最終更新日: 2021.02.05 公開日: 2021.02.06
年金

老後資金が確実に増える方法は、長く働き「厚生年金」へ加入すること?

執筆者 : 黒木達也 / 監修 : 中嶋正廣

企業の多くは、現在でも60歳定年制を採用しているところが多く、60歳以降は従業員の働き方は変わってきます。仕事をいっさい辞める人、継続雇用でフルに働く人、パートで時間を決めて働く人などさまざまです。
 
人生百年時代の到来が現実になっており、60歳以降も、厚生年金に加入して働くことが選択肢として注目されています。
 
黒木達也

執筆者:

執筆者:黒木達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト

大手新聞社出版局勤務を経て現職。

中嶋正廣

監修:

監修:中嶋正廣(なかじま まさひろ)

行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引士、資格保有者。

長野県松本市在住。

黒木達也

執筆者:

執筆者:黒木達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト

大手新聞社出版局勤務を経て現職。

中嶋正廣

執筆者:

監修:中嶋正廣(なかじま まさひろ)

行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引士、資格保有者。

長野県松本市在住。

60歳からの老後は長い

20代から長い間会社勤めをして、ようやく60歳を迎え仕事から解放されたいという気持ちが強く、退職金を受け取り、いっさいの仕事から離れたいと考える人もいるかもしれません。
 
人生70年の時代ならともかく、現在の日本人男性の平均寿命は82歳、女性は87歳を超えており、60歳の人はさらに寿命が長くなると予想できます。
 
そのため、60歳定年を迎えた会社員の心配のタネも、退職に伴う失業手当の受給手続きや退職金の運用に関してよりも、継続雇用を前提とした厚生年金への加入メリットや、在職老齢年金の仕組みへの関心が高まっています。
 
正社員はもとより、嘱託社員も、パート従業員も、仕事に就いていれば多くの人が、60歳を過ぎても「厚生年金」に加入できる仕組みになりました。10年以上前は、60歳で完全にリタイアをした人だけでなく、短時間のパート従業員などは、厚生年金に加入できませんでした。
 
また、仕事を続けても「在職老齢年金制度が適用され、受け取る年金が減額される」「働きたいときに少しの時間だけ働きたい」という考えの人も多く、厚生年金への加入に対しては無関心の人が多かったと思います。
 
ところが最近では、60歳以上でも継続して仕事をする人も増加し、厚生年金に加入する人も増えてきました。60歳代では、健康面・体力面でも十分に自信が持てる人が多く、それだけ、人生後半を少しでも豊かな生活設計をしたいと考え、就業への意識が高くなってきているのかもしれません。
 

働くシニアが増え年金加入者も増加中

60〜69歳までの人で、仕事をもっている「働くシニア」層は、ここ数年増加しています。現在60~64歳までの人は約450万人、65~69歳までの人では約280万人が就業しています。公的年金の受給開始年齢が65歳からだと考えると、65歳未満の就労者の増加は納得できます。
 
少子化の進行による若年労働力が減少していることも背景にあり、政府も企業も、高齢者の雇用促進と厚生年金の加入者拡大には非常に積極的です。年金加入者の増加は、厚生年金の財政基盤の強化にもなります。
 
さらに高齢者の雇用が進まないと、人手不足による企業活動の停滞につながりかねません。今後は、70歳定年制を視野に入れた雇用促進政策も実施されそうです。現在では、政府による厚生年金への加入促進の具体策も講じられています。
 
パート労働者への加入条件の緩和、少人数企業従業員の加入促進、在職老齢年金制度の見直し(支給停止要件の緩和)などが進むことより、働く高齢者の意識も変化し、厚生年金への加入者が増えてきました。
 
高齢の雇用者全体に占める厚生年金への加入比率も、60~64歳の人では70%近く、65~69歳の人でも50%近くに増加しています。
 

最大のメリットは老齢年金の増額

厚生年金に60歳を超えて加入していることの最大のメリットは、受け取る老齢年金額の増加です。60歳以前の増加額と比べると、多少上昇幅はゆるやかですが、それでも効果は大きいといえます。老後が長くなると多くの人が理解しているため、受け取る年金額の増加は、やはり大きな魅力です。
 
例えば、実際に平均月収20万円(賞与分を含む)で、60歳から65歳になるまで、厚生年金に加入し仕事を続けると、その間60カ月(5年)分の保険料を支払うことになります。すると60歳で厚生年金から離れた場合と比較して、受け取る老齢年金額が6万5000円以上増加するはずです。
 
70歳まで仕事を続けると、年金額は13万円以上増額になります。もし月収が20万円超であれば、さらに年金額は増加します。ただし一定金額以上の収入のある人(65歳未満月収28万円、65歳以上月収47万円)は、現在の基準では年金の一部が支給停止になりますので注意が必要です。
 
ただし、65歳未満の人の条件は、2022年以降緩和される予定です。厚生年金に加入すると、保険料を支払いますが、保険料は勤務先と折半のため、半額は勤務先に負担してもらえます。国民年金のように、全額自己負担ではありません。
 
このため保険料負担への抵抗感も薄れてきています。こうした事情を背景に、少なくとも65歳までは、厚生年金に加入職場で勤務し、老齢年金の受給開始を65歳以降、できれば70歳近くに繰り下げる流れは、今後さらに強まるといえます。
 

年金増額以外にもメリットが

受給年金額の増加以外にもメリットはあります。その1つが勤務先の健康保険への加入が可能になります。国民健康保険よりも有利な条件があります。保険料が勤務先と折半になることだけでなく、配偶者を扶養家族として保険に入れることができ、配偶者はほぼ保険料なしで医療サービスを受けられます。
 
会社によっては人間ドックの受診補助も受けられます。夫婦が別々に加入する国民健康保険に比べ、メリットは大です。また病気やけがで勤務できない際に、傷病手当金を受け取ることもできます。
 
厚生年金に加入しているため、障害年金や遺族年金を受け取ることができるメリットもあります。障害年金は本人が65歳以前に初診日があれば受給可能ですし、遺族年金は、本人が亡くなった際に配偶者が受け取る年金受給額が、60歳時点で年金加入を辞めたケースに比較して増額されます。
 
さらに雇用保険にも加入できるため、例えば教育訓練給付金を受給し、自身のキャリアアップをめざすこともできます。
 
執筆者:黒木達也
経済ジャーナリスト
 
監修:中嶋正廣
行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引士、資格保有者。
 

関連記事

55歳専業主婦。今さら、厚生年金に入ってもムダですか?
厚生年金基金が実質廃止。廃止された厚生年金基金はどうなるの
厚生年金保険の計算方法解説。自分の保険料がいくらなのか知る方法



▲PAGETOP