更新日: 2021.07.31 国民年金
年金記録は、どこに記載されている? 不明な記録があった場合は?
今回は年金記録の記載内容と、その内容に不明な点があった際の対応について解説します。
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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年金記録を知る方法
自分の年金記録を知る方法として一般的なものが「ねんきん定期便」です。毎月誕生日月にはがき形式で送付されてくるので、それを見ることにより、自分の年金記録を知ることができます。
50歳未満の方であれば、これまでの加入実績に基づいた年金額(昨年分と今年分)や最新の月別加入状況が分かるようになっています。さらに、これまでの保険料納付額(累計額)やこれまでの加入期間、そしてこれまでの加入実績に応じた老齢基礎年金や老齢厚生年金額を知ることもできます。
一方、50歳以上になると内容が若干変わります。現在の年金制度に加入し続けた場合、65歳からいくら受け取れるのかという金額や、受給開始を70歳まで遅らせた場合の受給額についても記載されるようになります。
最新の月別加入状況の記載については、50歳未満の方と同じですが、受け取れる老齢年金の額や受け取り開始時期について詳しく記載されている点が異なります。
また、節目年齢といわれる35歳、45歳、59歳の方にははがきではなく、封書形式のねんきん定期便が届きます。はがきでは最新の月別加入状況しか知ることはできませんが、封書形式であれば、これまでの加入履歴すべてを見ることが可能です。
封書には「年金加入記録回答票」が同封されており、年金加入記録に不明なものがあった際には、その回答票を用いて日本年金機構に問い合わせることが可能です。
(出典:日本年金機構「ねんきん定期便」(※1))
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インターネット上で確認する方法もある
現在は、ねんきん定期便以外にもインターネット上で確認する方法があります。それが「ねんきんネット」といわれるもので、これまでの年金記録の確認はもちろんのこと、将来の年金見込額の確認などを行うことができます。
利用の際にはユーザーIDを取得するか、マイナポータルとの連携によって利用登録を行う必要があります。ユーザーIDを取得するにはアクセスキーが必要で、そのアクセスキーはねんきん定期便に記載されています。
アクセスキーが分からない場合は、新規利用登録からユーザーIDの取得画面に遷移し、必須事項を入力することで、5営業日程度で日本年金機構からユーザーIDが記載されたはがきが届く仕組みとなっていますので、そのIDを利用してログインするようにしてください。
不明な記録が見つかったら?
ねんきん定期便およびねんきんネットを利用して年金記録を確認した際、不明な記録が見つかることがあります。
基礎年金番号が導入された1997年1月から社会保険庁は年金手帳の基礎番号の統一を進めてきましたが、2007年6月時点で基礎年金番号に統一されていない案件が約5000万件もあることが発覚し、問題視されました。これが年金記録問題といわれるものです。
2021年4月末時点では、そのうち約2000万件の統一が完了していると発表されていますが、それでもいまだに約3000万件の統一が済んでいないことになります。
(出典:日本年金機構「年金記録問題についてのこれまでの取組状況」(※2))
年金記録の訂正請求
もし、自身の年金記録に不明な記録があった場合は、厚生労働省に対して「年金記録の訂正請求」を行う必要があります。
■訂正請求ができる人
・年金加入者本人(過去に加入していた場合も含む)
・年金加入者の遺族
■改訂請求の対象となる期間
改訂請求において、対象となる期間は以下のとおりです。
1.国民年金保険および厚生年金保険の被保険者であった期間
2.厚生年金統合前の旧船員保険や旧3大公社、旧農林共済組合の組合員であった期間
■改訂請求の対象となるケース
では、どのような場合に改訂請求を行うことができるのでしょうか。以下に例を挙げておきますので、参考にしてください。
・厚生年金に加入していた期間の記録がない
・厚生年金に加入した日が就職日より後になっている
・厚生年金の喪失日が退職日より前になっている
・加入期間中の標準報酬月額が異なっている
・国民年金保険料を納付したはずなのに、未納と記載されている
年金記録の訂正請求の流れ
年金記録の訂正請求は、必要な書類をそろえて管轄の年金事務所にて行う必要があります。必要な書類とは以下のとおりです。
1.年金記録訂正請求書
2.同意書
3.請求の概要
4.請求内容に関する状況が分かる資料
年金事務所で訂正できるものは、年金事務所で行われますが、年金事務所で対応できない案件については、厚生労働省の地方厚生局に送られ、そこで対応することになります。
そこでは、内容について各種調査を行い、さらに地方年金記録訂正審議会にて訂正の決定もしくは不訂正の決定が行われます。不訂正の決定通知が届いた際には、審査請求または提訴を行うこともできます。その際の管轄は厚生労働大臣もしくは裁判所です。
(出典:日本年金機構「年金記録の訂正手続のあらまし」(※3))
まとめ
年金問題への取り組みは、現在も引き続き行われていますが、最新の情報(2021年4月)を見ても、約1万4000件の訂正請求が行われており、問題が解決するまでにはまだかなりの期間を要することが想定されます。
また、2021年2月時点における記録訂正による年金額の増額は累計で1324億、件数としては396万件にものぼっていることから、現在でも年金記録しだいでは、もらえるはずの年金がもらえない状態になっている人も多いと思われます。
せっかく納めた保険料に基づいた年金を受給するためにも、自身の年金記録を一度しっかりと確認し、不明な点が見つかった場合は速やかに訂正請求を行うようにしてください。
(出典:日本年金機構「年金記録問題への取組状況について」(※4))
出典
(※1)日本年金機構「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和3年度送付分)
(※2)日本年金機構「年金記録問題についてのこれまでの取組状況」(令和3年6月)
(※3)日本年金機構「年金記録の訂正手続のあらまし」
(※4)日本年金機構「年金記録問題への取組状況について」(令和3年4月報告)(速報ベース)
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員