なぜ、障害年金はもらい忘れが多い年金といわれるの?
配信日: 2021.09.14
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
まずは障害年金について概要を確認
障害年金とは、病気やけがによって生活や仕事に制限が生じた場合、対象となる障害等級1級から3級の状態に該当していると認められたときに受け取れる年金です。
一般的な年金(老齢年金)のイメージのように、65歳からといった年齢制限はなく、現役世代であっても要件を満たしていれば、障害の程度に応じて障害年金が支給されます。
障害年金には、障害基礎年金(1級および2級)と障害厚生年金(1級から3級)があり、障害の原因となったけがや病気の初診日に加入している年金によって、どちらを受け取れるのかが異なります。国民年金のみに加入している方は障害基礎年金、厚生年金に加入している方は障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金を受け取れます。
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障害年金にもらい忘れが多い理由
障害年金にもらい忘れが多い理由として、制度が分かりづらいという点があります。主にどういったケースがあるのか、簡単な事例で紹介します。
そもそも申請していない
障害年金に限った話ではありませんが、年金に加入していても、受給する際は自分で申請しなければなりません。支給事由に該当していれば、自動的に支給が開始されるわけではないのです。
「条件に合致すれば申請しなくても支給されるだろう」「支給されないということは自分が条件を満たしていないから」と勘違いしてしまうのも、もらい忘れの理由の1つでしょう。
20歳前の病気やけがが原因ではもらえないと思っている
年金制度に加入する20歳より前に初診日がある病気やけがであっても、それが対象となる障害の状態であれば、20歳に達すると障害年金を受け取ることができます。20歳前の場合、保険料の納付要件はありません。
障害年金の支給要件には、国民年金の加入前だけでなく、60歳以上65歳未満の未加入期間中の病気やけがの初診日も含まれますが、自分は対象外と思い込んで申請してないケースも多いのではないでしょうか。
障害者手帳の等級が低いから受給できないと思っている
障害者手帳の等級と、障害年金の等級の判定の基準は同じではありません。障害者手帳の等級が低いからといって障害年金の対象外になるとは限らず、例えば障害者手帳の等級は4級ではあるが障害年金の障害等級は3級に該当するため、障害厚生年金を受給できるということもあります。
障害者手帳の等級と障害年金の等級がイコールだと思い込んでいるのも、もらい忘れの原因となっています。
重度の障害状態でないと受け取れないわけではない
これもよく勘違いされているのですが、障害年金は寝たきりで動けないなど、重度の障害状態でなければ受け取れないわけではありません。
障害年金の障害等級は1級から3級までで認定されています。例えば、メガネやコンタクトレンズによる矯正で測定した両目の視力が0.1以下に減じたという、1人で生活することも不可能ではない程度の障害であっても障害厚生年金の3級の認定基準となっています。
障害年金の等級の基準や内容が分かりづらい、あまり知られていないのも、もらい忘れが多い原因といえます。障害を負ってしまい、障害年金の申請について考えたときは等級の認定基準などを調べることも大切でしょう。
障害年金は制度の内容についてしっかりと確認を
もらい忘れが多いといわれている障害年金ですが、障害の状態や支給基準を確認することで、申請漏れを防ぐことができます。
しかし、障害年金の申請については、その判断が難しいこともあります。自分が対象となるのか迷うような場合は、最寄りの年金事務所に一度相談してみてください。
出典
日本年金機構 障害年金
日本年金機構 障害年金の対象となる病気やケガにはどのようなものがありますか。
執筆者:柘植輝
行政書士