更新日: 2021.05.07 その他年金
複数の年金受給権がある場合、どうすればいい?
その人の事情によっては複数のケースに当てはまることがあるかもしれません。その場合、複数の年金受給権が発生することになりますが、どのような年金を受け取ることになるのでしょうか。
複数の年金受給権を得た場合について紹介します。
執筆者:伊達寿和(だて ひさかず)
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員
会社員時代に、充実した人生を生きるには個人がお金に関する知識を持つことが重要と思いFP資格を取得。FPとして独立後はライフプランの作成と実行サポートを中心にサービスを提供。
親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、地域に根ざしたFPとして活動中。日本FP協会2017年「くらしとお金のFP相談室」相談員、2018年「FP広報センター」スタッフ。
https://mitaka-fp.jp
公的年金は1人1年金が原則
公的年金には、老齢年金、障害年金、遺族年金の3つの種類があります。もし、支給事由が異なる複数の年金を受けられるようになった場合、原則として、いずれか1つの年金を選択することになります。
日本の公的年金制度は、20歳以上60歳未満の全ての人が加入する国民年金と、会社員・公務員の人が加入する厚生年金から構成されています。
そのため、年金の支給については国民年金の部分に当たる「基礎年金」に加えて、厚生年金に加入していた人は「厚生年金」が上乗せされる仕組みです。
同じ支給事由で受け取ることができる基礎年金と厚生年金の組み合わせについては、1つの年金と見なされて、以下のように併せて受け取ることができます。
・老齢基礎年金と老齢厚生年金
・障害基礎年金と障害厚生年金
・遺族基礎年金と遺族厚生年金
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支給事由が異なる2つ以上の年金は、基本は選択制
支給事由が異なる2つ以上の年金の受給権を得た場合は、いずれか1つの年金を選択するのが原則です。ただし65歳以後は特例があります。65歳未満の場合、受給できる年金としては障害年金と遺族年金、特別支給の老齢厚生年金があります。
障害年金を受給している人が遺族年金の受給権を得る場合や、遺族年金を受給している人が特別支給の老齢厚生年金の受給権を得る場合などが考えられます。
「障害基礎年金と障害厚生年金」、「遺族基礎年金と遺族厚生年金」、「特別支給の老齢厚生年金」について、いずれか1つを選択することになりますが、受給できる年金額を比較して高い方を選択することができます。
また、年金事務所などに「年金受給選択申出書」を提出する手続きが必要です。老齢年金を繰上げ受給して65歳以前から受け取る場合も、1人1年金の原則が適用されます。
すでに遺族年金を受け取っている人が老齢年金の繰り上げをすると、65歳まで遺族年金が受け取れなくなるので注意が必要です。
複数の年金が得られる特例のケースとは
65歳以後は、支給事由が異なる2つ以上の年金を特例的に受け取れる場合があります。
1つ目は老齢年金と遺族年金の組み合わせです。
老齢基礎年金と遺族厚生年金を併せて受け取ることができます。また、老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金を受け取る権利がある人は、遺族厚生年金も受け取れます。
ただし、遺族厚生年金の年金額が老齢厚生年金より多い場合は、その差額のみを受け取ることができます。
2つ目は老齢年金と障害年金の組み合わせです。
障害年金を受け取っている人が老齢年金を受け取れるようになったときは、次のいずれかの組み合わせを選択することができます。
・障害基礎年金と障害厚生年金
・老齢基礎年金と老齢厚生年金
・障害基礎年金と老齢厚生年金
3つ目は障害年金と遺族年金の組み合わせです。
障害年金を受け取っている人が遺族年金を受け取れるようになったときは、次のいずれかの組み合わせを選択することができます。
・障害基礎年金と障害厚生年金
・障害基礎年金と遺族厚生年金
2つ目と3つ目のケースについては、年金事務所などに「年金受給選択申出書」を提出する手続きが必要です。年金の受け取り方を選ぶ場合は、年金事務所などで受給額を確認して比較するようにしましょう。
また、老齢年金は所得税・住民税の対象となりますが、障害年金と遺族年金は所得税・住民税について非課税です。税金面の違いも考慮して選択するとよいでしょう。
出典
日本年金機構 年金の併給または選択
日本年金機構 2つ以上の年金を受ける権利ができたとき
日本年金機構 繰上げ請求の注意点
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員