給与によって、厚生年金保険料はどう変わる?
配信日: 2021.08.13
そこで、給与が変化すると厚生年金の保険料がどのように変わっていくのか、簡単にシミュレーションしてみました。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
厚生年金の保険料の決まり方
まずは厚生年金の保険料がどう決まるか、簡単におさらいしましょう。
毎月の給与から引かれる厚生年金の保険料は、標準報酬月額に保険料率(18.3%)をかけて算出したものを、さらに半分(会社と本人とで折半)にした金額となっています。
標準報酬月額は大幅に給与が変動したなどの理由がない限り、毎年4月から6月の給与の平均(報酬月額)を基に決定され、その年の9月から来年の8月まで適用されます。
また、標準報酬月額には等級があり、報酬月額の一定の範囲ごとに区分けされます。
日本年金機構の「令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和3年度版)では、例えば4月から6月の給与の平均が21万円の場合、報酬月額は19万5000円から21万円の範囲になるため、等級は14で、標準報酬月額は20万円です。
なお、厚生年金の保険料は賞与についてもかかります。賞与については標準賞与(税引き前の賞与の額から1000円未満の端数を切り捨てたもので、150万円が上限)に保険料率(18.3%)をかけて保険料が算出されます。
給与の範囲は?
厚生年金の保険料を計算する際の基礎となる給与とは、単なる基本給や残業代だけでなく、住宅手当や管理職手当のほか、所得税がかからない通勤手当なども含まれます。
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厚生年金の保険料はどう変化する?
厚生年金の保険料が給与によってどのような幅で変化していくのか、実際に前述の厚生年金保険料額表(令和3年度版)を基に見ていきます。
上限こそあるものの基本的には給与が上がると、それに比例して厚生年金の保険料も高くなっていきます。今回の検証においては変化を分かりやすくするために、毎月の給与(手当などを含めた総支給額)が一定額であると仮定し、賞与については考慮しないものとします。
毎月の給与が9万円の場合
毎月の給与が9万円の場合、標準報酬月額は最も低い1等級の8万8000円となります。厚生年金の保険料の総額は1万6104円となり、本人の負担分は月々8052円です。
パートなど時短勤務で厚生年金に加入する方は、毎月8000円程度を支払うと考えるとよいでしょう。
毎月の給与が23万円の場合
毎月の給与が23万円の場合、標準報酬月額は16等級の24万円となります。厚生年金の保険料の総額は4万3920円となり、本人負担分は2万1960円です。
平均的な大卒初任給くらいの給与であれば、2万円強が保険料の目安と考えてください。
毎月の給与が40万円の場合
毎月の給与が40万円の場合、標準報酬月額は24等級の41万円となります。厚生年金の保険料の総額は7万5030円となり、本人負担分は3万7515円です。
給与水準が高くなると、保険料も相応に高くなってくることが分かります。
毎月の給与が63万5000円の場合
毎月の給与が63万5000円以上となると、標準報酬月額は上限に達し、32等級の65万円です。以降、給与がいくら上がっても厚生年金の保険料は変わりません。
厚生年金の保険料の総額はなんと11万8950円、本人負担分は5万9475円となります。
厚生年金の保険料は給与が上がると比例して高くなる
厚生年金の保険料は、毎年4月から6月の平均給与を基にした標準報酬月額によって決まります。給与が上がると比例して保険料も高くなり、令和2年9月分からの本人負担分は8052円から5万9475円の間で設定されています。
厚生年金の保険料が決まる仕組みは難しそうに見えますが、実はさほど複雑なものではありません。一度、給与明細と保険料額表を見て確かめてみると、厚生年金の保険料についてより理解できると思います。
出典
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和3年度版)
執筆者:柘植輝
行政書士