターンです。「障害が重くなった」と思われる時期と障害状態確認届の提出時期が重なったときに、この手法を取ります。障害状態確認届に額改定請求書を添えて提出します。
「障害が重くなったのなら、障害状態確認届だけで、厚生労働大臣の職権で上級等級に認定してもらえるのではないか」と思われるかもしれませんが、実際には、そう簡単ではありません。期待どおりにならないことが結構あります。
このときは、後から上記の随時提出ができますが、それではあらためて診断書を用意しなければならず、請求時期も何ヶ月か遅くなってしまいます。
「障害が重くなった」というアピールにも
これに対して、額改定請求書を障害状態確認届に添えて提出しておけば、上級等級に認定してもらえなかったときに、すぐに異議申し立てに当たる審査請求ができるのです。日本年金機構の認定医に対して「障害が重くなりました。上級にしてください」と強くアピールする効果も期待できます。
裁定請求をするときに提出する方法も
■これから裁定請求をする人
<裁定請求書と併せて提出する場合>
裁定請求をするときにも、裁定請求書と併せて額改定請求書を提出できます。障害認定日からの受給権を認定してもらう「障害認定日請求」の場合で、最近の症状が、障害認定日当時の症状より重くなった場合がこれに当たります。
額改定請求書を併せて提出する利点は、裁定請求日の等級が障害認定日の等級より上級に認定されなかった場合に、すぐに審査請求ができることです。上記の「障害状態確認届と併せて提出する場合」と同様の考え方です。
積極的に活用しよう
障害年金は、自ら裁定請求をすることによって支給されます。障害の程度が重くなった場合も同様に考えたほうが良いと思います。額改定請求を積極的に活用しましょう。
(※)日本年金機構「障害の程度が変わったとき」
執筆者:和田隆
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士