更新日: 2021.09.22 年金

非正規雇用労働者の老後は? 年金はどのくらいもらえる?

執筆者 : 宿輪德幸

非正規雇用労働者の老後は? 年金はどのくらいもらえる?
正規雇用労働者と非正規労働者の格差は、大きな社会問題となっています。派遣法改正などの影響で、2000年(平成12年)ごろから非正規雇用の増加が顕著になり、近年ではその割合が4割に迫っています。
 
労働条件や給与の格差は、老後の年金にも影響します。今回は、公的年金の種類や雇用形態による年金の違いなどを確認していきます。
 
宿輪德幸

執筆者:

執筆者:宿輪德幸(しゅくわ のりゆき)

CFP(R)認定者、行政書士

宅地建物取引士試験合格者、損害保険代理店特級資格、自動車整備士3級
相続専門の行政書士、FP事務所です。書類の作成だけでなく、FPの知識を生かしトータルなアドバイスをご提供。特に資産活用、相続トラブル予防のため積極的に「民事信託(家族信託)」を取り扱い、長崎県では先駆的存在となっている。
また、離れて住む親御さんの認知症対策、相続対策をご心配の方のために、Web会議室を設置。
資料を画面共有しながら納得がいくまでの面談で、納得のGOALを目指します。
地域の皆様のかかりつけ法律家を目指し奮闘中!!
https://www.shukuwa.com/

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公的年金と私的年金

公的年金は、国民皆年金の制度により加入するものです。国の制度ですから、個人の意思で加入する年金の種類や加入の有無を決めることはできず、将来支給される年金額も制度により決まります。
 
一方、老後に公的年金だけでは足りないと判断した場合、個人の意思で加入できるのが私的年金で、代表的なものとしては「国民年金基金」や「確定拠出年金(個人型)」があります。さらに、従業員の年金を充実させるために勤務先が導入している「確定拠出年金(企業型)」に加入できることもあります。
 

公的年金の年金額の決まり方

公的年金は2階建てになっており、1階が国民年金(老齢基礎年金)、2階が厚生年金です。国民年金は20歳以上60歳未満の国民全員が加入し、厚生年金は会社員などが国民年金に上乗せして加入するものです。
 

(1)老齢基礎年金

20歳から60歳になるまで40年間(480月)保険料を納付した場合、年額78万900円の年金を65歳から受け取ることができます(令和3年度)。納付月数が480月に足りない場合には、その分、年金額は少なくなります。
 
老齢基礎年金額=78万900円×納付月数/480月
 
保険料免除期間がある場合には、その期間に応じて減額となりますが、国庫負担分は年金に反映しますので未納より減額割合は少なくなります。保険料の納付が困難なときは必ず免除の手続きをして、未納とならないように注意してください。
 

(2)老齢厚生年金(報酬比例部分)

厚生年金は納めた保険料に応じて年金額が決まります。報酬が高く、保険料を多く納めた人のほうが、将来受け取れる年金額も多くなるのです。
 
報酬比例部分額=平均報酬額×給付乗率×被保険者月数
※平成15年3月までと4月以降で平均報酬額・給付乗率が異なり、それぞれ計算、合計した金額が年金額となります。
 
また、所定の要件に当てはまると、加給年金や経過的加算の金額が加算されます。
老齢厚生年金=報酬比例部分+経過的加算+加給年金
 

正規雇用と非正規雇用の年金の違い

上記のように、年金の計算において正規雇用と非正規雇用で違うということはありません。しかし、正規雇用と非正規雇用では、労働条件や報酬に格差があるのが実情です。
 
報酬が低くなれば、当然、受給できる厚生年金の金額が低くなります。また、短時間労働などの場合や勤務先によっては、就労していても厚生年金に加入できないこともあります。非正規雇用の人は、厚生年金の適用外になる割合が高くなります。厚生年金の加入条件や非正規雇用の場合の年金額などについて確認していきます。
 

(1)適用事業所

厚生年金は、以下のいずれかの適用事業所に勤めなければ加入できません。
 
・強制適用事業所
法人、国および地方公共団体、5人以上の従業員を常時使用する法定16業種の個人経営の事業所など
 
・任意適用事業所
従業員数が5人未満の法定16業種に該当する個人経営の事業所、または法定16業種以外の個人経営の事業所で、厚生労働大臣から適用の認可を受けている
 
※農林水産業など第一次産業、飲食業、宿泊などのサービス業、弁護士、社労士など法務業、宗教業などは法定16業種以外に該当します。
 

(2)厚生年金の被保険者

適用事業所に勤務する70歳未満の人は、厚生年金の被保険者となりますが、所定労働時間および所定労働日数が正規労働者の4分の3以上であることが必要です。
 
平成28年10月以降は社会保険加入者が常時501人以上の事業所では要件が緩和されており、所定労働時間が週20時間以上などを満たすことで被保険者となりますが、さらに令和4年10月からは常時101人以上、令和6年10月からは常時51人以上と対象となる事業所の要件が順次拡大されます。 
 

(3)年金格差

令和2年版厚生労働白書によれば、令和2年度の「モデル世帯」の年金受取額は月22万724円となっています。夫が賞与を含む報酬月額43万9000円で40年間務めた会社員、妻は専業主婦の夫婦が令和3年度から年金を受け取った場合、その月額の内訳は以下のようになります。
 

妻:国民年金(満額) 6万5075円
夫:国民年金(満額) 6万5075円、厚生年金報酬比例部分 9万346円

 
上記を前提に試算した雇用形態による年金額の違いは以下のとおりです。
 

例1)夫が非正規雇用で報酬月額がモデル世帯より4割低かった場合(概算)

夫の報酬比例部分=9万346円×0.6=5万4208円
世帯の年金月額=妻(6万5075円)+夫(6万5075円+5万4208円)=18万4358円

 

例2)夫が非正規雇用で厚生年金に加入していなかった場合

世帯の年金月額=妻(6万5075円)+夫(6万5075円)=13万150円

 

まとめ

厚生年金は加入年数や報酬により、将来の年金額に差が出ます。非正規雇用の場合、正規雇用との間で報酬に格差があり、さらに厚生年金に加入できない労働条件というケースもあります。雇用形態によって生じる格差は社会全体が抱える問題でもありますが、老後に年金で不足する金額を見込んで早めに対策を考えてください。
 
出典
厚生労働省 多様な人材活用で輝く企業応援サイト(非正規雇用の現状と課題)
厚生労働省 令和2年賃金構造基本統計調査(雇用形態別)
厚生労働省 令和2年版厚生労働白書 -令和時代の社会保障と働き方を考える-
 
執筆者:宿輪德幸
CFP(R)認定者、行政書士

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