更新日: 2021.09.08 その他年金

年金が一元化された後、会社員と公務員の年金受給額にどんな差が生まれた?

執筆者 : 堀江佳久

年金が一元化された後、会社員と公務員の年金受給額にどんな差が生まれた?
平成27年10月から被用者年金制度の一元化により、共済年金が厚生年金に統一されました。こうした年金制度の一元化により、会社員と公務員の年金受給額に差がでるのかを、制度を振り返りながら確認してみたいと思います。

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堀江佳久

執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

年金の一元化とは?

(1)背景・目的

民間の会社員と公務員は、同じ被用者であるにもかかわらず、年金制度が異なっており、公務員は職域部分(いわゆる3階部分)があり、加えて支払う保険料が会社員よりも安いことなどが「官民格差」として問題となっていました。これを是正するために年金の一元化が行われました。
 

(2)改正前と改正後(下図の右部分を参照)

平成27年10月から公務員の年金制度は、改正前は、1階部分である老齢基礎年金、2階部分の退職共済年金、そして民間の会社員にはない3階部分の職域部分で構成されていました。
 
改正後は、退職共済年金(職域部分を除く)が会社員と同じ老齢厚生年金へ移行し、職域部分が年金払い退職給付へ移行しています。
 
併せて、公務員が支払う保険料についても会社員と同一にすべく、毎年引き上げられ、平成30年には、18.3%へ統一しました。なお、保険料は、標準報酬月額や標準賞与額に保険料率(18.3%)を掛けて算出され、労使折半の負担となります。
 
        図:年金一元化と会社員と公務員の年金制度比較

出典:国家公務員共済組合連合会「平成27年10月から共済年金は厚生年金に統一されます」を参考に筆者作成
 

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統一後の会社員と公務員の年金制度

(1)1階部分と2階部分は統一

上図の「年金制度一元化後の年金制度」を参照してください。年金制度の一元化により、1階部分と2階部分は、会社員と公務員で同じ制度が適用され、統一されました。
 
したがって、会社員と公務員の年金のうち、2階部分までは同一の制度となるため、同じ平均報酬月額で、同じ加入期間であれば、原則支給額には差はありません。ただし、3階部分については、会社員は「企業年金」、公務員は「年金払い退職給付」と異なります。
 

(2)企業年金の実態

企業年金は、企業の従業員の退職後の生活を保障するために企業が福利厚生の一環とした任意の年金制度です。したがって、すべての企業に導入されているものではなく、企業によって制度内容が異なります。
 
ちなみに、企業年金制度を導入している企業は21.5%となっており、おおよそ5社に1社しか導入がされていません。
 
一方、公務員の年金払い退職給付は公務員全員が対象になるので、企業年金制度がない会社員は、公務員に比べて年金受給額は少なくなる傾向にあります。
 
したがって、ご自分の企業の年金制度をよく確認し、企業年金制度を導入していない場合には、将来への備え、年金の補完として、ご自身でiDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAなどを活用することをお勧めします。
 
出典
国家公務員共済組合連合会「平成27年10月から共済年金は厚生年金に統一されます」
厚生労働省年金局年金課「被用者年金の一元化について」(平成27年11月30日付)
厚生労働省「企業年金・個人年金制度の現状等について」(2020年7月9日付)
 
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー