更新日: 2021.10.22 国民年金

月額400円で将来の年金額を増やせる「付加年金」とは?

月額400円で将来の年金額を増やせる「付加年金」とは?
国民年金には、将来受け取ることができる年金額を増やせる「付加年金」という制度があります。この制度を利用することで、満額受給額よりもさらに多くの年金額を受け取ることが可能です。
 
この制度の概要と、利用によって将来どのくらい年金額を増やすことができるのか解説します。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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国民年金付加年金制度とは?

国民年金第1号被保険者および任意加入被保険者は、毎年決められた保険料に付加保険料を上乗せして納めることで、将来受給する年金額を増やすことができます。この制度を付加年金制度といいます。
 

■利用できる人

国民年金付加年金制度は、誰でも利用できるわけではありません。利用できる人の要件は以下のとおりです。
 

●国民年金第1号被保険者(自営業者や個人事業主など)
●65歳未満の任意加入被保険者

 
ただし、上の要件に当てはまる人であっても、国民年金保険料の免除および納付猶予の適用を受けている場合は、付加年金制度を利用できません。また、国民年金基金に加入している人は利用できません。
 

■保険料

付加年金の保険料は月額400円です。
 

■保険料の納付方法

納付書で納める方法や、口座振替もしくはクレジットカードで支払うことができます。ちなみに、納付の開始は申し出月からとなります。すでに国民年金保険料を前納している場合は、後ほど発行される納付書を利用して金融機関などで支払うことになります。
 

■制度利用の際の手続き

市区町村役場の窓口にて手続きし、利用を開始できます。
 

■付加年金額

付加年金制度を利用した場合、老齢基礎年金の受給額に以下で計算した額が加算されます。
 
200円×付加保険料納付月数
 
例えば、20年間付加保険料を払った場合、将来の老齢基礎年金に加算される年金額は、200円×20年(240ヶ月)=4万8000円です。
 
(出典:日本年金機構「付加保険料の納付のご案内」(※1))
 

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付加年金制度を利用する際の注意点

付加年金の制度を利用する際には、以下の点に気をつけるようにしましょう。
 

■納付期限がある

付加年金の納付期限は2年間となっています。納付期限から2年間を経過した付加保険料は支払うことができません。
 

■途中で制度の利用を止めたい場合は届け出が必要

付加年金制度は利用を開始した後でも、その利用を止めることができます。ただし、その際には「付加保険料納付辞退申出書」の提出が必要ですので、忘れずに市区町村の窓口に提出するようにしてください。
 

■物価スライドの対象外である

通常、老齢基礎年金の満額受給額は、物価上昇時などおいては、それに対応するように物価スライド制を導入し、年金額も増える仕組みとなっています。しかし付加年金額は、いくら物価が上がったとしても上昇することはなく、200円×納付月数にて計算された額となります。
 

結局どのくらい得になる?

前述のとおり、400円の保険料を支払うことで200円の加算になります。2年以上年金を受け取るのであればお得になるという計算です。したがって、年金の受け取り開始から2年以内に亡くなると損ということになります。
 

■繰り上げおよび繰り下げ支給との関係は?

年金の繰り上げおよび繰り下げ支給を申し出た場合、その受け取り開始月によって一定の割合が減額もしくは増額されます。その計算においては、付加年金が加算された額を基にしています。
 

死亡一時金への加算もある

死亡一時金とは、死亡日の前日において第1号被保険者として保険料を納めた月数が3年(36ヶ月)以上ある人が、老齢基礎年金もしくは障害基礎年金を受けないまま亡くなった際に、その人によって生計を同じくしていた遺族に対して支払われるものです。死亡一時金の額は、保険料を納めた月数に応じて12万~32万円ですが、付加保険料を納めた月数が36月以上ある場合は、その金額に8500円加算されます。
 
(出典:日本年金機構「死亡一時金」(※2))
 

まとめ

国民年金の第1号被保険者は、将来もらえる年金が老齢基礎年金のみとなることから、できるだけその額を増やしたいと思う方もいらっしゃるかもしれません。そのためには、以前からあるこの「付加年金制度」を利用することはもちろん、個人型確定拠出年金であるiDeCoを活用するなど、老後における生活資金の準備を早めに始めておくことが大切です。
 
特に付加年金制度や確定拠出年金制度の利用では、その掛け金が所得控除の対象となることから、節税効果を生むことにもなります。もし利用できるのであれば活用し、効率的な資産形成を行うようにしてください。
 
出典
(※1)日本年金機構「付加保険料の納付のご案内」
(※2)日本年金機構「死亡一時金」
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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