知らないと損をする、熟年離婚と年金の関係って?

配信日: 2021.10.13

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知らないと損をする、熟年離婚と年金の関係って?
新型コロナウイルスの感染拡大により、企業は在宅勤務を導入・推奨するようになりました。これにより、夫婦がそろって家で過ごす時間が増えたことが引き金になって、離婚にいたることがあります。
 
家にいれば、食事を作る必要が出てくるし、小さなお子さんがいる場合には子どもの世話をする必要もあります。
 
会社で過ごす時間が多かった配偶者の場合、こういった家事の分担がうまくできず、一方で普段家事を行っている方としては、「もうやってられない!」と今までの不満が高じて一気に爆発することが起爆剤となるケースもあります。
 
コロナ禍に関わらず、厚生労働省によれば、年間離婚件数は平成20年で約25万組となっています。その中で、同居期間が20年以上の割合は、平成11年まで上昇傾向にあり、その後、若干増減し、平成20年には16.5%となっています。
 
今後、いわゆる“コロナ離婚”の増加により、こういった熟年の方々の離婚がさらに増えるかもしれません。
 
今回は、こうした熟年離婚をした場合に、年金はどうなるのか、熟年離婚と年金の関係について解説してみます。
堀江佳久

執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

財産分与とは?

長年連れ添った夫婦が共同生活を送る中で形成した財産は、夫婦が協力して築き上げたものなので、公平に分配されるのが基本です。これを「財産分与」といいます。
 
まず、財産分与の対象にならない財産、なる財産について見ていきましょう。
 
民法762条では財産の帰属が定められており「夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう)とする。夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する」とあります。
 
以下、具体的に見ていきましょう。
 

(1)対象とならない財産

次の例にあるような財産は、個人の特有財産ですので、財産分与の対象となりませんので、注意をしましょう。


1.結婚前の預貯金
2.結婚前からの所有物
3.結婚前の借金
4.結婚後に贈与された財産、または相続した財産

など

 

(2)対象となる財産

以下にある財産で、結婚後に2人で築いた場合は、財産分与の対象です。また、住宅ローンや日用品購入のための借金などのマイナスの財産も対象ですので、こちらも注意が必要です。


1.現金・預貯金
2.有価証券、投資信託
3.不動産
4.生命保険 
5.自動車・家財道具
6.貴金属・美術品・骨董(こっとう)品 
7.退職金・年金

など

上記のとおり、年金についても結婚後に2人で築いた財産とみなされ、財産分与の対象です。具体的な分配方法としては、「年金分割」という制度があり、将来の財産を公平に分配します。
 
次に、この「年金分割」について詳しく見ていきましょう。
 

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年金分割とは?

 
<年金分割とは?>
年金分割は、離婚した場合に2人の婚姻期間中の保険料納付額に対応する厚生年金を分割して、それぞれ自分の年金とすることができる制度です。この制度は、厚生年金が対象ですので、残念ながら自営業やフリーランスなどが加入している国民年金は対象となりません。
 
離婚時の年金分割が行われると、婚姻期間中について厚生年金の支給額の計算の基となる報酬額(標準報酬月額と標準賞与額)の記録が分割されることになり、年金額を2人で分割することになります。
 
この年金分割の方法は、合意分割と3号分割の2種類があり、次にその概要を示します。詳しい手続きの方法やご不明な点などについては、お近くの年金事務所や年金相談センターに相談してください。
 
なお、年金分割の手続きは、原則として離婚をした日の翌日から2年を経過すると請求できなくなります。また,すでに離婚等が成立し、相手方が死亡した日から起算して1ヶ月を経過すると請求できなくなりますので留意が必要です。
 

(1)合意分割

A.夫婦2人からの請求により年金を分割する方法です。
B.分割の割合は2人の合意、または裁判手続きによって決まった割合です。

 

(2)3号分割

A.会社員の妻である専業主婦の方など,国民年金第3号被保険者(※)であった方からの請求により,年金を分割する方法です。
B.分割の割合は、2分の1ずつです。

 
(※)厚生年金保険の被保険者または共済組合の組合員の被扶養配偶者で、20歳以上60歳未満の方
 
出典
厚生労働省平成21年度 「離婚に関する統計」の概況 『1 離婚の年次推移』
法務省「年金分割」
 
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー

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