更新日: 2021.08.26 国民年金
学生納付特例制度は、収入がある場合でも利用可能? FPが解説
この制度を利用するには、本人(学生)の所得が一定以下であることが必要です。裏を返せば、所得があっても制度を利用することは可能ということになります。
執筆者:中村将士(なかむら まさし)
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。
本年度所得が128万円以下の学生であれば利用可能
この制度における「学生」とは、以下の学校などに在学する方です。
・大学(大学院)
・短期大学
・高等学校
・高等専門学校
・特別支援学校
・専修学校・各種学校
・一部の海外大学の日本分校
課程は、全日制過程だけでなく、夜間・定時制課程や通信課程も含まれますので、ほとんどの学生がこの制度を利用できます。詳しくは日本年金機構のホームページにある「学生納付特例対象校一覧」で確認ができますので、そちらをご参照ください。
「本人(学生)の所得が一定以下」については、「本年度の所得基準(申請者本人のみ)」があります。令和3年度の場合は、以下の計算式によって算出されます。
128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等
この式から、本人の所得が128万円以下であれば、制度を利用できることが分かります。「扶養家族等の数」「社会保険料控除等」が0でない場合には、所得が128万円を超えても制度を利用できます。その場合は上記の式を使って詳しく計算する必要があります。
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収入金額はおよそ194万円まで
収入と所得が違うことをご存じでしょうか。収入と所得の違いを式で表すと、以下のようになります。
所得=収入-必要経費
学生納付特例制度において、所得基準を設けていますが、収入基準ではないことに注意が必要です。先の項目でいえば、所得が128万円以下と表現しましたが、これは収入が128万円以下という意味ではないということです。
学生の収入といえば、ほとんどがアルバイトの収入でしょうから、これを例に説明します。所得は全部で10種類ありますが、このうちアルバイト収入は給与所得に該当します。これはサラリーマンの給与と同じです。
給与所得の金額は、以下のように計算されます。
給与所得の金額=収入金額-給与所得控除額
このうち、給与所得控除額は収入金額に応じて異なります。詳しく計算しても良いのですが、ここでは早見表を参照します。
この表の右の項目が給与所得の金額です。左の項目と真ん中の項目は、ともに収入金額です。この表において所得金額が128万円以下を探すと、真ん中の列の127万8000円が該当します。
つまり、所得金額が128万円以下の条件を満たすのは、収入金額が最高でも194万4000円未満だということが分かります。
まとめ
学生納付特例制度は、収入がある場合でも利用可能です。しかし、制度を利用する年度の所得金額が128万円以下である必要があります(扶養親族の数、社会保険料控除を考慮しない場合)。所得金額が128万円以下であるとは、収入金額にするとおよそ194万円です(給与の場合)。
収入があっても制度が利用できるのは、家計をやりくりする上でも大きな意味があります。制度の利用を検討されている方の参考になれば幸いです。
出典
日本年金機構 「国民年金保険料の学生納付特例制度」
日本年金機構 「学生納付特例対象校一覧」
日本年金機構 「国民年金保険料 学生納付特例申請書」
国税庁 「No.1400 給与所得」
国税庁 「No.1410 給与所得控除」
e-Gov法令検索 「所得税法 別表第五 年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表(第二十八条、第百九十条関係)」
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー