更新日: 2021.09.14 年金

副業している場合、複数の厚生年金に加入することは可能?

執筆者 : 秋口千佳

副業している場合、複数の厚生年金に加入することは可能?
コロナ禍にある現在、大企業において副業を認める動きが加速しています。副業はあくまでも本業があっての副業なので、本業では、給料をもらう際に社会保険料が控除されています。
 
では、副業先で給料をもらうとき、社会保険はどうなるのでしょうか。
 
秋口千佳

執筆者:

執筆者:秋口千佳(あきぐちちか)

CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士

秋口千佳

執筆者:

執筆者:秋口千佳(あきぐちちか)

CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士

そもそも社会保険に2ヶ所以上加入することはできるの?

結論からいうと、加入できます。「できます」ではなく、加入要件がそろえば、加入しなければなりません。このことは意外と知られていません。経営者の人でさえ加入しなければいけないことを知らず、突然、日本年金機構から加入が漏れているという通知が届く、ということにつながります。
 

改めて社会保険の加入要件を確認しておきましょう

ここでは再確認の意味で、厚生年金保険だけでなく、すべての社会保険について加入要件を見ておきます。
 

(ア)健康保険・介護保険・厚生年金保険(※1)

 

(1)法人の代表者・法人の役員
(2)常時雇用される人
(3)1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が同じ事業所で同様の業務に
従事している正社員の4分の3以上である人
(4)従業員501人以上の会社に勤務していて、以下の要件を満たす人

(a)1週間の所定労働時間が20時間以上の人
(b)勤務期間が1年以上見込まれること
(c)月額賃金が8万8000円以上であること
(d)学生以外

 

(イ)雇用保険

 

(1)1週間の所定労働時間が20時間以上ある人
(2)継続して31日以上の雇用見込みがある人

 

2ヶ所から給料をもらうことになったらどうしたらいいのか

加入の手続きは副業先の事業所で行います(本業先では手続きは不要です。ただし手続き後に連絡がいくため、本業先に副業をしていてその副業先から給料をもらっているという事実を隠すことはできません。万一本業先が副業を許可していなかったり、本業先に副業をしていることを知られたくない人は、注意してください)。
 
手続きとしてはこれだけなのですが、以下の注意点があります。
 

(1)健康保険証は当たり前ですが1人1枚です。2ヶ所以上の会社で健康保険と厚生年金保険に加入したとしても、健康保険証については、あなたがどこの事業所の健康保険証を取得するのか選ぶ必要があります。
 
(2)メインとなる事業所を選択したうえで、届出書類はそのメインとなる事業所を管轄する年金事務所に提出します(※2)。

 

保険料はどうなるのか

気になるのは、保険料の負担ではないでしょうか。これについては以下の表にまとめてみました。
 

筆者作成 
 
保険料は給料の金額(正しくは標準報酬月額)をもとに調整・計算され、本業先と副業先に通知されます。
 

働き方と手取り額の調整は必要

ここまでの話をもとに、あなたの働き方とあなたの(給料の)手取り額について、しっかり調べる必要があります。
 
副業を考えるのは、お金がたくさん必要だという思いからだと思いますが、2ヶ所から給料をもらうことにより社会保険料も2ヶ所から差し引かれることをふまえ、あなたの手取り額が実際にいくらになるのか確かめたうえで、働き方を考えてください。
 
事業所の経営者の人は、雇用した従業員が2ヶ所から給料を得ることになった場合、届出を忘れると罰則もあるので、注意してください。経営者も労働者も正しい情報を知り、正しい行動を心がけてください。
 

出典
(※1)日本年金機構「適用事業所と被保険者」
(※2)日本年金機構「被保険者が複数の適用事業所に使用されることになったとき」
 
執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士