更新日: 2021.10.09 厚生年金
リタイア後の働き方に注意。厚生年金が減額されるのはどんなケース?
ただ、年金をもらいながら働きたいと考えている人の中には、働くと年金が減らされるのではないかと、心配されている人もいるのではないでしょうか。
そこで今回はどんな働き方をしたときに厚生年金が減額されるのかを見ていきましょう。
在職老齢年金とは
厚生年金は、60歳から64歳までは「特別支給の老齢厚生年金」(定額部分と報酬比例部分)が支給されますが(ただし年齢による制限あり)、65歳になると老齢基礎年金と老齢厚生年金に移ります。
「在職老齢年金」とは、60歳以降働きながら受け取ることができる老齢厚生年金(64歳までは報酬比例部分)のことを言います。「在職老齢年金」は、給与により減額されることもありますので、働き方にも注意が必要となります。
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基本月額と総報酬月額相当額とは
在職老齢年金の支給停止額(厚生年金の減額)を計算する上で基本となるのは、「基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計額です。
「基本月額」とは、1年間の年金額(加給年金を除く)を12分の1にした金額です。「総報酬月額相当額」とは、標準報酬月額(月々の給与)に直近1年間の標準賞与額の合計額を12分の1にした金額を足した金額です。
これを元に、どのような場合に在職老齢年金が減額されるのか見てみましょう。
60歳代前半の人の在職老齢年金は
60歳代前半(60歳から64歳)の人の在職老齢年金の支給停止額(月間)の計算式は、以下の5つの段階に分かれ、「28万円」が減額の基準になります。(※2)
(1)基本月額と総報酬月額相当額の合計額が28万円以下の人
支給停止はなく、在職厚生年金はそのままもらえます。
基本月額が28万円以下で、
(2)総報酬月額相当額が47万円以下の人
基本月額と(総報酬月額相当額-28万円)の合計額の半分が支給停止
(3)総報酬月額相当額が47万円を超える人
47万円+(基本月額-28万円)の半分と(総報酬月額相当額-47万円)の合計額が支給停止
基本月額が28万円を超え、
(4)総報酬月額相当額が47万円以下の人
総報酬月額相当額の半分が支給停止
(5)総報酬月額相当額が47万円を超える人
47万円の半分と(総報酬月額相当額-47万円)の合計額が支給停止
具体例を挙げると、「基本月額が10万円で、総報酬月額相当額が18万円の人」の場合、合計額が28万円となり、基準の28万円以下ですので支給停止にはなりません。そして給与(総報酬月額相当額)が18万円を超えると、(2)の式により年金額は減額されることになります。
なお、年金制度改正により、令和4年4月より支給停止の基準額は28万円から47万円へ引き上げられ、65歳以上の人と同一になります。したがって、基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円以下の人は支給停止にならなくなります。
65歳以上の人の在職老齢年金は
65歳以上の人の在職老齢年金の支給停止額(月間)の計算式は、以下の2段階に分かれ、「47万円」が減額の基準になります(※2)。
(1)基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円以下の人
支給停止はなく、在職老齢年金はそのままもらえます。
(2)基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円を超える人
基本月額と(総報酬月額相当額-47万円)の合計額の半分が支給停止
高年齢雇用継続給付を支給されたときは
年金の支給停止には、「在職老齢年金」による支給停止のほかに、「高年齢雇用継続給付」による支給停止があります。
高年齢雇用継続給付には、雇用を継続した人の「高年齢雇用継続基本給付金」と再就職した人の「高年齢再就職給付金」があり、給付の対象者は、雇用保険の加入期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の加入者です。
高年齢雇用継続給付は、賃金が60歳時点に比べて75%未満の人を対象に低下率に応じ給付金が支給されます(※3)。高年齢雇用継続給付の上限は給料の15%です。
ただし給料が、36万584円(毎年8月改訂)以上ある場合は支給されません。受給者は給与の支給率に応じて、老齢厚生年金の一部が支給停止(最高で賃金の6%)されます。
まとめ
基本的な考え方として、給与(標準報酬月額相当額)が多ければ多いほど在職老齢年金の支給停止額は大きくなります。
支給停止により年金が減るのは嫌だという人もいらっしゃると思いますが、単純に働き方をセーブするのではなく、趣味やライフイベントを含むライフプランを考え、収入(年金と給与など)と引かれる(税金・各種保険料など)を考慮のうえ純手取りを計算し、どのような働き方が自分に合っているのか検討しましょう。
出典
(※1)厚生労働省 令和2年簡易生命表の概況
(※2)日本年金機構 在職老齢年金の支給停止の仕組み
(※3)日本年金機構 年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整
執筆者:小久保輝司
幸プランナー 代表