更新日: 2021.08.28 厚生年金
厚生年金の加入期間が10年未満……。年金は受給できる?
厚生年金は加入期間が1ヶ月でも受給できますが、国民年金の受給資格期間を満たしていない場合には受給できません。
短大卒業後の8年間、地元の会社で勤めた後に28歳で結婚して専業主婦になったAさんは、老齢年金の受け取りはできるのでしょうか。
執筆者:宿輪德幸(しゅくわ のりゆき)
CFP(R)認定者、行政書士
宅地建物取引士試験合格者、損害保険代理店特級資格、自動車整備士3級
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受給資格期間は10年
日本は「国民皆年金」です。原則として20歳から60歳になるまで、国民年金、厚生年金のどちらかに加入しなければなりません。厚生年金の加入者は国民年金と厚生年金の両方に加入しているのです。
※筆者作成
老齢基礎年金(国民年金)を受給するためには、「保険料納付期間」「保険料免除期間」「カラ期間(受給資格期間には入るが年金額には反映されない期間)」の合計が10年(120月)以上あることが必要です。
受け取れる年金(令和3年度)は、以下の計算になります。
※筆者作成
受給できるといっても、国民年金の加入可能期間である40年間(480月)全ての期間で保険料を納付した場合の年額(満額の78万900円)と比べ、保険料納付済期間が10年の場合では19万5225円と少額です。
上記は、老齢基礎年金の受給資格期間(保険料納付済期間)を基にした例ですが、老齢厚生年金の受給要件は以下のとおりです。
・65歳以上
・老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていること
・1ヶ月以上の厚生年金保険の被保険者期間があること
※昭和36年4月1日以前生まれの男性・昭和41年4月1日以前生まれの女性には、65歳以前に受け取れる特別支給の老齢厚生年金があります。
このように、厚生年金保険の加入期間は短くてもよいのですが、基礎年金の受給資格期間である10年を満たしていないと厚生年金も受け取ることができません。先ほどのAさんの場合は、退職後の国民年金の加入状況によって厚生年金の受け取りの可否が判断されます。
会社員の期間(8年間)は厚生年金に加入していますので、国民年金保険料も納付済みとなります。退職後に2年以上、国民年金に加入していれば、基礎年金の受給資格期間10年を満たし、老齢厚生年金の報酬比例部分まで受け取れるのです。
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国民年金の手続き
国民年金の種別変更の例
※筆者作成
国民皆年金ですから、年金の手続きを漏れなくすれば、20歳から60歳になるまでの40年間国民年金に加入します。注意すべきは、自分でしなくてはならない市区町村役場でする手続きです。手続きをせずに保険料を納付しないままにしておくと、未加入となってしまいます。
Aさんの夫が自営業者で、退職後に第2号から第1号への変更をせず、未加入のままとなっていた場合、受給資格期間に足りないので年金を受け取ることができません。
一方、Aさんの夫が会社員で、退職から60歳になるまで3号被保険者となっていた場合には、その期間は国民年金の納付月数になります。
例えば、Aさんが昭和21年4月2日以降生まれで、退職したのが平成15年3月以前、在職中の平均報酬月額20万円とした場合、老齢厚生年金の報酬比例部分は以下の金額となります。
20万円×7.25/1000×96月(8年)=13万9200円
この場合、Aさんは老齢基礎年金(満額79万900円)に、上記の老齢厚生年金の報酬比例部分を合わせて受け取ることができます。
日本の年金は2階建てといわれます。1階部分が国民年金で、2階部分が厚生年金です。1階が無ければ、2階は存在できません。
執筆者:宿輪德幸
CFP(R)認定者、行政書士