更新日: 2021.09.22 厚生年金

夫と離婚。結婚中の厚生年金を分割できる「年金分割制度」とは?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 新井智美

夫と離婚。結婚中の厚生年金を分割できる「年金分割制度」とは?
離婚した際に使える年金分割制度。制度の名前は聞いたことがあるけれど、具体的にどんなメリットがあるか分からない人は多いでしょう。
 
離婚時の年金分割制度を活用すれば、離婚後も配偶者の年金の一部を受け取れます。しかし利用には手続きが必要なので、手間がかかる可能性はあるでしょう。
 
この記事では、年金分割制度の詳しい内容とメリット、注意点を紹介します。さらに、手続きのポイントも解説するので離婚後の生活をより豊かなものにするためぜひチェックしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

新井智美

監修:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

聞くのは耳ではなく心です。
あなたの潜在意識を読み取り、問題解決へと導きます。
https://marron-financial.com

離婚時の年金分割制度とは?

 
離婚時に使える年金分割制度とは、夫婦の双方、またはどちらかの請求により婚姻期間中の厚生年金を分けられる制度です。
 
たとえ夫しか働いていなかったとしても、夫の収入は妻のサポートにより維持されている部分もあります。その功績を考慮し、収入に関わらず年金を受け取るために年金分割制度が定められました。
 
分割の割合については、夫婦間で話し合うか、裁判手続きで決めましょう。年金分割制度を活用すれば、老後に厚生年金を受け取れます。
 
夫が収入の大半を占めていた場合でも利用できるため、離婚時は一度年金分割について話し合うべきでしょう。
 

年金分割制度を使うメリット

 
年金分割制度を使えば、老後受け取れる厚生年金を増やせます。そのため、夫より収入が少ない場合は、老後資金が増えるため年金分割制度のメリットは大きいでしょう。
 
年金分割制度がなければ、専業主婦の場合は老後に国民年金しか受け取れない可能性があります。しかし、年金分割制度があれば厚生年金を上乗せして受け取れるため、生活の安定につながるでしょう。
 

年金分割制度の注意点

 
自分の収入のほうが多い場合、将来受け取れる年金額は年金分割制度により減ってしまいます。妻が稼ぎの中心である場合は、年金分割の割合を慎重に検討しましょう。
 
また、年金分割制度を利用すれば、元の配偶者が将来受け取る年金は減ります。そのため、相手と大きなトラブルになる可能性もあるでしょう。
 
配分の割合は、当事者同士の話し合いだけでなく裁判によっても決められます。これを合意分割といいます。また、当事者同士の合意がなくても使える3号分割制度もあります。
 
3号分割が使えるのは、以下の条件をすべて満たす人です。
 

●平成20年5月1日以後に離婚している、または事実婚関係を解消している
●平成20年4月1日以後に、お二人の一方に国民年金の第3号被保険者期間がある
●請求期限(離婚をした日の翌日から2年)を経過していない

 
3号分割を使うと分割割合が50%に決定されるので、どちらがベストなのか考えて選択しましょう。
 
(出典:日本年金機構「離婚時の年金分割について」)
 

年金分割制度の手続きと期限

 
年金分割制度を利用するには、手続きが必要です。手続きには期限が明確に決まっており、期限を過ぎると分割ができなくなります。そのため、手続きの方法だけでなく期限は慎重に確認しておきましょう。
 
ここからは、年金分割制度を利用するための具体的な方法と期限を解説します。まだ年金分割制度を利用するか決まっていない人も、ぜひチェックしてください。
 

年金分割制度で必要な手続き

 
年金分割制度の手続きは、離婚後に年金事務所に対し、「標準報酬改定請求書」に加え按分割合が分かる書類を添付して行います。按分割合が分かる書類は、以下のとおりです。
 

話し合いで分割した場合

●年金分割することおよび按分割合について合意している旨を記入し、自らが署名した書類
●公正証書の謄本もしくは抄録謄本
●公証人の認証を受けた私署証書

 

裁判所による手続きで分割した場合

●審判(判決)の場合……審判(判決)書の謄本または抄本および確定証明書
●調停(和解)の場合……調停(和解)調書の謄本または抄本

 
その後、認定されれば無事に日本年金機構からそれぞれに通知が来るので受け取りましょう。
 
年金を分割して受け取るには、別途年金事務所に対し、年金分割の請求手続きをする必要があります。忘れずに確認しましょう。
 
(出典:日本年金機構「離婚時の年金分割について」)
 

年金分割制度が使える期限

 
年金分割制度の期限は、離婚をしたときや、事実婚状態を解消したときから2年です。翌日から起算して2年を過ぎた場合、年金分割制度は使えません。
 

年金分割制度の手続きは早めにしよう

 
年金分割制度により、婚姻期間中の年金は離婚をしても分けられます。専業主婦など、夫の収入のほうが多かった家庭では年金分割制度が非常に役立ちます。
 
老後の資金確保のため、手続きに手間はかかりますが年金分割制度を利用したほうがいいでしょう。ただし、手続きの期限は2年と短いため早めの行動が大切です。
 
離婚前に年金分割制度について話し合い、時間を作って手続きを済ませましょう。
 
出典
日本年金機構「離婚時の年金分割」
日本年金機構「離婚時の年金分割について」
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

ライターさん募集