更新日: 2021.10.03 厚生年金

40代から扶養範囲を超えて働くと、老齢厚生年金はどのくらい増える?

40代から扶養範囲を超えて働くと、老齢厚生年金はどのくらい増える?
30代で子どもを出産し、子育てをしながら配偶者の扶養の範囲内でパート勤務をしてきた方が、40代になって今後の教育費や老後資金などを考え、扶養の範囲を超えて厚生年金に加入して働いた場合、厚生年金保険料をいくら納めることになるのでしょうか。
 
また、65歳以降に受け取れる老齢厚生年金はいくらくらいなのでしょうか。
杉浦詔子

執筆者:杉浦詔子(すぎうらのりこ)

ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント

「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として、働くことを考えている方からリタイアされた方を含めた働く人たちとその家族のためのファイナンシャルプランニングやカウンセリングを行っております。
 
2005年にCFP(R)資格を取得し、家計相談やセミナーなどのFP活動を開始しました。2012年に「みはまライフプランニング」を設立、2013年よりファイナンシャルカウンセラーとして活動しています。
 

40代は働き方を見直す時期

大学を卒業後、フリーターとして親の扶養の範囲内で働いていたAさんは、29歳で結婚し、配偶者の扶養の範囲内でアルバイト勤務を続けてきました。
 
その後、夫婦で住宅を購入して、30歳で子どもを出産。子どもが小さいうちは子育てに専念していましたが、幼稚園入園時に扶養範囲内でパート勤務を開始し、小学校低学年まで扶養の範囲内で勤務を続けてきました。
 
子どもが10歳、自分が40歳になったときに、今後の住宅ローンの返済、子どもの教育費、さらに自分たちの老後のことを考え、このままの働き方でいいのかとAさんは思ったそうです。
 
このように40代は、今後の働き方を見直す時期ともいえます。
 

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支出の増加分、扶養の範囲を超えて働くという選択

子どもの成長に伴い、教育費や生活費などの支出が増えていくのは自然なことです。家計のために過度の節約を強いると日常生活は窮屈なものになりますが、支出が増えた分、収入を増やすことができれば、その窮屈さを緩和させることができます。
 
今回のケースで家計の収入を増やす方法としては、Aさんが扶養の範囲を超えて働くことが選択肢の1つとして考えられます。
 
しかし、扶養から外れて厚生年金に加入して働いた場合、税金や社会保険料も収めるようになるため、実質的には手取りの収入が減るのではないかという心配と、将来の年金がいくら増えるのか分からないといったことを理由に、扶養範囲を超えて働くことをちゅうちょする方もいます。
 
そこで、ここでは一例として時給1000円で月に80時間(1日5時間で週4日)働き、月8万円、年間96万円の収入で扶養範囲内でのパート勤務をしていた方が、40歳から月120時間(1日6時間で週5日)の勤務に変更して厚生年金に加入し、毎月12万円、年間144万円(賞与はなし)の収入を60歳になるまでの20年間で得たと仮定した場合に支払う厚生年金保険料と、65歳から受け取れる年金額について計算してみます。
 
なお、ここの計算では年金保険料以外の健康保険料や税金は考慮していません。
 

納める厚生年金保険料と受け取れる老齢厚生年金額

月12万円の給与収入を得た場合、納める厚生年金保険料はいくらになるでしょうか。
 
令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和3年度版)では、月収が12万円の場合、標準報酬月額は11万8000円となり、納める厚生年金保険料は月1万797円となります。厚生年金保険料は、健康保険料や所得税などの税金と合わせて毎月の給与から天引きされます。
 
標準報酬月額11万8000円で、40歳から60歳になるまでの20年間(240ヶ月)、厚生年金保険料を納めると、65歳から老齢厚生年金を受け取ることができます。
 
現時点の厚生年金額の計算式は、「標準報酬月額×5.481/1000×加入月数」ですので、11万8000円×5.481/1000×240月となり、年間で約15万5000円の厚生年金を受け取れます。
 
65歳から84歳まで20年間、年金を受け取るとすると、合計で約310万円の厚生年金を受け取ることができます。
 

まとめ

今回説明したのは、前提条件を基に、厚生年金の被保険者として20年間働いた場合の簡易的な試算による結果です。
 
扶養の範囲を超えて働くと厚生年金保険料のみでなく、収入によっては所得税や住民税などの税金を納める必要があり、健康保険料や介護保険料(40歳以降)なども納めることになります。
 
現在の収支のバランスや子どもの教育費、老後のライフプランも考慮し、40代からどのように働くことが家庭にとって適切なのか考えてみましょう。
 
出典
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和3年度版)
 
執筆者:杉浦詔子
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント

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