パートで厚生年金に入ったら、もらえる年金はどのくらい増えるの?

配信日: 2021.11.07

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パートで厚生年金に入ったら、もらえる年金はどのくらい増えるの?
パートで働いている人が一定の年収を超えると、配偶者の扶養から外れて自分で社会保険に加入する必要があります。年収130万円以上が1つの目安ですが、2016年10月から制度が変わり、年収106万円以上でも厚生年金に加入するケースが出てきました。
 
今回は、パートで厚生年金に加入するのはどのようなケースか、加入した場合に年金受給額がどれぐらい変わるかについて紹介します。
伊達寿和

執筆者:伊達寿和(だて ひさかず)

CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員

会社員時代に、充実した人生を生きるには個人がお金に関する知識を持つことが重要と思いFP資格を取得。FPとして独立後はライフプランの作成と実行サポートを中心にサービスを提供。

親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、地域に根ざしたFPとして活動中。日本FP協会2017年「くらしとお金のFP相談室」相談員、2018年「FP広報センター」スタッフ。
https://mitaka-fp.jp

パートで厚生年金の加入対象となるケース

パートなどの短時間労働者で厚生年金の加入対象となるのは、まず、1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3以上(週30時間以上)ある人です。
 
さらに、2016年10月から、次の5つの要件を満たす場合も対象となりました。


(1)1時間当たりの決まった労働時間が20時間以上であること
(2)1ヶ月当たりの決まった賃金が8万8000円以上であること
(3)雇用期間の見込みが1年以上であること
(4)学生でないこと(ただし、夜間、通信、定時制の学生は対象となる)
(5)以下のいずれかに該当すること

・従業員数が501人以上の会社(特定適用事業所)で働いている
・従業員数が500人以下の会社で働いていて、社会保険に加入することについて労使で合意がなされている

賃金が月8万8000円以上、雇用期間が1年以上とすると、年収で約106万円となります。また、厚生年金保険・健康保険の適用事業所については、日本年金機構のWEBサイトで検索することができます。
 

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厚生年金加入で増える年金受給額の目安

厚生年金に加入することで、どのような変化があるかを確認しましょう。厚生年金に加入すると第2号被保険者となり、年金制度では3つの違いがあります。


・老齢厚生年金の対象となり、受給額が上乗せされる。
・障害厚生年金の対象となり、受給額が上乗せされ、3級まで保障の範囲が広がる。
・遺族厚生年金の対象となり、受給額が上乗せされる。

老齢厚生年金については、65歳以上の老後に受け取る受給額が増えます。障害厚生年金は病気やけがなどで障害状態と認定された場合に支給され、遺族厚生年金は亡くなった場合に遺族に支給される年金で、共に受給額が上乗せされるため、保障が充実すると考えるとよいでしょう。
 
老齢厚生年金の受給額はどれぐらい変わるのでしょうか。例として、月収8万8000円で1年間加入した場合で計算します。
 
老齢厚生年金の報酬比例部分の年金額(本来水準)は次のようになります。
 
8万8000円×12×5.481/1000=5788円(1円未満四捨五入)
 
65歳以降に受け取る老齢年金の受給額が年額5788円増え、増えた年金は終身で受け取ることができます。また、10年間勤務すると年額5万7879円増えることになります。なお、負担する厚生年金保険料は月8052円、1年間合計で9万6624円です。
 
別の例で、年収130万円(月収10万円8333円)で考えてみますと、老齢厚生年金の報酬比例部分の年金額(本来水準)は、標準報酬月額11万円で計算し、次のようになります。
 
11万円×12×5.481/1000=7235円
 
年額7235円増え、10年間勤務すると7万2349円増えることになります。
 
老齢年金は終身で受け取ることができますので、寿命が延びている状況では、老齢年金が増えるのは大きなメリットでしょう。
 

今後は厚生年金に加入できるケースが増加

2022年10月、2024年10月からは、さらに厚生年金に加入できるケースが増加します。
 
2021年5月29日に成立した「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」により、2022年10月より厚生年金保険、健康保険の適用範囲が拡大されます。
 
パートなど短時間労働者の「雇用期間の見込みが1年以上」の要件が撤廃され、フルタイム勤務者と同じ2ヶ月超になります。
 
次の大きな変化が適用事業所の従業員数です。これまでは従業員501人以上の事業所でしたが、2022年10月からは101人以上の事業所、2024年10月からは51人以上の事業所と、従業員の少ない事業に徐々に適用範囲が拡大されます。
 
今後は比較的規模の小さい会社にパート勤めをしている人も、厚生年金の加入対象となるケースが増えるでしょう。自分が厚生年金に加入する場合に備えて、厚生年金に加入した場合に増える年金額についての目安を確認しておくとよいでしょう。
 
また、厚生年金の加入には、障害年金や遺族年金が充実するメリットもあることも知っておきましょう。
 
出典
厚生労働省 年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました
厚生労働省 平成28年10月から厚生年金保険・健康保険の加入対象が広がっています!(社会保険の適用拡大)
日本年金機構 老齢厚生年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和3年度版)
 
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員

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