更新日: 2021.06.28 その他年金

「ずっと片働き」と「ずっと共働き」。夫婦の年金受給額の目安は?

「ずっと片働き」と「ずっと共働き」。夫婦の年金受給額の目安は?
私たちのライフスタイルは多様化しています。そのため、夫婦のうち1人が「ずっと片働き」をしているケースと、夫婦ともに働き続ける「ずっと共働き」をするケースがあります。どちらも家庭にとって必要な選択なのですが、気になるのは将来受け取ることのできる年金受給額です。それぞれ、どれくらい受給できるのでしょうか?
飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

https://paradisewave.jimdo.com/

ずっと片働きの年金受給額はいくら?

片働きは夫、もしくは妻のみが働いているケースです。もちろん、夫もしくは妻がフルタイムで働いている場合、配偶者である夫や妻がパートタイムなどで働くこともあるでしょう。
 
ただ、パートタイムで働いていても、扶養控除内、配偶者控除の範囲で働いていることが多く、自分の年金に反映されているケースは極めて少なくなります。この場合の配偶者の年金は、老齢基礎年金のみです。
 
では、片働きの場合、どれくらい年金が受給できるのか確認してみましょう。
 
平均的な収入といわれている平均標準報酬(賞与含む月額換算)は、43.9万円です。この条件で40年間働いて受け取れる年金受給額は、夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額としては、月額で22万496円。年間で264万5952円でした。
 
この金額は令和3年の受給額なのですが、残念ながら前年よりも0.1%引き下げられて支給されていました。
 
(引用:日本年金機構「令和3年4月分からの年金額等について」(※1))
 

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ずっと共働きの年金受給額はいくら?

夫婦それぞれが、平均的な収入といわれている平均標準報酬(賞与含む月額換算)の43.9万円の収入を得ている場合です。この条件で40年間働いて受け取れる年金受給額は、月額では1人につき15万5421円受け取れる計算です。世帯で考えた場合の月額は、31万842円。年間で373万104円でした(令和3年支給額で試算)。
 
ただ、夫婦それぞれが40年間、フルタイムで働き続けることは難しく、特に女性の場合、出産や育児によりキャリアが中断されてしまう可能性があります。
 
65歳以降の老齢基礎年金の計算方法は、基本月額と総報酬月額相当額の合計金額が47万円以下の場合、全額支給となります。自分がいくら受け取れるのか、確認しておくとよいでしょう。
 
なお、基本月額と総報酬月額相当額の合計金額が47万円を超えるときの支給停止額は、
基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2
で計算します。
 
日本年金機構のホームページでは、簡単に年金受給額のシミュレーション(※2)ができるようになっています。ぜひ、シミュレーションしてみてください。
 

不足分をどのように補うのかを考えてみよう

片働きの場合、年間で受け取れる年金受給額は264万5952円でした。単純計算で現役中は500万円超の年収を得ていたのですから、収入は半分になってしまうことになります。
 
もちろん、260万円くらいあれば生活できるという人もいるかもしれませんが、現役時代よりも引き締めた生活を送らなければならないことは明らかです。
 
送られてくる「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」のシミュレーション機能を使って、いくら受給できるのか予想できたら、どのようにして不足分を補っていけばよいのか考えていきましょう。
 
片働きで、フルタイムとパートタイムで働いているようなら、子育てなどが落ち着くタイミングを見計らって、フルタイムにシフトしていくことを考えてみてください。
 
現在、パートタイムで働いている人の多くが配偶者控除を意識しています。パートで年収150万円を超えると配偶者控除が減額され、年収201万円を超えると配偶者控除が受けられなくなります。ただ、時間的に余裕がある、収入アップを考えているのなら、フルタイムで働くことを考えてみましょう。完全なる片働きの場合、働くことを考えても良いですね。
 
また、働いて年金受給額を増やす他に、運用で増やす方法もあります。
 
現状では、いずれの金融商品も利回りはよくありません。ただ、年金の特化したiDeCoなら掛金が所得控除となりますし、運用益や得られる利息が非課税です。その他にも気になる金融商品があるのなら、試しても良いですね。
 
年金は、夫婦で生活するための軸となる収入です。夫婦でしっかり話し合い、どのような働き方をするのか、将来はどのように暮らしたいのかを考えていきましょう。
 
(※1)日本年金機構「令和3年4月分からの年金額等について」
(※2)日本年金機構「年金見込額試算」
 
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト
 

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