更新日: 2021.06.15 厚生年金
育児休業中の厚生年金保険料免除。将来の年金額への影響は?
そこで、育児休業中に厚生年金保険料を免除した場合の影響について見ていきます。
執筆者:秋口千佳(あきぐちちか)
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士
育児休業中の厚生年金保険料免除とは、どういった制度なのか?
(1)制度の内容
育児・介護休業法により、育児休業等の期間中は、厚生年金保険(健康保険も含む)の保険料は、勤め先の会社が届け出をすることにより、本人と会社双方の負担する保険料が免除されます。
(2)免除期間
育児休業等を開始した日が含まれる月から、終了した日の翌日が含まれる月の前月までの期間(ただし、子が3歳に達するまで)が免除されます。
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厚生年金保険料を免除してもらったら、将来の年金の受給額に影響するのか?
(1)老齢厚生年金の受給額の計算方法
原則65歳以降に受給できる老齢厚生年金はどのように算出されるのか。
計算式は簡単に示すと次のとおりです。
【一定額+平均標準報酬月額×9.5/1000~7.125/1000×加入期間の月数】
ポイントは、「平均標準報酬月額」と「加入期間の月数」です。
(2)平均標準報酬月額
これも正確に説明すると複雑な話になるので、簡単にいうと、厚生年金保険料を支払っていた期間の平均の標準報酬月額です。
なお、標準報酬月額とは、厚生年金保険料や健康保険料などの社会保険料を比較的簡単に算出するために、報酬額区分(等級)を都道府県ごとに設定している、計算用の金額のことです。
各都道府県の保険料額表は全国健康保険協会(協会けんぽ)のホームページでご確認いただけます。(※)
(3)加入期間の月数
文字通り、何ヶ月支払っていたか、ということです。
(4)育児期間中の「標準報酬月額」と「加入期間月数」の取り扱い
育児休業中の期間は加入している期間と同じ取り扱いとなります。つまり、会社を休んでいる期間は、休む前と同額の給料をもらって厚生年金保険料も支払っている、と考えます。
休む直前の標準報酬月額が30万円の人は、休んでいる間も同じ30万円となります。また、休んでいる期間は厚生年金保険料を支払っていなくても、加入している取り扱いなので、その休んでいる期間は加入期間になります。そのため、休んでいない場合と同じ効果となります。
存在する制度は遠慮なく使ってよし
育児休業に限らず、産前産後休業や介護休業を考えている人は、国がさまざまな制度を用意してくれているので、ぜひ活用しましょう。これらの中には男性が使える制度もあります。
こういった制度を使うと、周りから白い目で見られるのではないかとか、昇進に影響が出るのではないか、などと思われがちです。しかし、これらの制度を活用することは、私たちの生活を守るための正当な権利です。
詳しいことを知りたい人は、専門家(社会保険労務士やファイナンシャル・プランナー)に相談して、遠慮なく会社に申し出てみましょう。
[出典]
※全国健康保険協会(協会けんぽ)「令和3年度保険料額表(令和3年3月分から)」
日本年金機構「育児休業や介護休業をする方を経済的に支援します(令和2年度版 厚生労働省 都道府県労働局作成パンフレット)」
日本年金機構「老齢厚生年金(昭和16年4月2日以降に生まれた方)」
執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士