更新日: 2021.06.26 その他年金
遺族年金はいつから支給される? 遺族基礎年金と遺族厚生年金で違いはある?
今回は、遺族年金の種類や 受け取るための条件、いつから支給されるのかについて紹介します。
執筆者:伊達寿和(だて ひさかず)
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員
会社員時代に、充実した人生を生きるには個人がお金に関する知識を持つことが重要と思いFP資格を取得。FPとして独立後はライフプランの作成と実行サポートを中心にサービスを提供。
親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、地域に根ざしたFPとして活動中。日本FP協会2017年「くらしとお金のFP相談室」相談員、2018年「FP広報センター」スタッフ。
https://mitaka-fp.jp
遺族年金の種類
遺族年金の種類としては、主に「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があります。
遺族基礎年金は公的年金に加入していた人が亡くなったケースで、国民年金、厚生年金のどちらにも該当するのに対して、遺族厚生年金は厚生年金に加入していた人が亡くなったケースに限られます。
上記以外の遺族年金としては、国民年金に加入していた人(第1号被保険者)が亡くなった場合の寡婦年金と死亡一時金がありますが、今回は遺族基礎年金と遺族厚生年金について、その概要を紹介します。
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遺族基礎年金とは
遺族基礎年金とは、国民年金に加入していた人が亡くなった場合に、その遺族に支給される年金です。会社員や公務員など厚生年金に加入していた人は、国民年金にも加入していますので遺族基礎年金の対象となります。
遺族基礎年金を受け取るためには条件があります。1つ目は亡くなられた人に関するもので、国民年金の加入者または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上あることです。
ただし、亡くなられた日の2ヶ月前までの保険料を納付すべき期間について、免除期間を含む保険料納付済みの期間が3分の2以上必要となります。
なお、令和8年3月末日までは65歳未満や国民年金の加入中に亡くなられた場合、亡くなられた日の2ヶ月までの1年間のうち、保険料を納付すべき期間で滞納がなければ対象となります。
2つ目は遺族年金を受け取る人に関するもので、生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」に限られます。「生計を維持されていた」とは、原則として次の2つを満たしている必要があります。
・同居していたこと、あるいは別居でも仕送りがあったこと。
・年金を受け取る人の前年の年収が850万円未満、または所得が655万5000円未満であること。
さらに「子」とは次の人をいい、婚姻していないことも条件となります。
・18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない人
・20歳未満で、障害年金の障害等級1級または2級の人
年金額は、年78万900円と子の加算です(令和3年4月分から)。子の加算は、第1子と第2子が各22万4700円、第3子以降は各7万4900円です。
遺族基礎年金は大きな条件として「子」があり、支給対象の遺族が限られています。
遺族厚生年金とは
遺族厚生年金は、会社員や公務員など厚生年金に加入していた人が亡くなられた場合に、その遺族に支給される年金です。
遺族厚生年金を受け取るためには条件があります。1つ目は亡くなられた人に関するもので、厚生年金の加入者、または加入期間中の傷病が原因で初診の日から5年以内に亡くなられた場合です。
さらに、遺族基礎年金と同様の保険料の納付期間についての条件があります。また、老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある人、1級・2級の障害厚生年金を受けられる人も該当します。
2つ目は遺族年金を受け取る人に関するもので、生計を維持されていた次の人が対象です。
・妻
・子、孫(18歳未満または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級)
・55歳以上の夫、父母、祖父母
遺族厚生年金が支給される人には優先順位があります。また、支給に条件が設定されている場合があり、子のいない30歳未満の妻は支給期間が5年間に限られます。
55歳以上の夫、父母、祖父母については、遺族基礎年金が支給されている夫を除き、支給開始は60歳からです。
受け取れる年金額は、平均標準報酬額と被保険者加入月数によって計算される報酬比例部分の年金額で、老齢厚生年金の年金額の4分の3に相当します。
ただし、被保険者期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算されます。
遺族年金はいつから支給される?
遺族年金が支給されるには請求手続きが必要です。遺族基礎年金のみの場合はお住まいの市区町村の窓口に、それ以外の場合は近くの年金事務所または共済組合で手続きをします。
「年金請求書」と添付書類を提出すると、約1ヶ月で「年金証書」と「年金決定通知書」、パンフレットが自宅に届きます。
なお、加入状況の確認が必要な場合は2ヶ月近くかかる場合があります。年金証書が届いてから、約1~2ヶ月後に年金の振り込みが始まります。
年金は偶数月の15日に2ヶ月分が支給されますが、初めて年金を受け取るときは奇数月になる場合もあります。手続きから実際に年金の振り込みが始まるまで、4ヶ月近く待つ場合があるので注意しましょう。
前述のとおり、遺族厚生年金のみの場合、55歳以上の夫、父母、祖父母については60歳まで支給が開始されません。遺族基礎年金の場合と違いがありますので、支給開始時期についても確認するようにしましょう。
出典
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)
日本年金機構 遺族年金ガイド(令和3年度版)
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員